Pussy Cat Sophie (子猫ソフィの猫物語)その他

2009/07/12(日)17:41

イギリスの思い出

言語・文化・コミュニケーション(129)

遥か昔、学生の頃、ロンドンで電車に遅れかかって、 英仏海峡の船に乗り損ねそうになったことがある。 そこに、スーツを着たハイヒールの、 いかにも英国人風キャリア・ウーマンが通りがかった。 一人旅の女性が道を聞いても、安心できそうな女性である。 私は素顔で、Tシャツ、ジーンズ、スニーカーだった。 「ABC駅で何時発の列車に乗りたいんですけど、どうも迷子になったらしいんです。  駅にはどう行けば良いんでしょうか?  英仏海峡を渡る船に乗るために、どうしてもその列車に乗りたいんです。」 そう彼女に聞いてみた。 それを聞いて時計を見た途端、彼女は 「走って!!!!遅れる!!!!」と言い、 あのハイヒールで私の荷物を持って、 全速力で走り出した。 私は160cmと欧米人から見れば小柄で、彼女は私よりも遥かに背が高かった。 しかも、私は素顔だったので、まるで子供のように見えたのだろう。 それで荷物を持ってくれたのだと思う。 彼女は、「ちょっとこれはもう間に合わないかも!」という感じだった。 私はロンドンの土地勘がないので、とても悠長で、 「駅までどのくらいかかる、もうほとんど間に合わない」という感覚がゼロだった。 「え? もしかして、もしかすると間に合わない?・・・」という感じで、 よくわからないまま、彼女の後をついて、必死に走った。 駅に着くと、もう列車が走り出していた。 列車の最後列のデッキに、彼女が荷物を投げ入れ、私が飛び乗った。 今考えると、映画みたいなシーン。 (でも遅れたら一大事だから、その時はそんなことも考えず、必死だった。) もちろん、彼女の名前を聞く暇もなかった。 イギリスというと、いつも彼女を思い出す。 彼女のおかげで、 イギリスとキャリア・ウーマンに対する私の印象は、今でもとても良い。 彼女は遥か昔一人旅の学生を助けたことなど、もう覚えてはいらっしゃらないだろうけど、 この場を借りてお礼を申し上げます。

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