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QBスニーク

赤血球/ヘモグロビン/ヘマトクリット

『正常値』
○赤血球数[万/μl(マイクロリットル)]:男性=410~530,女性=380~480
○ヘモグロビン濃度[g/dl(デシリットル)]:男性=14~18,女性=12~16
○ヘマトクリット値[%]:男性=40~52,女性=36~48


 血液が赤いのは,赤血球のためである.赤血球には,ヘモグロビンと呼ばれる血色素が含まれており,これが肺から受け取った酸素を運ぶ役目をしている.

 ヘモグロビンは,ヘム(heme)部分と,これを支えるグロビン(globin)部分とから構成されている.ヘムは,プロトポルフィリンと呼ばれる物質に鉄が付いたものである.

 ヘマトクリットとは,血液中に赤血球が含まれる割合をいう.


【赤血球の生成と崩壊の仕組み】


 赤血球は,主として骨髄において,血液細胞の母細胞である幹細胞(stem cell)から,腎臓で産生されるエリスロポエチンというホルモンの作用により,赤芽球系細胞へと分化し,網状赤血球を経て,骨髄より血中へ成熟赤血球が流出していく.
 血中の赤血球は,絶えず受動的に体内を駆け巡った後,平均約120日で寿命を終えるが,毎日約200億個の赤血球が作られ,同数が崩壊している.これは,ヘモグロビンにすると約5.8gである.崩壊は網内系と呼ばれる細胞群(主として脾臓)で行われている.
 したがって,赤血球の生成が正常に行われるためには,(1)生産工場としての骨髄,(2)精算材料としてのヘモグロビンの原料(鉄およびグロビン蛋白),(3)成熟過程に必要なビタミン類(ビタミンB12,葉酸など)およびエリスロポエチン,の三条件が必須ということになる.


【赤血球の異常例】


(ⅰ)貧血

 貧血:血が“うすい”ことをいうのだが,検査データ上は,赤血球数(RBC),ヘモグロビン濃度(Hb),ヘマトクリット値(Ht)が正常値以下に減少した状態をいう.
 貧血状態:全身の臓器や組織に酸素が十分に行かなくなり,酸素不足(低酸素状態)に陥り,重大な障害を引き起こす.また,心臓は過大な負担を負うことになる.
 自覚症状:運動時(階段を昇るときなど)に息切れや息苦しさを覚えたり,動悸がある.めまい(立ちくらみ,脳貧血)を見ることも少なくない.ただし,慢性の貧血の場合には,全身のだるさや,食欲がないといった漠とした症状に過ぎないこともある.
 「貧血を調べるのに,なぜ赤血球数,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリット値の三項目も検査するのか?」・・・三項目とも減少する貧血が一番多いが,必ずしも三項目が並行して減少するわけではなく,貧血を起こす原因によって違ってくるからである.
 例えば,女性によくみられる“鉄欠乏性貧血”では,ヘモグロビン濃度は減少していても,赤血球数の減少はぞれ程でもなく,ときには正常値のこともまれではないのである.この場合には,赤血球は小さく(小球性),ヘモグロビンの含有量が少ない(低色素性)のであるが,数そのものは正常なのである.だから赤血球数だけでは貧血の診断が出来ないのである.また,貧血がどのようなタイプのものであるかを知ることは,貧血の原因を検索する手がかりを与えてくれる.
 赤血球数,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリットより「赤血球恒数」(MCV,MCH,MCHC)と呼ばれる係数を計算することで,赤血球が大きいか小さいか(大球性,正球性,小球性),また,ヘモグロビンの含有量が多いか少ないか(高色素性,正色素性,低色素性)を知ることができる.これに従って,貧血のタイプが以下のように分類され,原因の究明がなされるわけである.
 ●小球性低色素性(MCV<80,MCH<29,MCHC<31):鉄欠乏性貧血,鉄芽球性貧血,慢性感染症および消耗性疾患←赤血球生成に際し,ヘモグロビンの合成障害が起きる(慢性出血による鉄欠乏が主原因).
 ●正球性正色素性:再生不良性貧血,溶血性貧血,失血性貧血,白血症,多発性骨髄腫.
 ●大球性高色素性(MCV>100,MCH>35,MCHC>36):悪性貧血(巨赤芽球性貧血),肝疾患,甲状腺機能低下症,赤白血病←赤血球生成に際し,DNAの合成障害が起きる(造血性ビタミン[ビタミンB12,葉酸]の吸収障害が主原因).

 貧血を原因別に分類すると,次の三つがある.
 ●造血障害・・・骨髄での造血能力の低下(白血病,再生不良性貧血)や,造血に必要な物質の不足(鉄,ビタミンB12,葉酸,エリスロポエチンなど).
 ●出血・・・急性および慢性.
 ●赤血球の破壊の亢進・・・溶血性貧血と言われる.
 このうち,貧血の原因として最も多いのは,出血である.消化管の潰瘍,癌,痔などからの出血であり,女性の場合には過多月経である.ついで鉄欠乏性貧血がある.これは特に若い女性に目立つ.それ以外の原因による貧血は血液病としてのそれで,まれなものである.
 貧血を指摘されたなら,漠然と放置しておくのではなく,その原因をつきとめることが肝要である.軽い貧血が契機となって消化管の癌が発見されるといった例が少なからずあるからである.

(ⅱ)多血症

 多血症(赤血球増多症):赤血球数が600万以上,ヘモグロビン濃度が18g/dl以上,ヘマトクリット値が55%以上に増加している状態をいう.
 多血症を分類すると,以下に示すような,相対的多血症と絶対的多血症の二つになる.
 ●相対的多血症・・・赤血球の総量は正常範囲であるが,血漿量の減少(血液が濃縮されている)のために,相対的に血液単位容積当たりの赤血球が増加しているものである.重症の下痢や火傷,または大量の発汗,利尿剤の過多服用,飲水摂取不可などの条件のもとで,脱水状態となり,血液が濃縮されるときに見られる.
 ●絶対的多血症・・・赤血球の総量そのものが増加しているものである.これには,真性多血症と二次性多血症がある.
 ○真性多血症:骨髄における赤血球の異常な増殖(過形成)に基づく病気で,白血球や血小板も増殖をみることが多い.一種の骨髄の腫瘍ともいえる.まれに慢性骨髄性白血病へ移行する例もある.しかし,きわめてまれな病気ではある.
 ○二次性多血症:肺(慢性気管支炎,肺気腫や肺切除など),および心臓(先天性心疾患,弁膜症など)の疾患で,血液中に酸素不足(低酸素状態)が長く続くと,それを償う形で赤血球が増加してくる.赤血球を増やすことで少ない酸素を有効に全身に運ぼうとする人間の優れた代償機能である.
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