2009/09/23(水)20:21
74 論争 格差社会 (文芸新書編集部編) 文春新書 522
○論争 格差社会
著者:文春新書編集部編
文春新書
論争格差社会
なかなか面白く、興味を持って読むことができました。
さまざまな著者がいろいろな角度で語られていますが、これは格差社会に関する問題の難しさもあるのではないかと感じました。
書き手や読み手のバイアスや思惑によって、いろいろな方向性で考えることができる問題、別な言い方をすると、なかなか定義づけるのが難しい問題であることの証明のような気がします。
「『格差はいけない』の不毛」のところでは、日本の格差は高齢者のほうが大きいこと、ジニ係数はトレンドとして上昇しているが、OECDの貧困は中位所得の半分以下の所得の人を貧困と呼ぶことをふまえ、生きていくのに困るという絶対的貧困ではないことを私は知ることができました。この項目を記した大竹文雄(大阪大学教授)は、「人生のスタートの格差を小さく」「最低限の生活水準についてのセーフティネット」「税制も含めた広い意味での保障制度を整備」の3点が必要であると述べており、非常に私にとっても理解しやすい内容であると思います。
「『見える格差』と『見えない格差』」では、「社会階層と社会移動全国調査」が述べられている。ホームページを検索するとわかることだが、2005年度に行われたものは、あまり良質の調査ではなかったようだ。きちんとは調べていないので、時間があるときには調べてみたいと思う。
「『規制緩和』と『格差拡大』は無関係だ」では、ホリエモンのマスコミバッシングについて述べられている。ホリエモンの最近の様子などを、知っておきたいなと思います。
「ニート」という言葉の定義も気になるところです。
玄田有史氏が作ったという説があるようですが、英の定義とは異なる定義であること、省庁によって使う定義が違うことから、私はこの言葉はまだ自分では使わないつもりです。
「いわゆる『ニート』」というように使う可能性はあるとは思いますが。
最後の日垣隆氏の言葉は非常に印象に残ってます。
「依頼は、自分の都合によって生じるのではない。あくまで、先方の都合によって発生する。依頼に応えて結果を出すことを、我々は「働く」と呼んでいるのである」
「我が家では、大学生になったら4年間、ブログの原稿料として学費と生活費を払うことにしている。子どもたちは毎日、ウェブ上で日記をつける。その対価として原稿料を払う。さぼったら、その分を機械的に差し引く。疲れたら一行でも良い」
前段は仕事に疲れたとき、後段は子供が大きくなったら、行ってみたいと思う。
この本に記載されている言葉で、わからない言葉が結構ありました。
「バンクロール」「連綿」「コンサバ」「ルサンチマン」「イデアルテュプス」などなど。
語彙に強くなりたいですね。