りぶらりだいあり

2009/02/28(土)23:16

「きみとぼくが壊した世界」西尾維新を読んだ

きらきらポストモダン推理(275)

西尾維新の「きみとぼくシリーズ」あるいは「世界シリーズ」の第3巻を読んだ。 ○ストーリー 「読んだ者が死んでしまう小説」の謎を解くため,くろね子とサマトキはロンドンへと旅立つ。だが向かう途中の飛行機の中から始まり,たたみ掛けるように起こる事件に2人の旅は翻弄される。果たして事件の真相は? ------------ 「あれ?読みやすい?」というのが第一印象だった。各章ごとに事件が起き,その解決が示され,と,短く区切られて物語が進む。背景として進むロンドンの旅も,楽しげに描写されている。 歪んだような登場人物とやたらロジックをこねくり回す主人公という,これまでの「きみとぼくシリーズ」とはだいぶ読んでいる時の感覚が異なる。よく言えば「楽しく読める」,悪く言えば「ただのライトノベルだ」ということになるだろう。 ------------ これはもはや,シリーズとして異質というより,西尾維新作品として異質とさえ言えるのではないだろうか?章があらためられるごとに,ちょっとしたサプライズはあるのだが,それ以上に特筆すべき驚きは無かった。西尾作品では多くの場合,読者を突き放したような,毒のある展開となるのだが,そうしたブラックテイストが皆無なのだ。 このシリーズはどんな方向に行くのだろうか?心配になってきた。 ------------ 第2巻のキャラクターが一部登場している。なかなかゲスト出演させるのは難しいと思っていたが,意外なテクニックを用いることで実現している。

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