いろいろと片付けていたら
もう真夜中も過ぎてて昼間の喧騒も嘘のように外は静かでなんとなく学生時代を思い出してた木炭デッサンひとつまともに描けなかったのに一年後には卒業制作七人展を開いてて自由課題と自画像と二枚ずつそれぞれF100号とF15号それまでにも課題をこなして木炭画はミロのビーナスから始まって全部で五枚油絵の習作は静物から始まって風景やら人物やら一通りキャンバスも大小様々下塗りの効果を覚えたり基本色以外にどうしても欲しい絵の具を仲間と探しに店に行ったり教授を前にして月に一度の品評会が一番難しかったな毎日毎日おんなじ部屋で一緒に過ごして気心なんて手に取るように分かる者同士で批評し合うなんてほんとに苦労したよみんなそういうのが性に合わなかったしその日は必ず飲み会で誰かの下宿で雑魚寝したなんとなくなんとなく猫の子が寄り添ってるみたいな犬っころがじゃれあっているようなそんな感じでだけどあの時に知ったんだ人の力を伸ばす言葉がこの世に存在することを