2009/07/15(水)15:00
太極拳の上達について
上海で太極拳教室を始めて、思う事。
うちの生徒さん以外にも問い合わせで
言われるのは
『太極拳を練習するにはどうすれば
いいですか?』
『どうすれば太極拳を上手になれますか』
回答
幾つか大切な事があります。
1、良い先生を見つける事
2、先生と技術を尊敬する事
3、練習できる環境を整える事
4、自分で練習し先生と対話する事
5、かっこいい自分を自覚する事
6、日々、練習を続ける事
7、上記1~6を常に心掛ける事
8、今は稚拙であろうと身に付けた
技に誇りを持つ事
1~8を大切に守って生活を回転させると
自然に自分の中に文化が溜まって行きます。
ぴろっっと授業にでて、技の説明を聞いた
だけでは無理です。
私の教室では、色々な面で日本でも中国で
も廃れ始めている何かを大切にしたいと思
っています。
伝統文化を学び鍛える事によって内面を
磨き、更なる高みへ。
と、書くと、敷居が高そうですけど・・・
そんなわけで、今回は私の練習の記憶を。
もちろん、今も修行の途上ですが。
私の師父はすごくすごく練習をしていま
した。
私ら弟子がいない時間は大抵、身体を動か
していたようです。
何しろ、弟子どもが8時9時に集まる頃
には、疲れきってます。
5時前には練習を始めて、我々の練習を
御昼過ぎまで見ていたそうです。
そして、昼は皆、師父の家でご飯を食べて、
めいめい、仕事やら自宅に戻ります。
私の場合、
朝行くと午後は行かない、
朝行かない時は午後・・・・
何しろ、一応仕事してたので。
(正直、仕事か練習の記憶しかないです。)
午後練習に行く場合は3時から夜の9時
あたりまで。
途中でおなかがすくと、近所に硬パンを
買いに行ってモグモグしながら練習して
ました。
大雨が降らない限り、外です。
暑かろうが寒かろうが。
土日は午前午後の練習です。
昼、師父か師娘の作った家庭料理と言うか
麺を食べて、ガタガタとにぎやかに雑談。
家が遠かった私は師父の家のソファーを借り、
昼寝します。
3時過ぎ、来客も含め、人が集まると、
弟子たちは水筒にお湯を入れて外に出ます。
下っ端(私)は、師父や兄弟子の折畳み
椅子やポットも持ちます。
ひたすら練習していると、師父が来て、
誰か一人に技の指導と解釈を始めます。
全員が集まります。
技を軽く掛け合ったり、反復練習したり。
師父も練習をしますが、我々、何してるのか
レベルが離れすぎてて分かんないので、銘々
自分の練習で手いっぱいです。見取稽古には
ならんです。内家拳ですんで。
疲れた人間はさっさと椅子を開いて師父の
隣に座って、兄弟弟子の動きを見たり。
師父が自然と昔話や太極拳の話をします。
夕方だと、だんだん、暗くなってくる中、
堀の向こうの公園から動物の鳴き声や、
帰宅する人達の雑踏がちょっと聞こえてき
ます。
私と兄弟子たちが集まった、師父のマンシ
ョンの裏庭はもう練習できるほどのスペー
スがなくなっています。
あの光景、くたびれてへたたりこむ私、
何時間も動き続けている呉師兄、仕事の
電話で眉間にしわを寄せるピエール師兄、
ニコニコ笑いながら先に帰る李師兄、煙
草に火を付けてぼんやりと俺達を眺めて
いる師父。
沈む夕日、飛び始める蝙蝠の影と街の光。
なんだか、とても一つの絵になる光景だった
と思います。
当時は結構ストイックな環境だと思いまし
た。味もそっけもないような。
でも、今思えば、とてもに充実してました。