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rainywoods2001

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2009.03.03
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日本語文法の本では刺激度NO1の本。
一見、奇異な主張に思えましたが、こういうことか、とやっと整理がつきました。
認識の変革を要求する本で 納得するまで 時間がかかりましたが。
ちゃんと 説明できるかなー。

一般人にとって「主語」とは 動作主や状態主、定義対象、といった「意味上の主語」のことなんですね。源氏物語の解釈で「主語をさがせ」とか レポートで「主語をはっきり」とか、
「主語が省略されている」とか言っているのは、こういう「意味上の主語」で、動作主だったり、状況主だったり、形容や定義の対象だったりします。

ところが ここでいう「主語」とは 目に見える「構文上の主語」のことで、英語では
動詞に変化を起こしたり、代名詞では主格という形があったりと、「意味上の主語」とは別次元で定義できます。
さて、日本語には英語と同様の「構文上の主語」はむろんない。英語の「構文上の主語」に読み取れる意味である動作主や状態主、定義対象などを、日本語にあてはめて 一般人はいわゆる主語と呼んでいるいるわけですね、

日本語に新たに構文上の主語を設定するにせよ、主題、主格が別のところにあらわれることもあるし、なんだか主語が複数あるようにみえることだってあります。
「彼は英語が分かる」なんて文では、「彼は」を主題、「英語が」が主格補語、というそうですがそれで日本語文法は充分なわけで、両者のどちらを主語と呼ぶか、などと問うと混乱するわけです。なるべくそのまま英語に逐語訳すると、
As for him,English is understandable.(can be understood.)
とか、 一応「英語」を主語にできます。
翻訳上の主語はどれでもいいわけです。
英文では ふつうはやっぱり、「彼」を主語にして、
He understands English.
というSVO型が好まれる表現でしょう。
主語のある外国語への翻訳の際は むこうの事情にあわせて主語相当の情報を
えらべばいいだけで、日本文法で主語はどれかとか 悩む必要はないわけです。
日本語文法で構文上の主語概念の設定は不可能、不要であるということになります。
また 主格のないほうが ずっとまともな文である場合さえありますが、
日本語使用者同士でも文脈、状況に依存しない文が必要な場合は、5W1Hとかの情報を
盛り込んだほうがいい。これを「主語をはっきり」なんていってるうちに 混乱するわけです。
 
He understands English.
のSVOを日本の例文に無理にあてはめ、
「彼」が主語、「英語」が目的語、「分かる」が他動詞、としている SOV型のへんてこな日本文法学者がまだまだいて 一般人も影響ををうけているのが問題なわけですね。
「英語」が目的語、という認識につられて、
「英語を分かる」なんて へんな「を」の使用さえ公認されるようになりました。
英文で日本語文法を安易に考えると 日本語のかたちまで壊れていくわけです。

 
ところで 
「この庭は 木が生える。」
という例文では さすがに
「この庭」が主語、「木」が目的語 なんていう人はいないでしょう。

「彼は  英語が 分かる。」も
「この庭は 木が 生える。」も
おんなじ形です。
例文のように、
人をも場所的にとらえ そこで自ずと成立する事態を 動作主なしの自動詞で 認知して
表現する。
それが 日本的認知のありかただったんでしょう。
それが安易な英訳式文法、SOV症候群で見えなくなってきているわけですね。
 
金谷氏は三上章という文法家の主語廃止論をうけつごうという人で、
他の著書もおもしろいです。日本語は特殊だとだけいいたいわけではなく、
主語概念のほうが特殊だ というほうに力点があるようです。
英語も古層をみれば 主語はなかったそうです・・・。





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Last updated  2009.03.03 14:36:39
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