004968 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

輝く翼・纏いし風

輝く翼・纏いし風

(纏いし運命と交差する心 優しき風)

~第4話「確かな鼓動(心)」~

窓から光が差し込み寝ていた者の顔を照らしだすと
その眠っていた者は目を覚ました。

「朝か? ここは……」

辺りを見回して目の前を見てやっと気づいた。

「……哀憐さんの部屋……あのまま寝てたのか……」

雷は起き上がって行動しようとして肩にかかってる物に気付いて驚いた。

「これは……哀憐さんの……」

雷は哀憐の方を見ると静かな寝息を立てて眠っている哀憐の顔が見えた。
とても穏やかで見る者に安心感を与えるような顔だったので雷は少し力を抜いた。

「(ちょっと力入れすぎてたな……注意しないとな……)」

雷が少し動くと哀憐が少し動いた。
その影響で布団の中に隠されていた手が出てきた。

「…………!?」

雷はそれを見てかなり驚いていた。
哀憐が自分の手を握って眠っていたからである
手から伝わってくる暖かさだけでなくて手の柔らかさまでが伝わってきた。
雷は動揺しそうになって慌てて深呼吸をした。
その行動の影響で頭が働き出した。
雷は今の状態を結羽華に見られるのはまずいと思い
布団で隠れた状態に戻した。
雷の動きの影響か哀憐がうっすらと目を開いた。
そのまま起き上がって少し目を閉じて感覚を研ぎ澄ました。
ような感じを発して目を開いて雷の方を見た。
雷は少し驚いた状態で、哀憐が手を繋いで寝た影響の手を布団で隠していた。
その様子に少し哀憐は不思議に思って雷に言った。

「何をしているのですか? 雷様 何かあるのでしょうか?」

哀憐が聞いてきた事に力が抜けて答えた。

「自分の手を見れば分かると思うけど……」

「……? 手……ですか?」

「そうだよ……」

雷の言葉通りに手を見た所しっかりと雷の手を握っている手を見て顔が目立たないくらいに赤くなった。
哀憐は雷以上に動揺していた。

「えっ……あっ……」

哀憐が動揺し過ぎてるのを見た雷は急いで布団で手を隠して微笑みかけた。

「落ち着いて、手を離せば良いことだから……動揺し過ぎてると失敗するぞ」

雷の言葉に哀憐は落ち着きを取り戻して躊躇いがちに手を離した。
躊躇いがちに手を離した自分に内心哀憐は驚いていた。
今まで感じた事のない不思議だった……だけどそれが心地よく感じられた。

「………んさ……」

哀憐はまだ不思議な感覚に囚われている時に何かが聞こえて来て耳を澄ました。

「……れんさん……」

まだボーッとしている哀憐にまた声をかけた。

「哀憐さん?」

哀憐はハッとして瞬きを数回繰り返してやっと目の前に雷の顔がある事に気付いて
少し恥ずかしく感じた。その感覚も感じた事がないものでとても不思議だった。

「哀憐さんまだ疲れが 抜けてないのか?」

哀憐は慌てて雷に微笑みかけて言った。

「大丈夫です。 ご心配をお掛けしてすみません」

雷はその言葉を聞いて安心して言った。

「じゃあ昨日言った通りに出かけるか……いやその前に朝食か……」

哀憐はベッドから降りて雷はもう立ち上がって近くに立っていた。
哀憐は普通の服のまま寝ていたので着替えようとしなかったが雷は少し考えて言った。

「そんなに汚れた服のままで居て欲しくないから着替えな……俺はその間に朝食を用意しておくから」

雷の突然の言葉に哀憐は驚きながら言った。

「でも……ご迷惑じゃないでしょうか? それに私は大丈夫ですけど」

哀憐の言葉に少し脱力しながらも答えた。

「俺が困るんだよ……ちゃんと着替えて来な朝食の準備しとくから……それと俺が勝手にする事だから迷惑じゃないしな」

そう言って哀憐の言葉も待たずに雷は部屋を出て台所に向かった。
部屋に残された哀憐は綾歌が用意してくれた服からちょっと大きめのサイズの服に着替えた。
その服はぶかぶかだが色合いが気に入ったらしく着ていた。
しかもその服はサイズが大きいはずなのに細い身体付きでもまったく気にしないで着てられるようになっていた。
哀憐はその服に着替えて雷が居るだろうと思われる台所に歩いていくと雷がちょうど皿などに盛り付けて運んでる所だった。
雷は哀憐が来た事に気付いて言った。

「哀憐さん着替えたんだな……へぇ……思った以上に似合ってるな
……綾歌さんが用意してくれた物だし売り残りだけど……かなり驚いた。」

雷は本当に驚いたようで物を落とさないようにすぐに置き直していた。
哀憐は雷の言った事の意味がよく分からないが、ちょっと自分の服装を改めて見直した。
ぶかぶかの紺のトレーナーで所々に巻きつけて調整するための紐が付いている
その紐を隠すように薄手の黄緑色の上着も着ていて薄い青色のロングスカートで白のソックスを履いている。
その服装を改めて確認して聞いてみた。

「……やっぱりこの服装はやめておいた方が良かったですか? 私なりに少し気に入ったのですけど……」

哀憐の言葉に雷は少し戸惑ったが言った。

「その服装で良いよ。誰かが似合わないとか色々と嫌なことを言ったとしても俺は、似合わないとか言ったりはしないからな」

「どうして……そこまで心配してくださるのですか? それに雷様は私の味方でずっと居てくださるんですか?」

「心配するのは当然の事だし……哀憐さんの味方でずっと居ると言えるかな……何かが起こらない限りな」

「どうして当然の事なのでしょう?」

「それは町を案内する時にでも教えてあげるよ……だから今はしっかりと食べな」

「……はい」

会話が終わって食事を始めた。

……それから食事休憩も入れて30分後
哀憐と雷は一緒に玄関から出た。
雷は少し周りを見て家の前に広がる道路を右に曲がった。
哀憐は雷の後ろについて来ながらも周りの景色などを見てとても穏やかな表情だった。
家から道路を歩いて5分後(ゆっくりと歩いて)十字路に出た。
雷は哀憐の方を振り返ると哀憐は雷を見た。

「ここは家と学校と商店街と駅に行ける道だよ……4方位になっていて、北に学校で、南に駅、西に商店街で、東が家だよ」

「4方位ですか……目印は?」

「方位は北の方角の電柱にのみ書いてあるから後は分かる」

「あっ……本当に書いてありますね。これなら道に迷ったとしても何とかなりそうですね」

「学校までは北に向かって真っ直ぐ歩いてゆっくり歩いたとしても25分で着くと言っても校舎を間違えたらどうしようもない
それでも俺や結羽華が一緒に行くから大丈夫だと思うけど一応言っとくとフェンスで覆われていて
木がたくさん生えていて校門に綺麗な装飾が施してあるほうが高校だからその隣の校舎が中学だから」

「分かりました。でも通常の場合は一緒にいくのですよね? だったら大丈夫だと思います。」

「そうだね……じゃあ商店街にでも行って哀憐さんの靴とか買わないとな……」

「? どうしてですか? 買う必要はないと思うのですけど……」

「学校の規則とかの関係で普通の靴じゃないと駄目だからその靴だと勝手に弄る奴とか出てきそうだからな」

「私物を守るためですか?」

「近いとは言えないな……規則の影響だから」

「規則……守らなければならないルールですか……」

「そうだね。だから行こうか」

「はい。」

会話が終わり、十字路を西に向かって歩いて行くと、途中で哀憐が足を止めた。
雷は少し考えて言った。

「何か興味深い物でもあったのか?」

雷の言葉に哀憐は少し考えて答えた。

「あそこにある場所は何ですか?」

哀憐が指を指した場所を見て雷は少し考えて答えた。

「この辺りでは、珍しい花が咲いてる公園かな……今の季節だととても綺麗に咲いてるはずだよ」

雷が答えた内容に哀憐は興味を持ったのか、公園を見ていた。

「見てみたいようだな……じゃあ時間は十分あるから寄ってくか?」

雷の言葉に哀憐は雷の方を見て今まで見た事がない満面の笑みを顔に浮かべていた。

「はい、風に乗って良い香りが漂ってきてますね」

哀憐の言葉に雷は少し不思議な感じがしたが、気にしないで言った。

「まあ、そこらの最低な奴等に滅茶苦茶にされてないと良いけど……」

雷の言葉に哀憐はすぐに反応して走って行ってしまったので、雷は少し苦笑しながらも
追いかけて公園に入ると……たくさんの花が咲き乱れていたが、一部の花壇はグチャグチャにされていた。
その花壇の前に立って哀憐はひどく悲しそうな表情で眺めていた。
雷はその様子を見てとても嫌な何かを感じて哀憐の隣に立った。

「酷いな……ここに生えてる花は今が一番綺麗な時だったのに……」

「どうして……どうしてこんな事を……」

「…………」

雷は哀憐の言葉に答える事が出来なかった。
雷は自分の考えを自分で追い出していた。

「こんな事をする人がいるんですね……」

哀憐の言葉に雷は酷く悲しい気配を感じ取って言った。

「こういう人の心に暖かな物を与えてくれる物を壊したがる人も居るんだ……とても悲しい事だね」

「でも……ここに咲いていた花の匂いが微かに残ってますね……また咲いてくれるでしょうか?」

「確かに匂いが残ってるけど……多分ここまで蕾や花の辺りがないんじゃ……種が出来ない……だからもう……」

「!? ……どうにも出来ないのですか? ただ消えるだけなんて……悲しすぎます。」

「……家の庭に同じ花が咲いてるから……そこから種を採って来て撒けばまたこの場所に根を張って綺麗に咲くよ」

「でも、ここに生えていた物とは違うのでしょう……それだとまったく違う物に……」

「ならないよ……ここで少し採取した種だから同じだよ」

「……元に戻るんですか?」

「分からないけど努力はするよ」

「はい、でも……私がここに居る間に見られるか分かりませんから……雷様の家にあるのを見せて欲しいです」

「それはすぐに出来るから……今は行こうか……ここのことは綾歌さんにも報告しとくよ」

「はい、お願いします。」

そう言って二人は並んで歩いて行き
5分後商店街に着いた。

「賑やかですね……それに建物もたくさん密集していますね」

「確かに賑やかだな……これでも建物の密集を避けるように分割配置してあるんだよ」

「そうなのですか? でも、少し暑いですね」

「それは多分……露店が多いからじゃないか」

「あちらで何かあったのでしょうか?」

「いつもの事だよ……物を焼いてれば煙が上がるだろう その影響だよ」

「少し目に沁みますね」

「さてと行こうか、目的の店まであと6分だから」

「……あっ……はい」

「何か欲しい物かなんかあったのか?」

「いえそう言う訳じゃないんですけど……先ほどから変な視線か何かを感じるのですけど……」

「……早く行こう……そういう時は立ち止まってない方が良い」

「はい、何か起こるんだったら人の少ない場所のほうがどうにかなりますしね」

「そうだな……」

雷と哀憐の会話は一旦切れてそのまま話さない内に店の中に入った。
雷は少し店員と話をして哀憐のそばに戻ってきた。

「好きな靴をこの棚の中から選んでくれないかな? ちょっと用事済ましてくるから」

「分かりました。……用事ですか?」

「大丈夫だよ。綾歌さんに頼まれている店の経営状況などの売り上げとかをまとめた物を受け取ってくるだけだから」

「分かりました。」

雷は哀憐と会話を交わして店の奥に消えて言った。
哀憐は雷に言われた通りに靴を選んで気に入った靴が2足あってしまってどうしようか悩んでいた
雷は店の奥で分厚い書類を受け取って少し目を通して、不思議な機械に触れてその資料を綾歌に送った。

「これで、綾歌さんに送り終わったから……1時間後には連絡が来ると思うよ」

「了解しました。社長はどう言うでしょうか?」

「安定していて赤字になったりしてないから労いの言葉くらいはあるとおもうよ」

「そうですか……でもそれだけ好成績と言うことですか?」

「まあ、安定感がない所と比べたら好成績だろうから……これからもこの調子で頑張っていけば直接会う事も出来るだろうね」

「……頑張ります。」

「あんまり緊張しないでいつも通りにやれば良いだけだろう……じゃあ俺は待っている人が居るだろうから行くよ」

「ここの靴は雷様達にはタダで3足までなら良いです」

「ありがとう……多少ボーナスが出るように言っておいてあげようか?」

「いえ、今の給料で十分ですから」

「分かった。じゃあな」

雷が店の奥から出てくると哀憐が靴棚の前で考え込んでいた。

「どうしたんだ? 哀憐さん」

哀憐は驚いて少しぎこちない動きで雷の方を見た。

「気に入ってしまった靴が2足もあってしまって……どちらにしようかと」

「へぇ……どれとどれだ?」

「これとこれです」

片方は普通の学生達が履いているようなシンプルな運動靴で、もう片方はお出かけなどで履いていきそうなお洒落な靴だった。

「なるほど……気に入ったのなら二つとも買うだけだよ」

「えっ!?」

「大丈夫だよ、安いから」

「でも……」

「遠慮はしなくて良いから」

そう良いながらも雷は勝手に哀憐が記した二つの靴を買って袋に入れてもらった物を哀憐に渡した。
哀憐が驚いて雷の顔を見ると雷は優しく微笑んでいた。
哀憐は少し困っていたが、雷に微笑み返した。
雷が歩いて店から出るのと同時に哀憐も出た。
そして雷はひと気が少ない場所を選んで歩いていると後ろから少し篭った声が聞こえた。
雷は少し胡散臭げに後ろを見るとスタンガンを持った男が哀憐の口を塞いでいた。

「相変わらず、卑怯な事をするのが好きだな」

「最高の褒め言葉だぜぇ~っ! てめえを殺すためならいくらでもするさ」

「つまらない奴だな……そんな事しないと俺に勝てないって所がな」

雷は足のスタンスを少し広げて軽く手を握り締めて哀憐を捕まえてる男を睨んだ
その雷の顔を見ると大の大人も恐怖で腰を抜かしてしまうようなものだ、
しかしその男はもう慣れたと言わんばかりの勝ち誇った表情で雷を見ていた。

「それで勝ったつもりとは哀れだな……」

「なんだと……見てやがれ!」

男は哀憐の首にスタンガンを押し当てた。
哀憐は力が入らなくなったようでその場に座り込んでいたが意識はあった。

「力が入らない? 何故でしょう」

男は驚愕に目を開いていた。

「何で意識が在りやがる!」

「何を言っているのですか? 意識がある事のどこがおかしいのですか?」

「何なんだこの女は……」

「普通の女の子だろう。やはり哀れだな……スタンガンで100%気絶する訳じゃないって事もあるはずだからな」

「くそがぁ!!!!」

男はやけになって哀憐の首にまたスタンガンを押し当てようとした。

「哀憐さん」

「はい?」

「力を発動してそいつを吹っ飛ばしてこっちに走ってきてくれ」

「分かりました。」

哀憐の返事を聞いたあと雷は自分の周りをザッと確認すると20人近くの男たちが居た。
しかし雷は焦りすら浮かべないでそっと運命の糸を経由して哀憐に力を送り込んだ

スタンガンが哀憐の首に当たりそうになった瞬間に哀憐が小声で言った。

「雷障壁……」

そう言った瞬間スタンガンが一瞬で壊れて自分を掴んでいた男を派手に吹き飛ばした瞬間に哀憐は雷の方に走った。
雷はその動きを目の端に入れながら右後ろに居る奴の顔面に肘打ちを放って
その隣に居た男の足を下段回し蹴りで払って、背後に近付いてきた男の左ストレートをダッキングで避け
その体勢でステップを踏んで背後に回りこんで脇腹に右フックを打ち込んでバックステップで下がり
右斜め前から殴りかかって来た男の右腕を掴んで引っ張り左ストレートで、顎に打ち込んだ。
その動きで雷の周りを囲んでいた男たちの約3分の2が、泡を吹いて倒れていて
残った奴らは手に鉄パイプや金属バッド・ハンドガン・マグナムを雷の方に向けていた。
しかし雷は呼吸を乱す事もなく焦らずに服の内側に手を差し込んで2丁のハンドガンを取り出した。
左手に握っているのは連射性が優れているハンドガン右手に握っているのは破壊力が高いハンドガン
雷はしっかりと構えた。

「そちらが武器を使うのなら俺はこれを使う。獲物を使わなければ俺も使わなかったけどな」

雷はそう言った瞬間マグナムとハンドガンを持った男の両腕と両足を血管等を外して撃ち抜いた。
たった一瞬で、4人の男は倒れた。
その4人は激痛でのた打ち回っていた。

「大丈夫だ、血管とかは傷付けてないから病院にでも行けばどうにかなる」

雷がそう言ってる間に近接武器を構えた奴らが襲い掛かってきたが、
雷は冷静に二つの銃を自由自在に操って獲物を持った手を撃ち抜いた(血管を外して)。
硝煙と鉄の匂いが漂って数人の人間の呻き声が響く場所のど真ん中に雷は立っていたが座り込んでしまった。
雷の服をあっちこっちが切れていてそこから血が滲んでいた。
相手が恐怖で狙いを定めないで撃っていた時に掠った弾丸などの影響である

「(やっぱり怪我したか……)」

雷が座り込んでいたが哀憐は雷の傍に腰を下ろした。
哀憐は雷の状態を確認して少し安心したような悲しんでるような表情をしていた。

「大丈夫ですか? 雷様……」

哀憐の言葉に雷は哀憐の方を向いて微笑んで言った。

「大丈夫だよ この程度の事は日常茶飯事だから、哀憐さんの方こそ大丈夫?」

「はい、まだ少し痺れが残ってますけど大丈夫です。」

「それは良かった……さてと帰ろうか?」

「……はい……」

「大丈夫だよ、帰れば治療が出来るから」

しかし雷がそう言った瞬間哀憐がいきなり手を握って言った。

「少し……目を閉じていて貰えますか?」

「……分かった。」

雷は哀憐の顔を見て分かったようで一言返事をして目を閉じると
哀憐が少し集中すると雷の体に刻まれた傷が瞬時に治った。
哀憐はそっと手を離そうとして強く握り締めてしまった。
雷はその動きで目を開くと哀憐の顔が朱に染まっているのに少し驚いていた。

「どうしたんだ? 哀憐さん」

「あっ……雷様……まだ痛みますか?」

「……!!? 全然痛みがないな……まさか哀憐さんがやったのか?」

雷の言葉に哀憐は朱に染まったまま微笑んだ。

「はい、でも……「さてと早く帰って花でも見ようか」!!?はい」

哀憐の返事を聞いて雷が歩き出すと少し哀憐がボーッとしていたせいで雷に引っ張られた。
雷は手を見てその次に哀憐の顔を見た。
哀憐は少し恥ずかしそうに俯いていたが雷は少し微笑んで一言行こうと言うと哀憐が一緒に歩き出した。
商店街という人がたくさん居る場所でその二人は目立ちそうに思えたが意外に目立たなかった
その理由としてはたくさんのカップル達が二人の状態とは違ってべたべたしている方が目立っているからである
雷は哀憐の事を気にして歩く速度を哀憐に合わせて歩いていた。
哀憐はチラチラと雷の顔を見ていた
その度に自分の心臓が少し強く鳴るのに驚いていた。
しかし嫌な感じがしないで心強い感じがして何故かくすぐったい気持ちになって自然と微笑が浮かんできた。
雷は哀憐が楽しんでいるような感じがして少し安心していた。
二人は何も話をしていなかったが楽しそうな雰囲気が漂っていた
そして気付いたら家に着いていた。
哀憐は手を離したが、暖かい感覚が残っていて不思議だった。
雷が家の玄関に向かわないで庭に行くのに哀憐が付いて行くと
たくさんの花が咲き乱れていてとても綺麗だった。
現在の時間としては太陽が、南南東にある位置である
その為日差しが花達に降り注ぎとてもキラキラと輝いていた。
哀憐はその光景を見て嬉しそうに言った。

「綺麗……こんなにたくさんのお花たちが綺麗に花を咲かせてる」

「たまに雑草とかとったりするくらいしか手入れはしてないかな……たまに土の状態を確認する程度か」

「でも、こんなに綺麗なお花をあんなにしてしまう人が居るんですね」

「それは……薬になると言われてるから」

「薬……普通に作ろうとしても無理じゃないんですか? あれは普通の薬学者達じゃどうしようも出来ない物ですよね」

「だけどそれを知らないから採取していくんだろうね……でもまたあの場所にこの花が咲くようにしているから大丈夫だよ」

「はい、私が居るかどうかは分からないですけど……あの場所は大切にして欲しいです」

「そうだね……さてと家に入ろうか」

「はい」

哀憐と雷は家の中に入って行った。
その光景を見ていた者は不思議な表情をしてそのまま空間から消えて行った。


© Rakuten Group, Inc.