どうにもならない
どうにもならないどうにも鳴らない鐘が吹く緩やかな風にもベルを揺らさない本体に呼応しているかのように中のベルを揺らさないどうにも鳴らないので諦めて鐘台から遠ざかってみた遠くに遠くに行って鐘など忘れようとしたしかし僕はまだその鐘を鳴らしてみたかった遠くにいく程その思いは高まり耐え切れなくなったと確信したときにもう足はせわしく地面を蹴っていた何日も何年でもいい時間など惜しまないあの鐘に僕はもどった見慣れた風景懐かしい風の感触僕はあの鐘台の下まできていた鳴らしたいお前をどうにも鳴らしたいその音を聴きたい思いは風になるとどこかで聞いた一陣の猛烈な風が吹きつけ鐘をめちゃくちゃに揺らしたはじめて聴く高い音が響いた鐘の大きさに比べとても盛大とはいえない音だった不恰好で心に響くような音ではなかったけれど僕の心は躍っていたどうやらあの鐘はどうにも鳴ったらしいのだ