テーマ:お勧めの本(7380)
カテゴリ:本
杉浦日向子さんの本を3冊買いました。 合葬 ゑひもせす 二つ枕 随分前に図書館に通っていた頃にちくま文庫にはまり、 その中でも印象に残った本です。 「合葬」は特に好きな作品です。 彰義隊に入隊した若者たちの運命を 彼らの目線で描いた秀作。 久しぶりに読みたくなりました。 文芸漫画とはまさに彼女の作品を言うのでしょう。 江戸の風俗、そこに暮らす人々の姿が生き生きと描かれ、 浮世絵のようであったり 写生のようであったり、 絶妙に作風を変えながら、 さらさらと、時折、物悲しく進む物語に 心を打たれます。 淡々としたタッチで、 吉原の男女の機微だとか、 幕末に散った若者の最期だとかを 正確な時代考証を基に静かに描写していて、 余韻が残ります。 はっとする一コマに 目がくぎづけになります。 劇的、扇動的に描かず、 頼りない程の細い線で冷静に表現している その間合いにかえって凄みを感じます。 台詞まわしも独特で面白い。 作者の頭のよさ、博識さ、江戸を愛する気持ちが伝わってきます。 お江戸は粋で唯一無二の都市だったのだなぁ、と感心し、 もっと知りたいと思わせる作品集。 杉浦さんよりも絵の上手な作家さんは沢山いますが、 伝わるもの、心に残るものが確かにあります。 漫画家を引退してからも、 江戸コメディーの解説やエッセイ等で活躍していらっしゃいましたが、 '05年に癌で他界。 手塚治虫氏が逝去したときにも思いましたが、 天才は早死にする…。 46歳は若すぎる。 倍は生きて、江戸の魅力を伝え続けて欲しかったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.08.26 22:26:21
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