山本由伸&今永昇太は故障持ちで小柄…MLBピッチクロック「時短」が負担になるこれだけの理由
ともに体が小さい(左から山本、今永) (C)ロイター/USA TODAY Sports© 日刊ゲンダイDIGITALMLBのピッチクロックが従来の20秒から今季はさらに2秒短縮され、18秒になる。このピッチクロックが故障につながったと断言する投手も少なくない。現時点でピッチクロックと故障の相関関係は医学的に証明されていないものの、米国のデータによれば、マイナーの3Aと2Aでピッチクロックが導入された15年に肘の靱帯を修復するトミー・ジョン(TJ)手術を受けた投手は、前年の157人から171人に増加した(メジャーに昇格した投手を含む)。04年以降では最多となり、翌年以降も短縮シーズンだった20年(82人)を除き、22年まで100人以上の投手が肘にメスを入れている。昨季は全体で92人と3ケタを下回ったが、メジャーに限れば、大谷、レイズのエース左腕シェーン・マクラナハン(26)ら前年の28人を上回る31人がTJ手術を受けた。そもそも山本と今永は体に不安を抱えている。山本は右肘や脇腹、今永は左肩に故障歴があるうえに、ともに体が小さい。山本も今永も身長178センチ。山本が体重80キロなら今永は86キロだ。野茂英雄に始まり、佐々木主浩、田中将大、ダルビッシュ有、大谷……メジャーである程度の期間、活躍した投手はみな体が大きい。車でいうエンジンの部分、排気量がデカいのだ。過酷な移動、中4日の登板間隔、マウンドやボールなど日本とは異なる環境で結果を出し続けるには、基本的な体の強さが必要になる。「中でも今永は体の不安が大きい」と、ア・リーグのスカウトがこう言う。「今永の最大の長所は球のキレ。スピン量が多いから奪三振率も高いのですが、疲労で体力が落ちるとキレも鈍る。ボールのキレを維持するには中5日で、1試合につき80球未満が限度ではないか」今永に対してカブスの倍以上の契約額を用意した球団があったとの報道も中にはあったが、争奪戦に加わったア・リーグの別のスカウトに言わせると、「いや、カブスを上回るオファーはなかったどころか、カブスの正式契約前の身体検査では、左肩の古傷が問題視されたと聞いた」そうだ。初めて海を渡る2人は日本球界とは異なる環境に対応しなければならない。小柄な2人にはただでさえ越えなければならない高いハードルがあるうえ、すでにメジャーで実績のある大谷ですら悲鳴を上げたピッチクロックの問題がさらに大きな負担となって重くのしかかるだけに心配だ。◇ ◇ ◇●記事前編【MLBピッチクロック「20秒→18秒」に…1年生投手の山本由伸&今永昇太には大ダメージ?】では、ピッチクロックに対する大谷翔平の見解など、本記事につながる重要事項を報じている。日刊ゲンダイDIGITAL