節税の達人のひとり言

2006/08/10(木)20:55

相続税税務調査は金融資産探しと家族名義預金探し

相続税(10)

(1) 相続税の税務調査 税務調査は、相続税の申告書を提出した年又はその翌年の秋に行われるのが普通です。 亡くなってから申告書提出まで10ケ月ですので「忘れた頃にやってくる」ことにもなります。あらかじめ日時を打ち合わせし、調査官は一人か二人で、午前10時頃に自宅を訪れます。映画「マルサの女」のように令状をもって何人もが突然乗りこんでくることはありません。 「失礼な質問をすることもありますが必要なことですので。」とお茶を飲みながら紳士的に穏やかに調査は始まります。「調査」といっても、故人の生まれ育ち等の一般的な話しを聞くことから始まりますので、思い出話で盛り上り、調査官と親しくなったような気がしてしまい、余計なことまでベラべラしゃべる方も多いようです。 調査官はプロです。「故人はゴルフ好きだった」と聞けば、にこやかに笑いながらも「ゴルフ会員権があるのではないか。」「故人の妻は働いたこともなく、実家から相続で受けた財産もない」と聞けば「妻名義の預金は実際は故人のものかもしれない」…なんて考えているのですが。 一段落して「では故人の通帳を見せて下さい。」となります。 立ち上がって隣室に取りに行こうとすると「一緒にいってもよろしいでしょうか。」思わず「どうぞ」と言ってしまいます。引き出しをあけて、故人の通帳を取り出すと、家族の通帳も見えます。「それもよろしいでしょうか。」もう見られたのだし、悪いこともしてないしと、これも「はい」と答えてしまいます。これで完全に調査官のペースです。 アッという間に、全ての引き出しが開けられ、通帳も印鑑も手帳やメモ、そして香典帳や日々使う電話帳等々、一切合切について調査官が一点一点確認を始めます。これが通常の相続税調査の姿でしょう。 (2) 何が探されるか 日本では個人財産のほとんどは土地です。しかし土地は隠しようがありません。固定資産税台帳は所有者毎に土地が一覧表になっています。だから「土地を隠しているだろう」という調査はまずありません。 誤解を恐れずに言えば、「相続税の調査」とは預貯金・割引債等の金融資産を探すことです。 過去からのお金の流れを追いかけて、大きなお金の動きを丹念に調べます。亡くなる1年前に引き出した預金なんて簡単に分かってしまいます。 昔の土地売却の申告資料も税務署には残っています。 税務署から銀行に照会し家族分を含め預金確認をします。メモ・電話帳・香典帳に申告書にない銀行があれば当然にそこに確認です。金融機関は税務署に対しては何でも教えてしまいます。 こうして申告漏れの預貯金が見つかります。 大きな問題は家族名義の預貯金等の財産でしょう。 妻が専業主婦だったにもかかわらず何百万円の預金があると「奥さんは無収入ですから、この奥さん名義の預金は、実質的に故人の預金と認定します。」となります。「ヘソクリを積みたてたものですから、妻のものです…」との理屈はなかなか認められませんし、「贈与されたお金です。」と主張しても贈与税申告がなければ説得力ありません。 隠された金融資産を探すことと、妻・子・孫等の家族名義になっていながらも実際のお金の出所は故人となっている預金(「名義預金」と呼ばれます)等を探すこととが、現実の税務調査とも言えます。 ...続きを読む  ・・・ クリックお願い致します

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