最近とにかく心が痛むニュースばかり続くので、季節感も失いがちだった。数日前、本屋をのぞくと、県内の「うまい店」を紹介する本が山積みにされていた。
もう忘年会のシーズンだ。やっと気付いた。中をめくると、和食の店が増えたような印象だ。これも時代の影響だろうか。文庫本コーナーで見つけたのは『文人悪食』(新潮文庫)の一冊である。
その中で石川啄木は、一夜で天ぷら、トンカツ、ビフテキなどを食べ、気勢をあげた。ただし、勘定は金田一京助が払った。
食通の檀一雄は、対談で呼ばれた高級料亭の料理にはしをつけず、終わると新宿のモツ煮込み屋に行った。とある。
食は人なり、である。柳家小三治さんの『ま・く・ら』(講談社文庫)では、家では、たまに手に入った一個の卵も分けて食べたらしい。
まず、しょうゆで倍量に薄め、二十分もかき混ぜ、分配には慎重を要した。それが今や、一人で一個、毎日でも食べられる。
それだけと言えばそれだけの話なのだが、しみじみと温かく語っている。食は人なり、加えて、芸は人なりなのかな。
いつもおなか一杯食べられる今を、寝る前の布団の中で、つかの間の安らぎと、幸福を得た気分になりました。
| 蓮4044 |
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Last updated
2005.12.15 09:04:58
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