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座乱読無駄話日記2

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2021.01.13
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カテゴリ:歴史・本など・・
東アジア圏の古装ドラマに出てくる、長髪垂らし髪の男性は、いまや、当たり前になっていて、私自身もけっこう描いているし、違和感がないのですが、よく考えたら、歴史的にはありえない・・とはいえないものの、かなりファンタジーなヘアスタイルです。

        
(自分で描いた「三侠五義」の丁兄弟です。弟のほうが垂髪)

 本来、東アジアにおいて文明国といいえば、冠帯、つまり冠と帯がある(冠や帯で表せられる位階制度があり、秩序がある)もので、極東の倭国などは、被髪文身(髪をぼさぼさにして被り物なしで、つまり髪を被っていて、体に刺青をしている)の野蛮国だった。
  その後、「文明国」になるべく、官位をととのえ、大方の男子は、髷を結い、頭になんらかの冠帽をかぶることになったのですが、本場中国でも、冠や帽子などは色々な変遷をへたけれど、髪をきっちり髷に結い上げるというのは、清代になって辮髪にされるまで続いたはずです。
 それが古装ドラマでは、成人男性が長い髪を垂らしているのがたくさん出てくる。そして、それは広まって、中国以外でも、長髪男子のイメージは流行している。

 その始まりは、どうやら、1970年代の香港映画あたりからだとか。
 その後どんどん盛んになった。
 そして、中華の男子としてはやはり髷があったほうがいいので、いわゆるハーフアップで、頭頂の髪を半分とって小さな髷を作り、そこには冠や、笄などもさせるので、よりそれっぽくなる。残りの髪を肩に垂らす・・という感じだったのが、今では、かなりその垂らした髪が量も多くなり、長さも長くなっているような気がする。
 で、中華ファンタジーである古装映画で大流行! それが歴史ものにも飛び火している・・かも。

  

(始皇帝暗殺↓)


 そもそも古装ものは、歴史ものというよりは、京劇の近代化の一つで、古来よりの伝統の出し物ではなく、いわゆる時代物を新作する過程で出て来たものだそうだ。理由として、女形の旦の役者が、洋装すると、どうしても体形的にいかつくて、やりにくい・・ということがあったらしいのですね。
 それならば、神話ファンタジーで時代物をすればよかろう・・ということで、美しい旦が、月の女神嫦娥などを演じるようになったのが、古装ものだそう・・。というようなことは、​こちら​に出ていた。
 そして、その古装ドラマにふわしい美女から、武侠系の美形子キャラに、この長髪男子が、なじんだんでしょうね。
 そして、そもそもの長髪男子の起こりというか萌芽もやはり京劇にあるらしい。
 派手な頭飾りの下から、肩に垂れる長い髪をつけた演出があるそうです。それは飾りだったのが、紅楼夢の宝玉の美少年キャラが、京劇風の垂れ髪から、ハーフアップの元素となったらしい。

 (中央の武人には、両肩に長く垂れた髪が表現されている)
↓シャチョウさまのサイトから)
     
↓紅楼夢の宝玉に長い垂髪が・・。
          
 それは、後に載せるシャチョウさまのツィッターに詳細が述べられています。

  紅楼夢の美男美女の典型的なヘア  スタイル。↓
      


 こうした長髪男子は、日本にも勿論波及していますが、日本の長髪キャラは発祥が少し違う。
 勿論、現代ものでも、長い髪のキャラクターはいますが、やはり時代物がなじむのは、すでに歌舞伎などには登場しているからです。
 垂髪美形の方向性だと、義経千本桜の義経でしょうか。でも、この義経は、実は山伏に変装しているのですから、俗人の長髪ではないです。あと、悪役で御爺さんですが、文句ない長髪は「髭の意休」かな。これも出家、あるいは隠居スタイルの表現かも。

 

 ほかに、決定的なのはこれ! 長髪でしょう!
 これは人間ではない、土蜘蛛の妖怪・・そして、悲劇の流人俊寛・・これも人間ばなれしはじめている・・。。

  

 歌舞伎のちょっと悪役やわけあり人物、それに妖怪変化的なものが、髪を結わない長髪・・と関係あるのが、能の演出は、本当に超ロン毛です。
 豪華な衣装にストレートの黒髪は、なかなかに美しいですが、これはどちらも生きている人間ではありません。幽霊ですから「妖怪」の範疇でしょうか?
 
    

 そして我々にもなじみ深い、映画や芝居でおなじみの時代劇の長髪の垂らし髪といえば、やはり由比正雪の垂髪。これも、ある意味アウトローな髪型かも(仕官しておれば当然、髪はきっちり結わねばなりません)。

  

 で、日本では、垂髪は、山伏とか戦場の兜下くらいしか例はないようです。
 後は、大人なのに大人扱いされない牛飼いとか、寺の童子。大人になっても「童子」と呼ばれる人たちです。
 
戦場の兜下の垂髪。
 蒙古襲来絵詞と騎馬武者像
      

    (歴史秘話ヒストリア)

そして、超ロン毛と言うか、絵巻でのそれは、やはり妖怪系だった・・。

(土蜘蛛草紙)

        

 もう一つ、私の中華長髪キャラは展昭です。ちゃんとしたお役人だから冠をつけていますが、ありあまる髪がはみ出している・・・のです。

          



 中華長髪男子の資料はこちらのシャチョウさまのツィッターに詳しく出ています。

「漢族の伝統の衣冠文化に矛盾している髪型だけど、清の『剃髪易服』政策によって衣冠文化が廃れていたからこそ、こんな髪型の存在が納得されるようになっただろう。それに、清末以来もう100年以上伝わっていたので、戯曲界、芸能界における伝統文化とでも言えるのではと思う。 https://t.co/fMcTyLw9cE」 / Twitter


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 ​座乱読後乱駄夢人名事典​   絵置き場
 ​座乱読ー別荘ー​       マンガ置き場。 現在「足利家の執事」連載中











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最終更新日  2021.03.16 23:15:45
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