体感!JUNKムービー

2007/08/22(水)07:08

「宇宙大怪獣ドゴラ(1964)~少年の日のトホホ映画」

特撮映画(84)

東宝特撮初の宇宙怪獣登場! 「宇宙大怪獣ドゴラ(1964)」 監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二 出演:夏木陽介 藤山陽子   ちょうど物心がつき始めた頃だったのです。「海底軍艦(1963)」「モスラ対ゴジラ(1964)」のハードパンチ2連発を浴びたのは。大スクリーンに展開する巨大メカ、そして大怪獣の激突。大迫力の東宝特撮映画によって完全にノックアウトされ、今に至るまで、夢遊状態に陥ってしまいました。(大、大って、大きいものにコンプレックスでもあるのかしら?)  それ以前にも東宝特撮の「日本誕生(1959)」「宇宙大戦争(1959)」を見ているのですが、こちらはうろ覚え(「宇宙大戦争」の宇宙ステーションシーンや宇宙人によって陸橋が浮遊させられ、特急列車が転落するシーンは記憶に残っている)。さすがに幼なすぎて、魂を奪われるまでの衝撃は感じませんでした。がしかし、何かしらの基礎にはなっているのでしょうー三つ子の魂百までってね。    そして1964年夏休み、「宇宙大怪獣ドゴラ」が公開されました。  映画「ドゴラ」のチラシを手に入った。何度も何度もなめ回すように見た。スチール写真には、何体ものドゴラが上空より地球を襲撃している。さらにキャッチコピーは「モスラ、ゴジラよりおもしろい」  あいまいな文章でよくはわからんのだが、なんと、あの大傑作特撮怪獣映画(重々しい肩書きじゃあ)「モスラ対ゴジラ」よりおもしろい映画だというのか、それともモスラ、ゴジラの二大怪獣よりもドゴラは凄い怪獣だというのか、  街角の映画ポスターには、二体以上のドゴラが、上空から大都市を破壊したり、大型客船を持ち上げたりしているぞ!実際の映画では、どんなド迫力場面が展開するのか。    とにかくこれは見に行かないではいられません。  両親に「見たい見たい見たい見たい・・・」とまとわりつき、ようやく見に連れて行って貰いました。    夏休み、おばあちゃんちにお泊まりした翌朝映画館へ。ばあちゃんが「ゆっくりしていけばいいのに」とひきとめても、普段ならたっぷり遊んでいくのだが、この日ばかりは、小遣いを貰えようが、マンガやプラモデルを買って貰えようが、それを振り切っておやじの自転車の後ろにまたがり、勇躍映画館へと向かいました。    そんなにも楽しみにしていたに、見終わって呆然。我が映画人生(まだ始まったばかりじゃ)で、初めて味わう虚脱感。この映画は一体何だったんだ?「モスラ、ゴジラよりもおもいろい」ってどこがぁ?  視線を宙に漂わせ、口を半開きにしている私を見て、おやじが口走った。  「だから、最初からつまんねぇって言っただろ」  言ってないよ。今初めて聞いたぞ。まあ、落胆している愚息、豚児をなぐさめるつもりだったのか。  とにかくだねえ、ドゴラらしいドゴラは、一体しか出てこなかったんだよぉ。    子供はね、怪獣がお目当てなの。人間が出てくるドラマのシーンはひたすら我慢して、 スクリーンに怪獣が登場すれば、一気にスパークするんじゃい。  確かに、そのドゴラらしいドゴラ(でも、ポスターなどに見られた不気味で宇宙的なドゴラとは造型が異なる)が出現し、大暴れ(?)する場面などは、期待感に応えるものでした。ドゴラは、烏賊のような、蛸のような、クラゲのような怪獣だ。宇宙や空中に浮遊して、長い触手で街を襲撃してくる。若戸大橋は、ドゴラの触手に絡め取られ、釣り上げられ、破壊された。  そして、いよいよドゴラ対防衛隊の一大攻防戦が繰り広げられるというときに、ドゴラ本体は姿を消してしまったのだ。  「ドゴラは細胞分裂したぞ!」  させるなよぉ!そのあとは電球の入った光る透明なビニール袋(これがドゴラの細胞やね)が無数に空中を漂い、防衛隊が攻撃を仕掛けるだけ。やめてよ、ビニール袋。ここはやっぱり、触手のある幾体もの大ドゴラと防衛隊のバトルを描いてほしい。戦車やジェット機に絡みつくドゴラ、苦戦しながらもドゴラ殲滅に奮闘する防衛隊。そんな映像が見たかったな。  今、大人の目でDVDを見ると、ダイヤ強盗団の話と宇宙細胞(ドゴラ)の話が同時進行し、両方がクロスする様子など、脚本に創意工夫が感じられます。また、SF的な展開、謎解きも、シリアス志向です。  この頃は、大人とか子供とか観客をはっきり分けるのではなく、一般映画として、大人にウエイトを置いた映画作りがされていたと思います。子供がお客さんになってくるのはもうちょっと後ですね(世の中豊かになり、子供が商売のターゲットになってゆくわけ)。  私たちは子供の頃は、大人目線の映画ばかりだったから、そこから学んだことがたくさんあったぞ、Hなことも含めて(そればっかりとか)。  そういった大人を意識した筋立て-ただ怪獣が出てくればいいてもんじゃない-は、子供のときには十分理解できなかったけれど、特撮系映画を見る上での価値観を養ってもらったように思います(ドツボにはまる手助けをしたとも言える)。  今、CGを駆使して「ドゴラ」を作れば、私が夢想した都市破壊、ドゴラ対防衛隊の一大決戦などが、スクリーン上に展開するかな。だれも作らんだろうけど。  それにしても、この映画でも伊福部サウンドは、魂を揺さぶられます。伊福部なくして、驚天動地のドラマを堪能できません。 そういえば、ドゴラのソフビフィギアってないよな、と思っていたら、DVDの中で商品が紹介されていました。買いに行かなくちゃ。 しかし、「ドゴラ」ってネーミング、かっこいいよな。“ドラゴン”のアナグラムなんだろうけど。  “ドゴラ”じゃなくて“ドラゴン”なんだけど、昨日、テレビ局から、ブルース・リーについての問い合わせがありました。協力させていただきましたが、番組に名前がクレジットされるかな?   人気blogランキングに参加中。クリックしてね。 ご協力、よろしくお願いします。 みんなブルース・リーになりたかった

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