2015/12/06(日)21:17
『WERウェラ−破滅−(2013)』〜リアル系狼男映画
ウェア WER(DVD)
価格:3,435円(税込、送料別)
『ウェア -破滅-』というタイトルを見ても、映画のなかみは想像できない。なんとこの映画は、狼男の話なのである。
おとなしい男がはたして惨殺犯かどうかを追究する前半と、狼男が正体を現してからのアクション、バトルの後半という構成になっていた。
そのストーリーも去ることながら、当方の興味は、どんな狼男が出てくるかだったのだ。
狼男は、かつてドラキュラ、フランケンシュタインの怪物といっしょに、三大モンスターと並び称されたものだ。古きよきユニバーサル・モンスターだね。
ユニバーサル映画では、狼男に噛まれたものは狼男になってしまう。そして、普段は善良な男が満月の夜になると半人半獣の狼男に変身する。また、狼男の弱点は銀である。銀の杖で殴られたり、銀の弾丸で撃たれると死んでしまう。
今回の『ウェア -破滅-』における狼男は、非常に稀な遺伝的病気という設定になっている。そして、狼男にひっかかれた者は感染してしまう。えー!?遺伝子の異常が移っちゃう病気なわけ?。
それはさておき、とにかく狼男は病気なんだと。そういう解釈で、満月の夜に凶暴化することについても説明が試みられる。満月は、海水に影響を与える、人体の60%は水分である、だからある種の病気は満月によって発作が起こる、というように。
この映画の中には、「狼男の弱点は銀」という件は出てこない。けれども、狼男は病気という解釈にならえば、狼男病の人は、銀に対するアレルギーがあって、銀に接するとアナフィラキシーを起こす、と考えられないこともない。そうした場合、エピペンが狼男の強い味方になる。
『ウェア -破滅-』はそういったリアル系の狼男譚なわけだ。勢い、狼男映画の売りである変身シーンがない。つまり半人半獣に変身することはない。
モンスターのイメージをわかりやすく伝えてるのは、やっぱり半人半獣のスタイルである。人間体そのままで凶暴化して怪力で人体を引き裂いても(なかなか迫力があったけどね)、モンスターびいきとしてはちょっと物足りなさがあるけど、リアル系狼男だからね。
もともと狼男は、オカルト系だった。つまり、咬まれる以前に、狼男になってしまうのは、魔女に呪いをかけられたとか悪魔の仕業などのため。そういった闇の存在が、人間を獣=狼に貶めてしまうわけだね。これは、やっぱり獣の姿にならざるを得ない。
弱点が銀、というのも「イワシの頭も信心から」的なものだし。
で、『ウェア -破滅-』の狼男なのだが、変身はしないが四つ足で走っちゃう。このあたりから、リアル系とはちょっとちがう気がしてくる。
どうしてかというと、遺伝性の病気だとしたら、その解釈は満月の夜に凶暴性を発揮する病気で、あたかも伝説の狼男みたいになっちゃうもというもの。その場合は、実際の狼とは無関係なはずだ。
さらに、凶暴化した男は、銃弾で撃たれても死なないんだ!となると、これはますますリアル系ではなくなってくる。
少しずつ、病気から超自然に向かっていった。
しかし、変身して半人半獣のモンズタースタイルを見せてくれることはない。多少毛深くはなるようだが。
そこまでして半人半獣を出さないのは、リアル系を守りたかったのだろう。
そして、タイトルのウェア(wer)だが、そこに破滅という意味はない。
これはwerewolf(ウェアウルフまたはワーウルフ)のwerだったのだ。werewolfとは人狼のこと。
werまたはwereは、manと同じような意味らしい。
つまり狼男は、wolfmanとwerewolf、どっちでもいいわけだ。
で、wer(ウェア)は、男、または人ってことだ。
わざとwolfの部分を削除したんだね、リアル系だから。
ということで『ウェア -破滅-』は、リアル系で迫ろうというのは分かるんだが、モンスターらしくないところが当方は残念。となると、やっぱり狼男映画はオカルト系がいい。
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