2016/09/22(木)23:26
『シャークトパスVS狼鯨(2015)』〜第3弾はお笑い路線か
『シャークトパス(2010)』『シャークトパスVSプテラクーダ(2014)』に続くシャークトパス・シリーズの第三弾。
狼鯨は英語でWhalewolf(ホエールウルフ)。
狼が吠えーるというダジャレではありません。
本編を見るまで、狼鯨は、マッコウクジラとかシロナガスクジラと狼とを合体させた怪物かと思っていました。そうしたら、「鯨」とはなんとシャチのことでした。
シャチはかつて『オルカ(Orca 1977)』という映画があったから、英語名は「オルカ」かと思いました。
イルカとオルカ、これは名前だけでなく、形状からも親戚だとなっとくできます。
でも、イルカやシャチと、クジラとではなんかちがう気がしました。
ところが、シャチのことを英語で「Killer whale」というのだ。
シャチはやっぱり鯨なんだ。
昔、シャチ横内というプロレスラーがいたなあ。
で、くだんの狼鯨は、どのように誕生しかというと、マッドサイエンティストが、カムバックを願うプロ野球選手に、動物のDNAを注入してモンスター化させてしまったというわけ。よくわからないか。
このマッド・サイエンティストが、なんと女医さんなんです。
女のマッド・サイエンティストというのもめずらしい。
女マッドサイエンティストで、思い浮かぶのは『フランケンシュタイン・娘の復讐(別名レディ・フランケンシュタイン)(1971)』という映画です。知っている人はごくごくわずかでしょうが、なんと『第三の男(1949)』『疑惑の影(1943)』で知られるジョセフ・コットンが出演しています。
かのフランケンシュタイン博士(ジョセフ・コットン!)の娘が、父を殺した怪物を退治するべく、新たな怪物を創造するというお話。この娘も、女医さんでした。
父であるフランケンシュタイン博士は、マッドサイエンティストの代名詞のような存在です。
話を狼鯨の女医さん=ラインハルト博士に戻します。
様々な動物のDNAを注入したのに、なぜ狼鯨ができあがってしまったのか。
ラインハルト博士は説明します。「ヒト遺伝子が分解され不安定な状態だわ」「あなたは死ぬはずだった」「何かが触媒となって細胞レベルの変化が起きたのよ」折しも夜空には満月が。「オオカミは月に対して敏感に反応し、シャチは満ち潮を好む」。だからヒト=元プロ野球選手が狼鯨になってしまったのだそうです。
なんともおちゃらけた説明ですが、とりわけ今回はコメディ路線に走っています。
今、『シン・ゴジラ(2016)』で人気が再燃しているゴジラも、『ゴジラ(1954)』『ゴジラの逆襲(1955)』に続くシリーズ第3作目の『キング・コング対ゴジラ(1962)』では、前2作にはなかったコメディ・シーンが賑やかに繰り広げられました。
当方は、正直言って、もっとまじめにゴジラをつくってほしい、などと思いました。
けれど、有島一郎、高島忠夫、藤木悠の掛け合い、とりわけ有島一郎の名人芸には感服せざるをえません。
なので、「ゴジラ映画は一流のエンターテインメント、コメディ・シーンも観客サービス」と見直すことにしました。
なにせ『キング・コング対ゴジラ』は、観客動員数1255万人の観客動員数の、邦画の歴代記録ベスト5に入る大ヒット映画。大勢の皆さんに喜んでいただけるのであれば、当方が文句をいう筋合いのものではありません。
シャークトパス・シリーズ3作目が、ゴジラ・シリーズの第3作目に倣ってコメディ化したわけでもないでしょうが。
さてさて、シャークトパスと狼鯨の対決です。
両雄とも、CGのゆるいところがまずもって残念。
シャークトパスのほうは、ぐわーっと海面から巨体を現しても、なんだか影が薄くて周りの風景との違和感がありありでした。
狼鯨のほうは、CGの立体感があまりなく、アニメと実写を合成したような印象でした。
アニメと実写の合成といえば『ロジャー・ラビット(1988)』とか『スペース・ジャム(1996)』などがありました。
なぜ、狼鯨がアニメっぽかったかというと、その目です。アニメの動物キャラクターと似た目つきをしていたからなのです。
そうした難点があっても、両雄の迫力あるバトルが繰り広げられればよかっと思うのです。
たしかに絡み合いはあるのです。しかし、波止場や野球場でくんずほぐれつするだけ。この絡み合いをさらに印象強く見せるためには、周囲の建物を破壊するなどしてほしかったなぁ。
ゴジラとはいわないが—体のサイズがちがうので—、東宝特撮『フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ(1966)』を参考にしてくだされ。
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