Rapsody in Red

2005/07/16(土)01:41

「ゴールで俺たちを熱くさせろ」についてなど

浦和レッズ・ゴール裏から(81)

 私はこのチャントが結構好きで、いつも、拳突き上げ大声を出していました。  でも、柏戦の後半のように長くやることは今までありませんでした。  何人かの方が指摘しているように、確かにこの言葉は、サポーターが選手へ「俺たちを熱くさせるためにゴールを」と要求する歌詞で、選手へのサポートという意味では筋違いだといえます。言葉をそのままとらえれば、その考えは全く正しいと思います。  でも、ぜひここでゴールがほしい、という場面で、サポーターが「俺たちを熱くさせるように熱く戦え!」と、いわば本音をダイレクトに訴えることで選手を力づけようとするのは、結構いい、と、私は思っていました。  このコールを背に選手が必死でゴールを奪い、「ほらゴールを奪ったぞ、もっと熱くサポートしてくれ」と返してくれれば、ピッチとサポーターのコールアンドレスポンスとして最高ではないでしょうか。  さて、ここまではこのコールについての私の所見ですが、問題は柏戦です。  私はいろいろな方の意見にふれ、あの歌があの場面のロングコールにふさわしかったかどうか、考えています。  あのロングコールが始まったとき、私はいつも通り「とにかく1点返してくれ」と願い歌い始めました。このときは純粋に応援する気持ちでした。  ほどなく終わると思ったコールはUBのリードで思いがけず長く歌い続けられました。私は、1点取って追いつくまで、ずっとこれで行くのか?と、多少の戸惑いを感じたものの、それはそれで良いと思い、さらに応援する気持ちを高めて歌いました。  ところが、追いつくどころか柏が追加点を挙げてしまいました。  このとき、あまりにも不甲斐ない失点の連続に、私の中に少なからぬあきらめの気持ちがわき上がってきてしまいました。だから私はそんな気持ちを振り払おうと歌をヒートアップさせました。  このときの私の歌は、冷めかけそうな自分を熱くさせるための歌で、選手を後押しする、という気持ちは薄れていたと思います。  さらに柏に3点目が入りました。  この時点で、私の中でこのコールから、サポートという意識がなくなってしまいました。  不甲斐ない戦いを見せる私たちの選手たちに向けて、 「本気でゴール奪って見せろよ!」 「おれたちサポが熱くなれないのはお前たちがゴールをあげないせいだ」  といった、ブーイングに近い感情になっていました。  試合終了のホイッスルが鳴り、選手が控え室へ消えるまで、私はこの歌を歌いました。  このときの感情はまさにブーイングでした。選手がゴール裏に挨拶に来たときは特に、悔しい思いをさせるために歌っていたようなものです。  私は他の人がどんな気持ちで「ゴールで俺たちを熱くさせろ」と叫んでいたのかわかりません。多くの人は、最後まで純粋にサポートの意識を持って歌い続けたのかもしれません。  しかし、私の場合、歌い始めから歌い終わりまでの間に、歌に込めた気持ちは大きく変わっていたのです。  で、このコールについてです。  ロングコールでは、コールの最中で戦況が変わり、それに伴って歌う気持ちが変わっていくことはあるでしょう。  しかし、他のコールの場合、サポートする意識が低下していくことはあまりないように感じます。それは、歌詞自体がサポートの意味しか持たないコールだからでしょう。  ところが「ゴールで俺たちを熱くさせろ」という歌詞は特殊で、ふつうにサポートの気持ちを表現することもできるけれど、点が取れない選手に対してのブーイングに近い意味をも表現できるのです。  そもそも、表現される言葉やメロディーが一緒でも、歌い手(私)が何を伝えたいか、ということが、歌の意味や価値を変えると思います。  ですから、私のように、歌い続けた「ゴールで俺たちを熱くさせろ」というコールの意味が、どんどん変わっていってしまう、ということがあり得るわけです。  そして、私自身は、柏戦のサポートは大失敗だったと思っています。  それは、あのコールの善し悪しとか、ロングコールの善し悪しではなく、私自身が「強い気持ちで選手を信頼しサポートできなかった」ということです。あのコールを繰り返す中で、私はサポートの気持ちを薄れさせてしまい、ネガティブな叫びに陥ってしまったことが大失敗でした。  正直なところ、ああいった試合展開でポジティブな気持ちを持ち続けることは難しいと思います。  もしかすると、私と同じように、歌いながら次第にネガティブになって行き、最後はブーイングの代わりに歌っていた人も多かったのではないかと思います。  もしそうだとするなら、あのコールをずっと続けたUBの選択も失敗だったのかもしれません。  ***  今日はロブソン・ポンテ選手の加入が発表になりました。楽しくないニュースにはそろそろ終止符を打って、これからはいい流れにのって上昇していかなくてはなりません。そのために、選手は選手の立場で、監督は監督の立場で、フロントはフロントの立場で、サポーターはサポーターの立場で、最悪だったこの1週間から切り替えていかなくてはなりません。  今回コールについて考える中で、私自身結論としたところは、 どんな試合展開であっても、 どのコールを歌うにしても、 いくら大きな声で叫ぼうとも、 「サポートする気持ち」を込めて歌わなくてはサポートにならない、ということです。  これができれば、私としての切り替えはOKだと思っています。  このことを意識しながら、広島戦、いいサポートができるよう、がんばります。

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