683751 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

 小さな不動産会社のBOSS日記

小さな不動産会社のBOSS日記

ビストロ上海

出てくる量が半端じゃない。
まるで小振りの洗面器をひっくり返した様な盛りというのだ。
で、まず誰もが完食出来ずに食べ残してしまう。
そして、想定されたかの、その残ったものを持ち帰りできるように、しっかりお持ち帰り用のパックが用意されているというのだ。

確かに、見せてもらったメニューには、
・・当店の品はお持ち帰りできます・・とある。

それは、一品料理で注文する、中華料理店の炒飯の事。

大通りを外れた団地の入口の、過疎化した商店街の一隅にその店はある。
五十代の夫婦で営むその中華料理店は、どうやら、知る人ぞ知る、伝説的な店のようだ。

先日、いつも利用する床屋で、私は髪を刈られながら、床屋の店主からその店の様子を聞き及ぶにつれ、思わず爆笑してしまったその話し・・

友人から店の話を聞いた床屋の店主は、最初「嘘だろう~」と半信半疑ながらも興味深々で、とりあえず様子見に、まだ行ったこともない別の友人を連れ出し、その中華料理店に行ったのだ。

で、一応その仰天話を耳にしていた本人は、内心大袈裟な話だろうと疑いつつも、片隅に若干の怖さも手伝って、自分は注文を避け、連れの友に薦めたのでさる。

「この店のメインはチャーハン。今日は俺が奢るから食べなよ」

「えっ!いいの?嬉しいな~」

この店の味はまずまずらしい。
ただ、料理がテーブルに出てくる迄に少々時間がかかるとのこと。 同時に同じ品の注文を受ければ、効率よく2、3人分でも作ってしまうのが普通だろう。 しかし、この店は、丁寧に一人分ずつを作るというのだ。

やがて出来上がり、テーブルに運ばれてきた炒飯を見て、友は目を白黒。
その様子を見て、本人は、
「やっぱり本当だった。注文しなくてよかった~」(^.^)と思ったそうだ。
聞いていた通りの、小振りの洗面器をひっくり返した様な盛りのチャーハン。
聞きながら、私もおよそ頭の中に見当がついた。
そして勿論、連れて行ったその友は完食出来なかったという。

その後も、床屋の店主は、
「美味しい炒飯の店があるから行かないか?俺が奢ってやるから」
と、他人の目ぱちくりを見たさとからかい半分で、時々後輩などを誘っている。
食事はいつも二人分という若い大食漢でさえ、やっぱりその量の多さにびっくりして残してしまう。
で、この炒飯の値段は1000円。
当人は、「半分の料金で普通サイズはないのか」とつぶやいていた。
料金とその盛りからして、1000円以上の価値はあるだろうけど。
女性など、とまどってしまうのではないか。

今でも時々店に行って、初めて注文してとまどう周りの光景に、思わず吹き出しているらしい。

この店には、もちろんお昼の定食もある。
七、八百円程度の定食も、もちろんボリューム満点。
しかも、コーヒー、ジュース、中国茶から選べる食後の無料ドリンクの量も半端ではない。

「普通、茶を頼んだら、茶碗に一杯程度と思うじゃないですか」
「ところが、急須に満タン丸ごと出てきたんですから」”^_^”

で、まだある。
「食後に付くおまけのフルーツなんて、みかんの半分切ったのとか、せいぜいその程度なのに
丸ごとで何種類か、塊の季節のフルーツ盛り合わせで出てくるんだから・・」
「もう、びっくりのびっくりですよ」”^_^”
「店の隅にある冷蔵ケースを見れば、確かにフルーツがぎっしり入れてある」
「一体、中華料理店なのかフルーツショップなのか・・」”^_^”

いつか、友達との宴会用にと、予算3000円位で料理を注文して受け取りに行ったら、
もちろん大満足の大盛り合わせの上に、帰りには「これもよかったらどうぞ」と、
バナナを房ごと付けてくれたとのこと。

床屋の椅子に深々と腰を落とし、いつもの此処でのリフレッシュ気分を味わいながら、その日はまた特別に、大笑いしながら私は気分が良かった。

始めて三年程という、場末の中華料理店。
私は思わず好きになってしまった。
是非私も近い内に心して行ってみよう。
もちろん、炒飯は注文しない。
様子見だ。

一度に客から同じ料理の注文を受けても、一人分ずつしか作らない(作れない?)律儀な店主。

そうそう、こんなこともあったらしい。
やはり床屋の店主が友を誘って店に行き、友がある品を注文したところ、
何故か注文の品が間違ってテーブルに出てきた。
で、中華料理店の店主はどうしたか。
「あっ!すみません。
作り直しますから、それ食べていてください」(^_^.)

「いや、もうこれでいいですよ」という客に、尚店主は、
「いやいや、申し訳ありません、すぐ作りますから、食べながら待っていてください」
そう言って、他の注文で忙しいのに、わざわざ作り直したというのだ。

しかし、客の友は困ったらしい。
何せ、間違って出てきたのも大盛り。
作り直しているのも勿論大盛りなのだから。

でも、安心。
お持ち帰り用のパックがあるから。(^^♪

作り直すとはさすがだ。偉い!
益々興味が湧いてきたその中華料理店。
もう何度も店を訪れている床屋の店主は、未だに「炒飯」注文したことがないと言う。

例えば、お子さんの誕生日祝いで家族全員で行ったらどうだろう。
勿論、三人で炒飯はひとつ注文。
あといろいろ頼める。
フルーツもあって、帰りにはハッピーになれること間違いなし!。(^^♪

その店の名は・・「ビストロ上海」


© Rakuten Group, Inc.