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小さな不動産会社のBOSS日記

人生におけるひとつの幸せ

いただく年賀状には、取引いただいた後、県外に移って行かれて久しい方からのものがあります。

様々な想いで引越しされた方からの賀状の端に一言添えられた文面を見るのはとても嬉しく、また当時におけるお客様とのやりとりを思い起こしながら、改めてひとつの感慨もまた持つものです。

そのひとつに、今年もまた奄美に移住されたあるご夫婦からのものが届きました。
すでに五、六年経つでしょうか、相談をお受けしたときは、終の住処を探されている時でした。

ご夫婦だけの生活は、その生活そのものにはなんの飾りもなく又欲しなく、共有される一点の価値を、自然との共生の中に求められたライフスタイルでした。贅沢とは無縁な。

必要最低限を賄う為に必要とする生活費をその都度に職を選び求めるでもない形で糧を得る。
そして多少の蓄えが出来ると旅に出る。
旅を楽しむ為にまた、人生における一定期間を費やすというような。
しかもその旅行地は、決して所謂メジャーな観光地ではなく、例えばニューギニア?だったり、スリランカ?といった具合なのです。
ですから打ち合わせの為に訪問するマンションの狭い部屋には、それらを十分に彷彿させる民族品が多く飾ってあったりしたものです。

「いつになるかわからないけれど、夫婦でどこか最適な移住地が決まればということですから、気長く付き合ってください」と所有マンションの販売依頼を受けたのです。
その期間中もあちこち、その夫婦の最高の終の住処を仕事の合間に探されていました。

やがてしばらく経ったある日。
「○○さん、やっといいところが見つかりました」
「いよいよ引越しです」
「紹介され職にも就けそうです」
「後は宜しくお願いいたします」
そう言われ、とっとと先に引越しされたのです。

空き家を任され、なんとか売却先も決まり、最終取引の際には、またわざわざ奄美の方から、私への土産の黒糖焼酎を片手に来ていただきました。

いつも変らぬ自由なライフスタイル。

あれから六年は経つのでしょうか。
当時、お二人を訪問する度、限りなく自由に屈託なくその共有の生活感を話されるご夫婦を、どこかに同様の感情を持ちながら、つい日常に埋没している私は、とても羨ましく思ったものです。

とっておきの地を奄美に見つけられ、やはり当時と同じく、大切なライフスタイルを保つ為にだけに最低限の収入を得るを良しとする。
おそらく今でもそれを実行しながらきっとお二人で、美しく限りなく優しい自然と共生されているのではないでしょうか。

今年もそのご夫婦から賀状が届きました。
裏には写真が・・
自由の女神とその他いくつかから判断するにアメリカへ旅されたのか。
お二人には少しゴージャス?な感もあり、そしてその端には笑顔の懐かしきご夫婦の写真が。

真の価値を味わいながら、価値ある真の人生を謳歌されている素晴らしい理想形。
便利な日常に身を置きながら一瞬逆にこちらが無人島にでも取り残された様な錯覚さへ陥りながら、私はその賀状を眺めつつ少しほくそ笑み、その幸せのお裾分けに与るのです。



そして、前々日に書いた旅についての事も甦り再び思ったのです。

町並み田園、海に空の青。
綺麗な風景と国境を越えてしまう人々の笑顔。
その何気なくそこに存在する風景、光景に一切の贅沢は垣間見えず、ヴィトンもグッチも金ぴかロレックスも、あるいはきらびやかな衣装や人等およそ似合わない。

華やかな建物も派手なネオンサインも、その類のブランドは何一つないなか、しかしそこにはそれらが到底及びつかない良質なブランドが存在している。人に風景に。

生きる上に大切なものが溢れている地球風景。
歓喜の素晴らしい人、そして風景世界への憧れ。

例えTVに写る風景、光景を観ていても、幸せ感は胸の中でたまらないほどに膨張していくのを覚えるのです。

例えば美しき風景を見るごとく、どのような美人や化粧顔にも劣らぬ、誠実な人生を重ねた人に刻まれた、真に美しき顔の皺を観る事ができるというものです。
本当の美しさと価値。
清らかな感情は、永遠に老いることを知らない。

真に美しきもの、価値あるものを理解し自らに持ち、そして心に収めていける人の生き方というものが、如何に輝いているかを。



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