小さな不動産会社のBOSS日記

2005/08/30(火)02:02

ひとつの取引にて

一つの取引が終わりました。 数ヶ月前に声を掛けていただき、その後契約。 今日、最終の決済だったこの取引。 そのとき相談を受けたのは、ご主人が亡くなった後の自宅を、事情あって売り払うことになったため。 亡くなったご主人には、五、六年前の生前時にある取引をさせていただきました。 何度か打ち合わせでご自宅にじゃまさせていただいた時には、いつもご主人の陰にあって、ほとんど会話することもありませんでした。 そして当時、ご自身がメモ書をし、こっそり手元に残された当社の電話番号を頼りに、突然の今回の相談をしたとのことでした。 いろいろ事情あるなかで、いつかまた役立つことがあるやもと、大切にされていたそのメモ書きされた電話番号の話を聞いて実に有難く、是非なんとか力になれればと心に強く思ったものです。 先日は、引渡しを前に、居をここから少し離れた馴染みない都会のアパートへ移された、70半ばの老婦人。 しかしこの方には、住まいは変わっても、苦労して女手ひとつてで育てあげたという、事情故の疎遠であっても、これまでも互いの気持ちは近く心の支えであった大切なお二人の娘さんがいらっしゃるのが幸い。 「これからがまた新たな人生ですよ」という若輩に、 「そうですよ、まだまだ80も90も生きなければ・・」と これまでの人生を取り返さなければ、とでもいう風に、にこにこと笑って答えておられました。 人生様々。 子供さんに恵まれたこの御婦人の新たな門出には、長い間の苦労もまた、しみじみと笑って語れる希望があります。 そして今日もまた、あの走り書きの電話番号のことを、「良かったと 良かった」と感謝され、 こんなときには、私もつい気恥ずかしく思いながら、過ぎた私のこれまでの人生様々を笑顔で振り返りながらも、これから先のどんまい人生に期待しつつ・・ 車でお送りした駅近くでの別れ際。 「身体に気をつけて元気で頑張ってくださいよ」 「本当に有難うございました」と 互いに言葉して、感慨深い取引がまたひとつ終わりました。

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