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次なる挑戦 ・・・ 日本人の技

2011.09.27
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 品川 博      ・・・・ http://www.shinagawa3.com

 ※この内容は、月刊「左官教室」No.605(2006年11月)に掲載されたものを、筆者の了解を得て転記したものです。

その1. 「日本の唱教団」左官工事を終えて

 宗教法人「日本の唱教団」、このお寺の本堂・客殿・庫裏新築工事に左官工事が着手して1年と数カ月が過ぎ、2006年7月ついに左官工事の終わりを迎えた。

 本堂と客殿は、内部外部とも、荒壁付けから白漆喰押エ仕上げというすっきりした内容で、工事はスムーズに流れた。

 庫裏に移ってからは、古建築の移築という特殊事情もあり、各職とも多くの時間を費やしているようだった。

 左官工事の内容は、荒壁付けから、白漆喰押エ、黄漆喰押エ、中塗り仕上げ、洗い出し、土間のたたき等、後半は施主側からの要望で、サビ壁や赤い壁、鏝絵まで登場することになり、多様な内容となった。

山間の静かな土地に、裏山を背負うようにして建つこのお寺の工事は、空気も良く、ビル工事のような、多職種が入り乱れての時間刻み、日にち刻みのプレッシャーもなく、心落ち着いて仕事に向かうことができた。

 そんな中で、亀腹やサビ壁、赤漆喰にサクラの鏝絵等々、思い出不快コトは数々あるが、私にとっての一番の事件は、昨年の真夏に本堂で起こった漆喰押エ事件である。(左官教室No.596・・・2006年2月号で報告させて頂いた)

 そのことが、1年後の今日まで続くとは、私自身も予期せぬことだった。
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      (日本の唱教団 本堂・・・写真は、2007年第2回 日本漆喰協会作品賞受賞作品発表 より引用)



その2. わがままな心から

 漆喰押エ鏝について簡単に記すと、若干乾きすぎのタイミングで押エ作業をすると、「ひきおこし」が起こる。 私自身も「ひきおこし」が起こらないようにどりょくはするが、「鏝よ、おまえももっと乾きに追従してこんかい!」といったような思いもあり、試行錯誤の結果、二重構造の漆喰押エ鏝が、鏝鍛冶の名工・五百蔵満弘氏(私は、この人を鏝鍛冶の名工だと思っている)の手により完成され、世に出るに至ったというものだった。

 私地震、この鏝については、以前に比べ随分使いやすい、いい鏝になったことを制作に携わった者としてうれしく思ってはいたが、ただひとつ、錆びるという欠点が気になって仕方なかった。というのも、このこては他の鏝に比べ、暑さ0.2mmというデリケートなものだからである。
 
 いろいろ考え、過去の比較実験を思い出してはみるが、いい発想や発見もないまま、このことは頭の隅に追いやられ、ぼんやりと時は過ぎていく。

 「鏝よ、私も手入れはするが、おまえ自身錆びないで、性能を落とさない物はないのか!」

その3. 元気と勢いから生まれる発想とアイデア

 今年3月、私は仕事関係で故郷島根県へ行くことがあった。
一つは、太田市(渡部孝幸氏)からの左官の手による看板作成。
もう一つは、松江市で島根県左官工業協同組合(佐川邦雄理事長)からの、セメント工作物講習会(2日間)の依頼で、日にち調整までしていただき、1度に2つの目的をもっての帰省となった。

 その方の関係各位の皆様には大変お世話になり、大変思い出深く、貴重な体験になりました。 後日、浜田市の組合員様より、「秋に左官の作品展示会をやろうと盛り上がっている」とのうれしい知らせもありました。

 さて、ダラダラと過ごした日の晩酌と、仕事と格闘し無事終えた日の晩酌のうまさが全く違うように(この例えは私独自?)、充実した後には、その元気や勢いの余韻のようなものが残るようだ。 その余韻が残る帰り道の中国自動車道でのこと、頭の隅におしやっていた「錆びない漆喰押エ鏝」のことが、点と点から結びついて、一つの形が頭の中で出来上がった。

 これならいけるに違いない。 早速実験してみなければ・・・。 アクセルを踏む足に力が入る。

その4. 活かせば無駄なし 

「左官教室」連載者の写真家であり、プランナーでもある藤田洋三氏が、点と線との話をされたことがあった。 それは、点が一つでは形にならず、二つでも形にならない。 三つになった時から、それが線でつながっていって、やっと最低の形になるという話だった。

 条件というものは、少なくても三つぐらいが繋がってまとまらないと、形、いわゆるモノにもならないのだ、と私なりに貧弱な解釈をしていた。

 その「点」が、繋がっていく材質に思い当ったことに加えて、私の思い込み的暴走推理が、必ず、錆びない漆喰押エ鏝として成り立つと思い込んだ。 

 実験にたいしてはまず、その鏝を作ることから。 それには時間がかからず、材料は私の家にあった。 それ以前に知人から鏝作りに役立たないかrともらったもので、少し触ってはみたものの、こんなものでは鏝としては成り立たないと、いわゆる鏝作りの材料としては、薄すぎるし、癖はつくしで、全く前向きになど考えられなかったものだった。 何度も家内に、狭い家なのにいらないなら、燃えないゴミの日に出すと言われ続け「まあまあ、まあまあ」と置きっ放しで、10年近くになっていたものだった。 この材料は、簡単に手に入るものではないし、何かになると思っていた。 それが、今回の二重構造ということと、材質の特徴の似る点が多いことが繋がって革新を持ったものだった。

 手作りで新作の漆喰押エ鏝(実験用)は容易にでき、その手で漆喰を練る。

                    ・・・・・・次回へ つづく・・・・               
      
     




      sIMGP1725-up.jpg    月刊「左官教室」No.605(2006年11月)掲載(筆者:品川博
























        










Last updated  2011.09.29 09:38:38

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