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次なる挑戦 ・・・ 日本人の技

2011.10.09
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品川博さん考案「ドライウォッシュ工法」に迫る!


  ~1mm未満の小粒子を表現できる乾式洗い出し~

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この内容は、「建材フォーラム」誌 株式会社工文社 2009年11月号工法レポートより転載しております。

          ・・・ 前回からの つづき ・・・

 

  工 法 発 案 の 経 緯  

 「ドライウォッシュ工法」を発案するきっかけとなった出来事は、品川さんが22歳の夏まで遡る。 ある公共工事で、土間の二分石洗い出しを納めたときのことだ。 専ら野丁場を手掛けていた当時、その方法が分からず、元請けの左官に教わった通りにやってみたが、タイミングを間違えたために失敗したという。

 残された工期は一週間、 対処に悩んだ挙句に、以前、ワイヤーブラシで汚れを掃除した時のことが品川さんの脳裏に浮かんだ。 早速、購入してきた硬めの亀の子ブラシで水を使わずに掻き落としたところ、奇跡的に石も飛ばずに、好きなだけ素材を出すことができたそうだ。 「夏場で、乾きすぎが運が良かったんです」 と、品川さんは苦笑する。 結局現場はすべてこの方法で納め、検査も難なく合格。 しかし、そんな奇抜なやり方で施工したと知られたら問題になると思い、誰にも話すことなく、次第に、品川さん自身も忘れ去っていったという。

 そして、最近になり、海の綺麗な砂を素材として生かす方法を探っていた品川さんは、ふと当時のことを思い出した。 「あの粗いブラシで二分石が出せたのだから、細いブラシなら海砂も出来るのではないか」 と思いつき、即座に試してみたところ、首尾は上々。 そこで、真鍮やステンレスなど、様々なワイヤーブラシをホームセンターから買ってきて、さらに追求、実践を重ね、工法としてまとめた。 そんな話を周囲にしたところ、、「教えて欲しい」「現場でもやろう」 と反響を呼び、手ごたえを感じた。 ノウハウを正しく伝えれば、 との思いを新たにしたという。

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写真20                                      写真21

  写真20:完成したドライウォッシャーブラシ。奥の小判型をメインで使用し、際や細部には細型を

               使うと便利。

  写真21:「ナメラァ-ト三木」での一幕。新工法は、熱心な職人の間で口コミ的広がりを見せている。

 

 

   ドライウォッシャーブラシ について 

 地元の盛んに工法を伝える中で、「教えられた通りにやっているが、砂がどうしても飛んでしまう」 との声が目立ってきた。 それが乾燥のタイミングを誤っているせいなのは分かっていたが、「一粒ずつの砂について、しっかりと素材あらわし仕上げをできるか」 と自問してきた品川さんにとって、「落ちた」と耳にするのは残念でならない。 また、これを放っておいては「難しい仕事になってしまう」 との危惧も抱いた。

 そこで、生乾きの状態でも極力砂が落ちないように、ブラシをより柔らかく改良することを思いついた。 親しぃ問屋のつてを通じて、特注ブラシの制作を依頼することにしたのだだ、問い合わせてみると、最低ロットは100本単位から。 「そんなに必要ない」 と渋っていたところ、問屋の株式会社関忠が、製造販売を申し出てくれたのだという。

 品川さん慣習の下で完成した「ドライウォッシャーブラシ」 は、極細ステンレスワイヤーを一定の長さで配置、植え付け加工を施したもの。 ステンレスを採用しているため、真鍮のブラシのように力を入れすぎて黒ズミが移ってしまう心配もない。 小判型のものがメインで、際や細部の施工に便利な細型を揃えている。 問い合わせは、製造発売元の株式会社関忠「職人魂」(兵庫県三木市末広3-4-33 TEL:0894-82-2318)まで

  

  ま と め ・ 意  義   

 「品川式・ドライウォッシュ工法」 に込められているのは、「素材を生かす」 というテーマだ。 ここでは島根の海砂を使用しているが、発想次第でどんな素材でも生かすことが出来るのが、この工法の最大の特長であり、魅力だと言える。 ふるさとの庭の土や、旅行先で拾ってきた思い出の砂を表面にあらわすこともでき、施主への提案の幅も無限に広がる。

 その根底にあるのは、「地場産をもう一度見つめてほしい」  という左官に向けたメッセージである。 品川さんは、島根の海砂から、「桜貝」のピンク色の美しさを見出した。 それは、村の中からスターを発見するようなものだという。 スターが、他の砂と混ざってしまっては「埋もれてしまう」からこそ、表面にあらわしてあげなければならない。  

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 旧来、左官は地場で採れる土や砂の持ち味を生かしながら、土地に根差した魅力的な仕上げ工法を開発し、地域ごとに独自の文化を形成してきた。  スターを見出す。 という感性は、左官が本来備えていたものだと言える。 そして、光るスターを見抜き、生かし、演出し、ドラマを創り上げる左官を、品川さんは「映画監督」になぞらえる。 「映画監督として優れた人は全国にいくらでもいると思うし、大いに生かしてほしい」  と話す。 工法を生かすのはあくまで感性次第だからこそ、品川さんは、技術をオープンにしている。 

  その背景には、左官が仕上げの分野から離れている昨今、この工法をきっかけに全国の左官に少しでも元気を出してほしい、という品川さんの願いがある。 普段見慣れている地場の海砂の中から美しい素材を見出し、それを生かして施主や設計の先生に魅力的な提案をするところから改めて開拓し、「左官をもう一度盛り上げていこう」 というメッセージがこのこうほうには秘められている。

 一方で、「この工法の真意が伝わらなくても、別に構わない。面白さを一人でも理解して愉しんでくれたなら、それで満足」 と無邪気に微笑む品川さんの笑顔に、清々しいまでの職人気質が漂う。

 この極めてシンプルな「品川式・ドライウォッシュ工法」 は、「ありきたりの中で可能性があるということをもう一遍思い出してほしい」 という品川さんの提唱であり、左官の自由さと遊び心を含んだ、原点回帰と呼べる工法だと感じられた。 ぜひ、実際に挑戦し、その心に触れてみられることを記者も願ってやまない。       (取材/U)

 

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以上、(前回から引き続き)この内容は、建材フォーラム誌(株式会社 工文社)2009年11月号(No.399)より転記したものです。

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Last updated  2011.10.10 12:39:16

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