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男の羅生門 ‐ Guitar&Bike Life ‐

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Bizen Grain Arched Top Jacaranda Neck



愛知県に拠点をおき2017年にOPENしたばかりながら既にその名は業界の中で知れ渡り、
規模を拡大している今話題、旬の人気ブランドが『Bizen Works(ビゼンワークス)




オーナーの坂本行宏(さかもとゆきひろ)さんは神田商会の岐阜事業所に所属しており、
長らくZEMAITISカスタムショップの工場長(マスタービルダー)を務めていた敏腕ビルダーです。




そんな Bizen Works 最大の特徴と言えば、圧倒的な木材力が1つ言えます。
ハカランダやキューバンマホガニーといった既にワシントン条約で伐採が厳格化され、トーンウッドとして使用できる良質な材は存在自体がほぼ枯渇して無いとされる幻の神木。それを独自のルートで手に入れる調達能力が業界でも指折りで、希少材の中でも厳選に厳選を重ねて楽器として使えるものだけ使用するという『財力』ならぬ『材力』を持ったメーカーでもあります。

坂本氏がヴィンテージレスポールをこよなく愛することから、どのシリーズにもヴィンテージに肉薄する旨味がありながら単にレプリカではなく、先進の技術を取り入れ現在の音楽シーンに合う大胆なブラッシュアップが施された仕様。そのフラッグシップモデルが『Grain』 そして王道スタイルを継承している進化型スタンダードスタイルが『Bizen BURNED』とのことです。共にBizen Worksのブランドコンセプト(ヴィンテージギブソンに敬意を表して現代で使える楽器)として生み出され、最高のマテリアルと最高の木材、技術を詰め込んだモデルとなっております。

今回、手に入れたのはその中でも希少なハカランダ材(通称:ブラジリアンローズウッド)を指板のみならずネックにまるごと投入したという『Bizen Grain Arched Top Jacaranda Neck -Lemon Burst- 』という個体です。この仕様に関しては『Bizen BURNED』を共同開発したというクロサワ楽器 名古屋店のオーダー品で『ハカランダネックのバーストレスポール』というのがコンセプトとのことです。コンセプトを伺ったところ非常に丁寧な文面で返信が来たことからそのまま文章を転記させていただきます。





​■Bizen Grain Arched Top Jacaranda Neck -Lemon Burst-​




​​​​​​​​​クロサワ楽器様 返信文(抜粋)

今回ご購入頂きました個体のオーダーコンセプトは一言で表すと”ハカランダネックのバーストレスポール”というイメージでした。

本個体以前のハカランダネック発表時と大きく違った点として「Bizen BURNED」シリーズのリリースがございました。私が名古屋店勤務(Bizen Worksの近所)である事やBizenの取り扱い販売数が全国的に見ても当店が多い事から、実はBizenの坂本氏と私も含めディスカッションを重ねて発表されたシリーズです。

その「Bizen BURNED」シリーズ自体はGrainと違いヴィンテージに寄せた、よりギブソンに近いシリーズで、リリース後から多くの反響があり現在も当店では入荷後すぐにSOLDとなる人気シリーズとなっております。 「Bizen BURNED」シリーズとフラッグシップラインとなる「Bizen Grain」シリーズを掛け合わせた一本を製作したいと思いオーダーした個体が本機です。通常のGrainとの大きな違いとしてボディ厚をBURNEDと同様(一番厚い箇所はオリジナルレスポールと同等)とした事が挙げられます。

これにより前回のモデルよりもレスポールに近づいた印象サウンドとなり、その乾いたヴィンテージレスポールトーンの中にハカランダネック特有のガラスが割れるような重厚感溢れるサウンドがプラスされるという狙い通りの出音に仕上がりました。



また、ルックス面でもPRSのように整ったカーリーメイプルやキルトメイプルを比較的派手なカラーリングで仕上げたり、スポルテッドメイプルやバールメイプル等のエキゾチックな印象の木材をトップに使用する事が多いGrainですが、こちらも敢えてフレックの入ったワイドめなトラ杢を使用し、BURNEDシリーズでも圧倒的な人気となっている「Lemon Burst」フィニッシュとしました。

これで当初のコンセプトであったヴィンテージバーストルックながらハカランダネックを使用したBizen Grainでしか製作出来ない特別な一本が仕上がりました。 ここに至るには私がもともとレスポール好きである事やBizen BURNEDシリーズの成功等、様々な要素が重なっての事でしたがBizen Worksのブランドコンセプト(ヴィンテージギブソンに敬意を表して現代で使える楽器)からしても「Bizen Grainの一つの完成形」とも言える一本になったと自信を持って言えるギターです。

「ハカランダネック」のギターはやはり他の通常流通するギターとはまた違った魅力がございます。それはサウンド、ルックス、所有欲等、自分のギターとして考えた時に欲しい要素が全て詰まっている夢のスペックと言えます。是非とも末永くお付き合い頂けますと私としても幸いでございます。​​​​​


という丁寧なご回答を頂きました。
ここまで語ってくれるというのは有難い限りで、自分の相棒となった特別な1本に対してのコンセプトを知ることに対して大変嬉しく思います。こういった想いや仕様の狙い、スペック根拠というのは非常に貴重な情報で個人的には音作りにまで影響を及ぼします。と言うのもコンセプトとズレた音作りではなく特性を生かす方向で考えたいというのが個人的な考えだからです。









さて、実際の本体はと言うと・・・『日本の職人技』という言葉がピッタリのハイクオリティです。レスポールと言えば本家ギブソン。いわばコチラはそれを模して進化させた『レスポールタイプ』なわけですが、現行ではややワイルドな仕上げの本家に対して職人気質な日本人だからこその情熱を注いだかのような精密で圧倒的な完成度。とりわけボディアーチや細部の精度、仕上げの高さが素人見でも高貴なオーラを感じ取ることができます。




トップ材に用いられる硬質なハードロックメイプルに見る角度で浮き出す上品な杢とフレック。トーンウッドの音響特性を加味して組み合わせた上質なホンジュラスマホガニーをバック材とし、これでもかと選定したハカランダ指板&ネックをジョイント。見た目からして高品質な材です。




この辺はGibsonでもHAND SELECTというものがありますが、木材豊富なBizenとしては既にSERECTした材のみしか扱っていないので、SERECT材からSERECTする『究極のHAND SELECT』といっても過言ではないのではないでしょうか。 木材接着は全てニカワ接着、トラスロッドもチューブレスを採用する等、最新でありながらも音に影響する部分はオールドスタイルを継承しています。






弾き易いようにとバックに大胆なコンターが設けられております。また、セットネックながらハイポジションが弾き易いヒールレス構造、635mmネックにコンパウンド・ラジアス指板、非対称ネック等、実戦する為のこだわりが随所に散りばめられ、単なるレプリカではなく道具として戦う為に生み出されているギターだと感じます。




ご覧の様にバックコンターがあることで上部から見るとボディ厚がレスポールらしからぬ薄さに見えます。とは言え、今回手に入れたGrainはボディ厚を一般的なレスポール同等に設定しているので通常よりもレスポールライクなファットなトーンが放たれます。ネックまで続くカーリーメイプルのナチュラルバインディングも美しく、光に照らしても接合部とのツラが分からないほど均一に接着され、加工技術の高さを垣間見ることが出来ます。






そして肝心のサウンドですが・・・
お世辞抜きで 素晴らしい の一言。
アンプを通さずともストローク一発で明確な差を感じる出音です。






特徴的なサウンドのコアともなるハカランダ指板&ネックはボックスジョイントを採用していますが、一般的な指板エンドまでではなく、フロントピックアップ下まで延長されています。高精度なボックスジョイントでボディとの面積を多く確保出来ることから各弦を弾いたときに1音1音の情報量と全体の一体感。特に分離感が半端なく、“美しい” という音が良く似合う、これまでに無い気持ち良さです。マホガニーネックやメイプルネック等と比べても立体感や輪郭のクリアさ、反応速度がズバ抜けています。 総じて良いギターに共通する『音の終着点(減衰具合)が痛くなく終わる』という特性もしっかりあります。




ピッキング後の立ち上がり~減衰までの流れや、美味しいところだけを抜かりなく拾い上げる音はバランスが良く、何処かヴィンテージテイストな揺らぎを感じながらもイコライジングされた様な美しい鳴りを感じます。素直に『凄い気持ち良い』と感動させられるものがありました。




生音と溢れ出る倍音成分が同時に発音されるスモーキーなダブルトーン。タイトでギラついていながらも太く、不快な高音域が調律されていてメチャクチャ気持ち良い。音が減衰するにつれて裏返り、倍音が残響音としてサスティーンと共にフェードしていく・・・ピッキングのアタック音だけでも音楽性を感じる繊細で多彩な表現が出来るというのが本器最大の魅力だと感じます。




一般的にこういったサウンドはエフェクターあり気でセッティングを追い詰めて辿り着くことが多いのですが、エフェクト無しに本体だけで得られてしまうというのは驚異的だと感じます。そして、単純にこの美し過ぎるハカランダネック・・・明らかにGibson本家でも在り得ない組み合わせでギター好きであれば夢の様な仕様だと思います。使用されるハカランダも 密度・艶・高貴な輝き。これはヤバいです。




装着されるピックアップはBizen OriginalのPAFを狙ったハンドワイヤ―ドのヴィンテージタイプをSET。ハカランダネックから生まれる『ガラスが割れるような』という表現は相応しく、ドライブサウンドでは『あれ? ファズでも繋いでたっけ?』となる、バリンとガラスを砕いたような鋭さも同居し、良質なファズを絞ったときに得られる様な豪快かつ繊細なタッチレスポンスとバイト感、鈴鳴り感が同居したサウンドが抜群の抜けと共に放たれます。 




電装系の仕上げも丁寧です。この辺のサーキット木工部分の精度は本家Gibson、Navigator、Crews、ESP、Killer等、所有するギターの中でも一番美しいのではないかと思います。特に掘削断面の仕上げが非常に美しいです。ハイパスコンデンサーも入っており、トーンコントロールだけでハイゲイン設定からクリーンまで全てが使える音で無段階調整可能です。




テールブリッジは当初、ブラックダイアモンド(リッチライト)が装着されておりました。 これはエボニー材に近い硬質な特性を持つ人工素材で品質にムラも無く、音響特性だけで言えば優れた材ではあるのですが、古い人間の自分にとっては『ここまでの高級機種であれば木材に拘りたい』という想いがあり、ハカランダ材に交換しました。




硬質なブラックダイアモンドのギャリンとした攻撃的なトーンも捨てがたかったのですが、ハカランダにすることで見た目のバランスと出音の上品さもプラスされ、よりヴィンテージライクな音になった気がします。 しいて言えば音はまだ若く、全体のなじみ、塗装の安定等、まだまだ成長の伸びしろを感じます。 既に最高の音を奏でている中、今後 弾き続けることで更なるモンスタートーンを放ってくれることかと思います。




上質な材の特性を知り、確かな技術と実践的な考えを持って生み出された本器。 伐採が厳格化し、限りある天然素材であるハカランダは2022年受注分を持って通常オーダーでのハカランダ指板を打ち切るということもあり、ここぞとのタイミングで気合いを入れてGETしました。

今後、仮に同じような仕様が出たとしても材料が希少だと価格も上がるでしょうし、基本的には良質な材から失われていくのは明確なので人生の投資に近い考えです。まさに手放すことのない究極の1竿、弾き込んだ後が楽しみです。







※追記

ピックアップメーカーがこれ見よがしに比較するP.A.F.って何ぞや・・・
その詳細は・・・

​良く分からない!!​

とは言え、良く言われるこの『P.A.F.』と呼ばれるピックアップ。この世にハムバッカーを生み出したGibson社が60年以上も前に作った歴代最高傑作とも言える伝説的なピックアップらしい。 当時、ピックアップを作る機械が今程の精度を誇らなかったからこその安定しない不均一なコイルの巻き具合。そういった偶然が偶然を生み最高なトーンを奏でた奇跡の産物だと言えます。

特徴はとりわけ乾いていて噛みつく様なタッチレスポンスと倍音、高解像度で弾き手のニュアンスやギター本体の特性を余すことなく拾い上げるとか。個人的には色付けが無く極限まで素直な出音にしたマイクといった印象です。さて、そんな P.A.F.・・・本物を試したことがあるのか・・・1度もありません(苦笑)

ですが本物を試したことがあるその道のプロが、こぞって『P.A.F.』は最高であると謳い、多くのメーカーがレプリカとして生み出しています。それはむしろ最高の証明ではないでしょうか。 購入する側の自分たちにとってみれば『本物』は未体験ゾーンでイメージがつかず、さっぱり分からない・・・とは言いつつも、P.A.F.を模したピックアップの音は個人的に大好きな音です。 こう・・・味があるっていうんですかね。デジタル感が無く作られていないというか、生々しい音がたまりません。







そこで今回、ハカランダ指板やネック、ホンジュラスマホガニーという・・・
​最強の素材を持つ1本には良質なピックアップを!​
と選んでみたのがこの 『Jimmy Wallace PAF


■Jimmy Wallace PAF


PAFの特性を模しているのは勿論ですが、PAFだけに囚われない『俺が思う最高のPAFはコレ』とでも言わんばかりにヴィンテージコレクターでもありギタリストでもあるジミー・ウォレス氏が手巻きで作った名作。全ての倍音を拾い本体の特性を素直に出力するという、単純にピックアップとしての情報量が非常に多く評判が良いピックアップです。




標準装備の『Bizen Vintage Custom』を取り外したものがコチラ。 ノイズレスで分離感が良くやや枯れた音。歪ませても潰れず、本体特性をしっかり拾ってくれる優れたピックアップでした。 結果的には自分の好みとして綺麗過ぎる音だと感じてしまい、更にヴィンテージ寄りの泥臭い音を求めたので交換。とは言えこれはこれで良いピックアップでしたので手放さずストックしときます。

Jimmy Wallace PAF』手始めにエイジングされた、くたびれた雰囲気は満点に近いかと。 
まず弾く前にアンプを通してギター本体の各部、例えばノブやピックガード、ペグ、ネック裏と言った部分を軽くタップしてみます。 これはそのタップ音をどこまで拾うかをチェックするのが目的です。 解像度の高いピックアップはボディを触れただけで『サササ・・・』『コンッ』など全体に神経が通ったかの様に音を拾いあげます。この響きや余韻を拾う能力が優れている程、ボディ材の特性を拾ってくれる高性能なピックアップだと思っております。




Jimmy Wallace PAF』に関しても高い解像度を体感できました。『素直な音を出すピックアップ』は多い様で少ないのですがコレは優秀。また、絶妙な『いなたさ』があり、クリーンでの鈴鳴りやクランチ/ドライブした際の絶妙な粗さ、ヌケと倍音感、分離感が非常に気持ち良く、生音を増幅した様なリッチな響きが『素材や奏者の旨味を発揮 = 誤魔化しの効かないシビアなピックアップ』になっているなと感じ狙い通りです。








追記:2023.04



ハンドセレクトのホンジュラスマホガニー、ハカランダネック、ハカランダ指板と職人気質な高精度な組付けで仕上がったこのギター。最強の材を纏うこのギターを購入して数ヶ月弾いてみて、購入当初と比べて少しずつですが音の変化(成長)が現れてきました。 




特徴的なレスポールボディに対してPRSスケールのハカランダネックから生まれる音はPRSの様な整った音でもありながらGibsonの様な粗削りなヴィンテージトーンをブレンドした様な唯一無二とも言える音。 非常に汎用性があり扱い易い使い反面、もう少し自分の音楽趣向に偏った仕様にしたいなと思い立ち決行!




・・・ということでコンデンサ交換。標準装備されているのがBlack candy(ビタミンQ)のハイパス仕様。 非常に汎用性があると言うか、扱い易く効きも優秀で、ある種 どんなジャンルにも対応出来る実用性がありますが、自分には癖が無く扱い易過ぎるかなと。 これに対して以前Navigator N-LPで装着して気に入ったTiger『Vintage Tiger .02 MFD 400VDC NOS』 コンデンサーごときで何が変わるんだよ! って感じですが、痒いところに手が届くというか・・・良い匙加減で変わります。




最強ギターには妥協無く最強のコンデンサーをインストールする! と更にバージョンアップさせて『Vintage Gray Tiger .02 MFD 400V TYPE GT NOS(約70年前)のデットストック(新品)』実測値 .0263µF /.0266µFペアの赤インク仕様、更にアタリをセレクトしてもらった最強コンデンサーで勝負!  ついでに誰も気付きませんが絶縁カバーも1950年代のクロスワイヤーソックスを選択。もはや病気ですね。




実際どう変わったかと言うと・・・トーン10でのミッドの太さに加え、リアでのうねりとフロントでのレンジの広さ、トーンを絞るとローミッドがグッと前に出てきて倍音が溢れてきます。これはミッドが出てきたというよりはハイが上手に削られたことでそう感じるのでしょうが、聴覚的にはミッドブースターをかましたかの様な感じさえします。 倍音の音域も変わり、減衰した時の倍音の残響音はトーン10でも明らかな違いを感じます。 独特のジャキジャキ感と飽和感が素晴らしく気持ち良い・・・う~む。プラシーボ・・・ではないですね。明らかに変わってます。 Black candy(ビタミンQ)ではうねりが少なく整った音でしたが、今回の交換では良い意味でのうねり(広がりの不安定感)が強調されました。 




伴ってハイパスコンデンサーは外しました。ハイパスはボリュームを絞ったときにハイが削られ過ぎてモコモコしてしまう部分を改善し、スムーズなボリューム調整を目的に装着されています。その効果は絶大なのですが、これまでハイパスが入っていないギターで音を作ってきたので違和感があり『スタンダードなレスポールを基盤にハカランダネックの響きをコンバージョンさせる』という音がベストだと感じたこと、少しだけボリュームを絞って音に丸みが欲しいシュチュエーションが多く、余計な回路が入っていると何かしらロスも生じているはずなので個人的には不要かなと。




好みで少しばかり手を加えてしまいましたが結果としてはレスポールのテイストがありながらも暴れすぎず整ったトーン。
加えてハカランダネックでしか出せない音は唯一無二で最高にイカしたギターになったなと感じます。


■BizenWorks撮影写真を拝借










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