男の羅生門 ‐ Guitar&Bike Life ‐

2023/11/01(水)14:40

【ギターアンプ】自宅弾き4.5W 真空管ハンドメイドアンプの実力!

エレキギター(146)

​■E.W.S. mini HG-AMP 国内でエフェクターのモディファイからオリジナル エフェクター等を手掛け、コアな層から人気を得ているE.W.S.。 1人の職人が手作業により組み込みを行ない商品化された渾身のオリジナルアンプ(生産終了品) 開発のコンセプトは、日本の住宅事情に合ったコンパクトなサイズ、音量で「良質なディストーション・サウンド」を楽しんでもらおう。 というもので、'80年代前期に発売されていたフェンダーの名機とされている“スーパー・チャンプ”をモチーフに独自の解釈で生み出され ヴィンテージギター書籍でもお馴染みのHistorique Guitars 代表 今井康雅 氏がE.W.S.ブランドとして発売していた初代HG-AMPとなります。 まずは見た目。似たようなものは多くありますが『流石は国産、丁寧に作っているんだな』と感じる佇まいで存在感があります。 ボディに丁寧に張られたツイード生地が単純に格好良く、シンプルながらお洒落。無骨さとは無縁な感じです。 内部はこのように基盤を使わずハンドメイドで丁寧にワイヤリングされています。 エフェクターもそうですが個人的にポイント・トゥ・ポイントのワイヤリングを見るとグッときます。 当初はHistorique Guitarsの最新型 HGT-AMP III が欲しかったのですが、Mesa/Boogieという最高のアンプがあったのでお値段的にも辞退。 『フェンダー系のアンプ欲しいなぁ』等、色々と考えている中、状態の良いものが相場よりも破格で出品されていたのでGETしちゃいました。 音の傾向は一緒とのことですが現HGT-AMPとの違いとして大きく挙げられるのは出力が20Wではなく4.5Wであることが言えます。 そんな4.5Wという出力に対してセッティングがされているわけですが、実際には4.5Wとは到底思えない音圧が・・・(笑) これは過去持っていたMarshallを1W、今持っているMesa/Boogieを5W仕様で弾いた時にも感じましたが自宅弾きでは十分すぎる音量です。 とはいえ真空管アンプの難しいところは、ボリュームを一定数まで上げないと旨味が出てこないというところにあります。 いくらゲインを上げてもボリュームが1や2ではペラペラで深みが無く全然良い音を出してくれません。 ならば! とボリュームを上げれば、極上サウンドの代償として近所迷惑なること間違いなしです。 これを回避する為にはアッテネーターによる音量の調整、アンプで言えばマスターボリュームの装着が必須となってきます。 話をMINI HG-AMPに戻すと、コンセプトが日本の住宅事情に合わせた仕様ということもあり、ボリュームに特別な回路が入っていることが言えます。 具体的には、アンプ側のマスターボリュームで音量を絞ったときのハリの無さや弱さを、そうならないようにしているのです。 つまりは、ゲインを上げて歪みを上げた状態で音量を下げても音圧や音質が変わらない工夫が成されています。 この効果が抜群で、真空管でしか出せないコンプレッションや分離感、ジャリンとした倍音が極々小音量でもしっかり体感出来ます。 ゲインを上げていくと歪みが増していき、アンプ単体でハードロックまで対応出来る迫力ある歪みも簡単に得られます。 このアンプの特性としてゲインを少し上げれば直ぐに歪み成分がのってきます。むしろ歪み過ぎなくらい。 クリーンを保てるのはゲイン0~2程度まで、以降は歪んでいクランチ~ディストーションサウンドに変化します。 全体的にブーストがかかっている様に非常にセンシティブな反応で、弦に軽く触れた音ですら拾うので強弱が付けやすい。 トーンコントロールがフル10状態に近く、ミドルからハイの抜けが恐ろしく良いです。 個人的にこのアンプ回路の意図として感じるのはアンプで解像度を増幅・情報量を増やすことで ギター側のボリュームやトーンコントロールを絞っても情報量が落ちないようにしていると感じます。 それを上手に使ってクリーン~クランチ~ハイゲインまで音を作るといった考え方です。 ​※hoochiesより画像拝借​ 一方で現行型HGT-AMPではクリーンとドライブチャンネルが分けられているので、実用的な正統進化だなと。。 mini HG-AMPでもゲイン調整でクリーン~ドライブも出ますが、すぐ歪むのでシビア。2チャンネルあれば調整範囲が広がりますね。 画像にある最新のSpecial使用ではクリーンの調節も可能・・・ラッカー仕上げと見た目にも格好良く実用的過ぎる。 とは言え、いなたくも乾いた歪みと突き抜ける倍音が減衰と共にバラけて飽和するような複雑な飽和感はトランジスタアンプや デジタルアンプでは再現出来ない、真空管アンプだからこその醍醐味。これは共通で格好良いわけです! 4.5Wという出力が功を奏して、適度にボリュームを上げることが出来るので自宅で弾く分に低出力はメリットがあります。 装着されているWeber 8インチスピーカー「C8RS」もフェンダー社の名機 チャンプを模したものということで良い仕事してます。 とは言え、4.5Wでも爆音です(汗) 音量を絞っても音質が変わらない仕様が無ければ近所迷惑になる音量でしょう。 こればかりは現行20Wだと扱いきれないかもしれないと感じてしまうので4.5Wで良かったです。 2008年に生産終了になったアンプで今から15年(現2023年)も前のアンプなわけですが、 ヴィンテージ路線の小型アンプの中では現行アンプと比較しても頭一つ抜きに出た性能です。 しいて言えばメーカーのコメントにある『強烈なディストーションサウンドも出せる』という表現は あくまでヴィンテージ路線での話なので、それこそオールドの歪みであればドンピシャにハマる音ですが 重低音でヘヴィメタル! ネオクラシカルな速弾き! という感じの音ではありません。 そして、クリーンサウンドが出る調整幅はめちゃ狭いです。ほぼ歪みメインかと。 多機能・万能ではありませんが、完全に誤魔化しが効かないほど強烈に反応するので玄人向けで奥深い。 シンプルが故に改めてギターや己自身と向き合うことになる、上達する為に役立つ素敵なアンプです。 HGT-AMPをご検討される方の参考になればと思います。

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