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2006年04月19日
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 昔、水商売をしていた頃のお話だ。


 車で20分ぐらいのところにある店まで、
 勿論、車で通っていたのだが(今じゃ出来ないな。)
 分かれ道がある。


 どちらからも家に辿り着く。
 そして店にも辿り着く。
 距離も変わらない。
 しいて言うなら込み合うか否かのみ。


 なので、その日の気分によって、
 今日はこっちから行こう…と、変えていた。


 赤い橋。
 そこを渡るかどうかでルートは決まる。





 そんなある真夜中。


 べろんべろんに酔っ払いながらも、
 しかも走行しながらドアを開けて吐くという珍技をしつつ、
 (良い子は真似…する気もないだろう。)
 帰宅している時である。


 数十メートル先には赤い橋。


 どうしょうかな…。
 今日はどっちを通って帰ろうかな…
 着てる服は赤なので、橋を渡るかな…。


 私以外、車は通っていないがウィンカーを左へ表示する。
 ハンドルを切ろうとしたその時である。















 『!!!!!!!!』













 言い知れぬ危機感に襲われ、私は分かれ道の前で車を止めた。


 

 え…今確かに何か聞こえた…。


 冷や汗がドッと出て来て、体中にまとわりつく。
 一気に酔いが醒めた。












 『ダメ!!!』












 聞いた事もない声が、頭の中に響いたのだ。






 バックミラーにトラックのライトが見えた。
 私はすぐに車を発進させ、 
 赤い橋を渡らない道を選んだ。


 チラリと見た赤い橋の向こうは、
 霧が出ているわけでもないのに、見えない。
 禍々しい何かどす黒い、そんなモヤが見えた。








 もしもあの日。
 私が忠告を無視して赤い橋を渡っていたら。 


 どうなっていたのだろうか……。








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最終更新日  2006年04月19日 11時37分38秒
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