至芸 マリアジョアンピリス
もう三月も終わりの日曜日、雨に降りこめられています。ブログってものを更新するって習慣が、いつのまにまったく日常から抜け落ち、幾月。。今日は、三月の半ば、聴きに行ったコンサートがあまりに素晴らしかったのでその備忘録として。3月11日 横浜みなとみらいホールマリア・ジョアン・ピリス ピアノリサイタルシューベルト: 4つの即興曲 D.899,Op90ドビュッシー: ピアノのために休憩 シューベルト: ピアノソナタ第21番 変ロ長調 D.960アンコール シューマン: 予言の鳥[CD] マリア・ジョアン・ピリス(p)/ショパン ピアノ・ソナタ第3番/チェロ・ソナタ 夜想曲第17&18番/マズルカ第36~41・45・47&51番/ワルツ第6~8番/ 幻想ポロネーズ神奈川芸術協会を通し、秋に確かFAXで申し込んだら、なんと最前列17.18番がとれ、みなとみらいでピアノのすぐ前の席というのは、少し分不相応、緊張いたしました。ずっと、憧れだった、雲の上の存在のようでもあったピリス。小柄で、少し日に焼けたポルトガル人のピアニストはあのはにかんだような美しい笑顔でグレーとダークレッドシフォンのそっけないくらいのデザインのロングドレスに身を包んで登場。目の前で、あのシューベルトの即興曲を4曲。神の降臨、のような時間でした。音楽そのものの完成度と密度、そばで聴いていて、それは決して心地よいだけのものでもなく、彼女自身の緊張や、ただならぬ強靭な集中力に磁力のようなものを感じ、息苦しいほどでした。特にあの、「天国のように長い」と言われるシューベルトソナタ。曲が終わり、万雷の拍手が広がった時は、私もぐったりしたくらい。(笑)弱音のかぎりない繊細さ、優美さ!全身を鍵盤に加重して弾くフォルテの轟き、音楽への解釈の大人さ。。至芸、としかいいようのないもの。あまりに、自分にとってのピアノの理想そのものであり、そこを最前列で聴いてしまうと、いったいこれから、誰のピアノをあえて聴きに行きましょうと。。考えるほど。未だ悟りにいたらない、自分の人生への疲労や苦悶(笑)まー、いろいろないまぜになった心の琴線にすぐ前から届く、ピリスの音楽。正直、途中から涙がとめどなく溢れてきてしまい、恥ずかしかった。いろいろ音楽は聴きに行ってますが、こんな経験は初めて。隣席で聴いていた次女は、母親はうつ傾向?と疑ったそうです。(爆)最後、アンコールの「予言の鳥」は私の大好きな曲でもあり、昇天しそうに嬉しかった。それにしても、素晴らしいアート、芸術ってものは、確かに存在すること。それに触れることによって、たとえ何歳になっても、50半ばのオバサンになっても、「新しい意識」?みたいなものを得ることができること。私の場合、ピリスのピアノを聴いた日から、シューベルトの音楽が、心に棲みついてしまった感じです。まーた、こっぱずかしいことばかり書き連ねましたがこのまま更新してしまいます。ねこも元気です。茶道、表千家に昨年から入門し、いまはそれが一番のハマり事となっております。薔薇さまにおかれましては、今年はあのどか雪のあとの残雪が庭作業を滞らせ、例年になく、ひどい出来かもしれないな。。