まだ何も成し遂げていない
日本のプロバスケットボール、bjリーグの河内オーナーが自叙伝を出すそうな。彼の意気込みが見えるのならそれはいいのかもしれないが、「ビジネス書としても注目される1冊になりそうだ。」という紹介はちょっと微妙に感じる。リーグを作った功績は大きい。ただ、それは土台を作っただけでまだ彼らは何も成し遂げていないことを忘れてはいけない。そもそも、リーグは成功どころか開幕すらしていないのだから。そういうくだりは彼らがJリーグのように根付く方向に向かってから言おうよ、とも思う。では、その開幕直前のリーグを巡る状況はいかがであろうか?残念ながら前途は多難だ。例えばメディア露出。10月の掲載誌が上のリンクには出ているが、今後掲載予定の雑誌▽「オレンジページ」=10月2日発行▽「Seventeen」=同15日発行▽「ぴあ」=同25日発行▽「Sportive」(集英社)=同25日発行▽「日経トレンディ」=11月4日発行こんなのでどれだけの人が認知するのか。現時点での認知度調査でもやるとどんな結果になるのだろうか。少なくともこの楽天においては、bjどころかバスケへの興味は薄い。開幕前の状況について。プラス材料は、地方での支持がそこそこは得られそうな感じということだ。先日の大分の練習試合は立ち見もいて1700人動員の大盛況だったそうだ。地域密着を売りにするとやはり新潟を始め地方は強い。ただ、例えば東京アパッチなど都市クラブがどうなっていくか、これは微妙だ。今のFC東京と手を組むならともかく、東京と名前をつければ都民が来る、そんなことはないとFC東京サポーターの一人として言っておこう(そういえば私は当時、立ち上げに関わっていた友人に「東京より下町をホームにしたら面白いと思うんだけど」と言ったことがある)。ホームが有明コロシアムというのも誘致が難しいかもしれない。また、あまり知られていないが、アパッチのメインスポンサーはあのインボイスである。ここの社長がバスケクラブを前から持ちたがっていたことが反映している。しかし残念ながらそれがあるからか、彼らがFC東京と組む可能性は低そうだ。また、選手の問題は深刻かもしれない。私が8月にバスケの日本代表を観戦したときに、一緒に行ったバスケに詳しいM嬢にこのことを聞いたのだが、「知っている選手がいないのと、代表になれないのはかなりマイナスになると思う」と言われた。これまでの日本リーグJBLの選手には人気のある選手もいるが、彼らが移らない限りは見たいともそんなに思わない、とのことだった。マネジメントがどうとか考えない人の意見としてある意味貴重である。これが一般バスケファンの心理なのかもしれない。選手も、明日が保証されない状況に踏み入るのにためらいがある人が多いという。社会人リーグはどんなプレイでも給料がもらえる(だからなかなか真剣にプレイしない選手が出たりするのだが)、そこから脱却するのは大変かもしれない。私の先輩で、大学時代や他のクラブでの活躍が認められて、2次のトライアウトに招待された人がいた。彼も悩んだが、しかし仕事を取ることを決めて辞退した。プロというのは理想のカタチだが、身近に聞いていているとこれが現実かと思ってしまった。テレビ放映権については未だに決まっていない。というか、多分放映できないと思われる。昨年、協会を敵に回すのは不利益だという現状を書いたが、それが変わったとの声は聴いていない。どうしてこう、無理、無理になってしまうかの全てが結局はbjリーグと協会の仲の悪さに帰着してしまう。元々それを承知の上で河内氏らがリーグを立ち上げたのはよくわかる。しかし、両方の運営が厳しくなり、バスケ界が共倒れするのは最悪のパターンである。今後双方はどうする気なのか、真意が聞きたいものだ。bjリーグがどうなるか、私は初戦に大きくかかっていると思う。満員になるだけではダメだ。長期的にも大事にしなければならないのだから、それほどのインパクトが欲しい。頑張ってくれ。まぁその開幕戦、私は自身のバドミントンの大会に出て行けないのだが(第2戦は観戦する予定)