Atletico Tokyo~アトレチコ東京~

2009/04/16(木)00:32

【野球】スポーツ顧客満足度の研究に関する考察。

Sports Business(52)

元の論文の一部はこちら。 ●満足度は7位以下の球団を隠しているが、観客動員数との関連性データからすると、巨人はおそらく8位だと思われる。また、観客動員数と満足度の関係では巨人が異常値を示している可能性が高く、因果関係があるのはほぼ間違いないと思われる。巨人が異常値を示しているということから、巨人だけは別の因果関係アプローチを考えるべきかも。 ●そもそも巨人については、「このチームに地域性を求めるのは最早不可能である」というバイアスを取り除いて評価すべきかな、と思う。最も満足度影響が高いと12球団全部では評価されるファンサービスや地域貢献について、特に後者において完全無視な球団だから。でも、だから悪いなんて話ではないし、実際収入マイナスなわけじゃない。 言い換えると、満足度の算出式それ自体が他の11球団のやり方に引っ張られて作られているんだから、突出して独自なやり方やっているチームはそれだけで変な評価になるだろ、と。こういうチームはとりあえず最終順位は気にせず、一つ一つの項目を愚直に見て、時系列で追って評価することに徹したほうが正しい気がする(今は時系列はまだ無理だが)。21世紀型巨人のビジネスモデルって、多分そういう路線の先に道が見えると思うので。 ●それを踏まえて巨人の評価を一つ一つ見たけど、まぁそれでも低いんだろうな(笑)チームに魅力が無くなっているというのは間違いない。最大の理由は松井以降のスター不在、という面にあるんだろうけど、敢えてフォローすれば、そういう選手が出なくなった時点で、特定の選手依存の体質からある程度脱却することが命題となったわけで、それは上手く行っていると思う。というか、夕刊フジの「美しく勝て」は最近やっていると思うんだが(笑)実際には「スターをもって美しく勝て」なんだろうな。確かにそれが興行ではある。 痛い問題は、今のいい面が浸透してないというか、巨人が若干マニアックになってしまってライトなファンが(特にスターがいなくて)ついていけてないのが現状じゃないかと。個人的には、今のまま突き進んで、お金にならないファンをある程度切って、熱狂ファンの単価を上げる方向に行くので正解じゃないかと思う。どうせ放映権料なんてこの先上がらないし、実感レベルでは単価は上がっているんじゃないかな。問題はそれで前者を切って、マニアックジャイアンツが世間的にどう取られるかだが。 ●各詳細満足度のランキングを見ると、一部はちょっとチームロイヤリティの影響ありすぎ?とも思う。日本一見やすいスタジアムが札幌ドームであるということも、日本一フード満足度が高いのが甲子園というのも、最もアクセスがいいのが浜スタというのも、相対論で考えれば違和感がある。ただ、重要なのはファンが実際に「見やすい」とか「美味しい」とか「近い」と思うかである、と考えれば、それも正しい。 ●満足度が向上すればチームロイヤリティや観戦意向は向上するだろうし、チームロイヤリティが高いことで、チームのサービスの満足度も向上しやすくなるとは思う。統計的に因果関係でどっちが卵でという話は不可能で、最終的には相関のあるなしでしか語ることはできないわけで、ここらは推測で語るしかないんだけど、今回の調査結果を見ると、満足度⇒ロイヤリティという一般によく使われるロジックを用いても、スポーツ界だと逆流するロジックの存在も結構あるんじゃないかと思ったり。 これを噛み砕いて表現すると、「このチームが好きだし、そういう人が多いから上手くいってるし、ウチの球団はこのくらいのサービスでもOKOK」みたいな現象ってありそうだよね、と。だって、相対的には明らかにそれ以上だろうというサービス頑張っていると思ったチームが評価すごく低いし。最終的な満足度に与える影響は確かに小さいみたいだけど、チームが愛されていないと、同じことやっててもサービスの評価が低くなりやすい、という傾向は間違いなくあると思う。 ●日本ハムの総合的な評価を見ると、やっぱこのチームの地域貢献やチームの魅力って半端じゃないレベルなんだなぁと思う。このチームの成功は革命だったなぁ。 ●セリーグとパリーグで、好きになったきっかけの「家族の影響」のあまりの違いに笑った。セリーグは40%でパリーグは20%。一方でパリーグは地域性が露骨に出ているから、地域密着の結果はこういうところに現れているんだろうな。 この人の論文は大学時代にも読んだことあるけど(確かその時は西武の満足度を計ってた)、今回のは半端なく面白かったです。

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