テーマ:ショートショート。(573)
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どんどん行きます。執筆スピードの速さに我ながらびっくりです。
苦情が来る前に続きを書いてしまおうという魂胆はちっともありません。 お題は、詐欺、ウナギ犬、発車オーライです。 みなさん、ちゃんと前の話から読みましょうね。さ、行きます。 追いつめられた、ドン・チョパニコフ。さあ、どうなるのか。 「ドン・チョパニコフ!大人しくしろっ。逮捕だ」 スターリン警部は、早まって一人で突入した。 「何!警察か」 「え?ここが見つかってしまったのですか」 暗くてよく、見えないが、声から中に二人ほどいるのがわかった。 「間もなくここは、大部隊で包囲される。抵抗しても無駄だ」 かっこいいセリフに、スターリンは自分で感動していた。 「仕方ない。逃げましょう」 何かが弾ける音がすると、途端に白い煙が立ちこめた。 スターリンは焦燥した。ここで逃せば、自分の責任追及は免れない。 だが、冷静になれば、出入り口はここしかない。家の後ろは川だ。 スターリンは、腕力には全くもって自信のほどはなかったが、拳銃を持っている。 「警部ー!応援です」 応援が間に合ったようだ。 「ちっ。俺だけの手柄が」 スターリンは言いつつ内心、ほっとしていた。 しかし、煙が晴れて、中に詰め寄ると、なんと不思議なことにもぬけの殻だった。 「警部。外です」 「なにぃ」 「やつは川から舟で脱出したようです」 「くそっ。騙された。詐欺師みたいな野郎だぜ」 結局、この日も逃げられたのだった。 連日、チョパニを捕まえるための対策会議が行われた。 議論が盛り上がるのだが、決定的な打開策は何も出ないまま日にちだけが過ぎていった。 「たまには、レイチェル巡査の意見を聞いておこうか」 「うーん。ウナギ犬…」 スターリンは、指でつんつんした。 「えっちー!」 「バカ。てめえ、起きろ!」 「オハヤウ」 上司の堪忍袋の緒が切れそうなようだ。 「……君たち。カネルの町辺りに左遷してもいいんだよ?あそこは酒もうまいしねえ」 「ハッ。いつでも発車オーライであります!」 「バカ野郎。意味わかってんのか。あそこは埼玉より田舎なんだぞ」 一方、その頃チョパニと貴族の女は、遠くまで逃げおおせていた。 馬車に揺られながら、もうすぐ国境を越えようとしていた。 「ミレディ。旅は辛くありませんか。疲れたら仰って下さい」 「まあ、そう言って、私を置いていくおつもりでしょう。私はあなたと共に参ると胸に誓ったのです」 「ですが、そろそろ私の正体もばれている頃です。あなたまで危険にさらす訳には……」 「いいえ。みなまで言わないで。足手纏いかもしれませんが、私はそれでも構わないのです」 「そうですが……。では、今日はもう宿を探しましょう。あなたは疲れている」 「すみません。ああ、チョパニ……」 二人は国境付近の街で、目立たない宿を借りた。 「ミレディ、不自由をかけてすまない」 「いいのです。今までの私の方がよほど不自由でしたわ」 二人は、決して明るくない先行きに表情を落としながらも、安らかな一時を過ごした。 その頃同時刻、なんと奇跡的にスターリンとレイチェルが同じ街にいた。 「くそ、警部にもなって左遷されるとは」 「あらら、カワイソ」 「もう、三十路なのに」 「そんなことより、日が暮れたよー。お腹空いたよー。寝たいよー」 「誰のせいだと思ってんだ。つんつんしてやる」 「えっちー」 果たして、これからどうなるのか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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