テーマ:ショートショート。(573)
カテゴリ:カテゴリ未分類
お題は、焼うどん、アメリカンコッカスパニエル、光体操。
このお題で続きを書けって無茶じゃね? もう、みんな今までの話忘れてるだろうし。 港に着くと、街には朝霧がかかっていた。 ここは貿易が盛んな港町で、毎日多くの船が行き来している。 自然と人の入れ替わりも激しく、素性を隠すにはもってこいの街だった。 入国管理も甘く、不審を咎められることはない。 「ここには私の友人がいます。事情を話せば協力してくれるでしょう」 「チョパニ、私はどこへでも行きます」 路地を歩いていくと、黒く毛深い犬が近寄ってきた。 チョパニの足下のにおいを嗅いでいる。 「まあ、この犬はお知り合いですか」 チョパニは確かに覚えがあった。 「この、アメリカンコッカスパニエルはきっと彼のものだ」 犬は路地を走り出した。 「探す手間が省けました。彼についていけばたどり着けます」 犬は路地裏の一件の家の裏口から中へと入っていった。 二人もその後に続いて入っていた。 「モンテスティ、いるかい?」 「どちらさんだい?」 奥から、金髪の大男が現れた。 「もしかして、チョパニか?」 「ああ。久しぶりだな」 「会えて嬉しいぜ。そちらは?」 「連れだ。訳あって、逃げなければならないのだが」 モンテスティはそれだけで、事情を察したらしい。 「わかった。なあ、暖かいめしでも食べてくれや。珍しいものがあるんだ」 「すまない」 モンテスティは二人に、奥へついてくるように促した。 「彼はモンテスティ。商人であり情報屋だ。ここでは彼の知らないことはない」 「そうでしたの。あなたは随分友人が多いのね」 厨房には大きなストーブがあって、テーブルにはフランス製の鍋がいくつも並んでいた。 食器棚にはスズの皿や銀食器が並んでいる。貴重なものも多いのだろう。 「最高のごちそうがあるんだ。ま、窮屈だが座ってくれ」 モンテスティは、大きなスープ皿を持ってきた。 「これは……?」 「焼うどんだ。醤油で食べるんだ。このスープも金よりも高いんだぜ」 「ヤキウドン?」 「オランダの船上員から流してもらったんだ」 その頃、スターリン警部とレイチェル巡査は……。 「うーん。ひ、光体操」 まだ船の中で寝坊していた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|