テーマ:ショートショート。(573)
カテゴリ:カテゴリ未分類
お題は、コーヒーカップ、オオカミ、腹時計です。
チョパニはまだ、モンテスティのところにいた。 コーヒーを飲みながら、今後のことについて相談していたのだった。 「国外に逃げおおせた時点で、逃亡は成功したと見るべきじゃないのかい」 「そうだが、連れの安全を確保したというには、いささか心細い」 「そうか。これから、当てはあるのか?」 「ドゥゲラード卿という人物を知っているか」 「亡霊貴族か。話には聞いているが、もう実在しないんだろ?」 「どうやらそうではないんだ。私は彼から頼み事をされていたのだが、不手際があって今はこんな身の上だ。彼も再び姿を消し、私も彼を探すことも探すことができなくて困っているのだ」 「そうか」と、言いながら、モンテスティは次の言葉を探すため、コーヒーカップを口に運んだ。 ミレディは話のことにはまるで関心を寄せず、犬の相手をして遊んでいた。 「あなたはまるでオオカミみたいね」 めずらしいものだと知っているのか、ひどく気に入った様子だった。 「私は、彼に依頼品を渡し、報酬を受け取らなければならない」 「君はもう一人じゃないのだから、落ち着いたらどうだい」 モンテスティは、ちらと横目でミレディを示した。 「彼女には不憫なことと思う。しかし、私は仕事を完遂しなければならない」 「そうか。気は進まないが、隣町の酒場に知り合いの情報屋がいる。紹介しよう」 「すまない。助かる」 「世界を渡ってる船乗りどもを相手にしてるんだ。俺より何か知ってるかもしれない。だが、あそこは荒れてるからお嬢さんは連れて行けないぜ」 「仕方ないさ」 「よし。馬車の手配をしよう」 その頃、港では。 ぐぅ~ぐぅ~。 「ああ、腹減った」 「あ、スターリンさんが起きた」 自分の腹時計の音で、やっと目覚めたようだった。 二人は船を追い出されて、途方にくれていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|