秀808の平凡日誌

第7話 生命

第7話  生命 

「そろそろかな、忘れ物はないよな?」

 次の日の朝、クロウとルーナは街へ帰るために、キャンプを片付けていた。

「ぇと…忘れ物は…はい、大丈夫です」

 朝食のために、串に刺して焼いている肉やキノコのいい匂いが

 風に乗って2人まで届いてくる。

「もう焼けてるんじゃないか? ほら」

 クロウは肉を焼いている串の1つをルーナにわたした。

「ありがとうございます。クロウさん」

 ルーナはそれを受け取ってふうふうと息を吹いて冷ましている。

 クロウは突然ルーナに話しかけた。

「なぁ、ルーナお前一人で暮らしてるのか?」

「はい。そうですけど、どうしてですか?」

「…その…もしよかったら今日は家に来ないか?」

 クロウは少しだけ恥ずかしそうにそうに言った。

「えっ…」 

 1人の時にルーナが発作を起こしたらと言う心配もあったが、何よりクロウ自身がそうしたかった。

「俺の家は結構広いし、親父が入院してるから今は俺1人だし、もしよかったらって思ったんだけど…」

 ルーナの様子をうかがいながらクロウが話しているとルーナが嬉しそうに返事をした。

「クロウさんがいいって言うなら、行ってみたいです」

「そっか、じゃあ決まりだな!」

 ルーナの返事にクロウの表情も明るく、そして嬉しそうになっていく。

「はい」

 そんなクロウにつられて、ルーナも笑顔になっていった。



ルーナと2人きりでいられる…

今日はずっと一緒にいられる…

クロウはそう思っていた。そしてこれからもずっと、ルーナといられると思っていた。

けれど、終わりはすぐにやってきた…

どんなことも、永遠には続かない…

…そう…終わりが…やってきたんだ…


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