マークスプリングス物語5
【南町田マークスプリングス】ができる前の2000年、オリックスは横浜三ツ沢公園近くに【サンクタスインターナショナル横濱三ツ沢公園】を87棟分譲しそのコンセプトを芽生えさせていた。この土地の使用価値と建物自体の資産価値をどのように高めるのか?これまでの戸建住宅は大手ハウスメーカーの営業力に依存し設定されたマーケット価格の中から売れ筋の設備、機能器具を付けた商品こそが安全に売り切る方法で最も経済的に儲かる産業を成していた。デザインを担当したミキマ(株)は米国の恒久住宅のクラッシックデザインに妥協を許さず、全体として調和の取れたデザインはわが町我が家という帰属意識に貢献た。ここまでは従来でも管がれられて来た手法であったが、数十年経つと建て替えや増築、アパートやマンションの出現で様々なデザインと混合した用途の統一感のない街並みとなるケースが多く、いわば無政府状態に変化し、見苦しい町の中に我が家を発見するようになる。日本の住宅地は都市が成熟するのでなく無政府的に混乱しスラム化した立地に貶められ結果住宅所有者はその資産価値を失っている。マークスプリングスではこの資産価値の下落を食い止める難題に取り組むプロジェクトでもあった。住宅の資産価値は基本的に売り手市場の需供関係で決まる。将来の地価下落が周辺で起きても相対的に下落しない仕組みが必要であった。現行の日本の不動産鑑定評価は相対評価(売買実例比較=となりの何々ちゃんが幾らで売ったの買ったの?というレベル)が中心で、課税標準を決めるための路線化評価が中心であり欧米のような長期の抵当金融(モーゲージローン)の債務を相殺する資産価値を評価しようとはしない。つまり不動産の本来の価値を評価しない世界でも独特な国のため、周辺地区の下落がマークスプリングスに影響しかねない難題があったのだ。上の画像はすでに10年近く経過した戸建であるが新築当時から何も手は加えられながらも美しさは維持している・・・関東特有に多い火山灰とスモッグの黒い汚れと国全体にいえる多湿からのカビと藻の汚れは別として・・・当時、まず取り組まれたのが、このクラッシックデザインである。造形美は恒久的に変わらないものでそれがクラッシックデザインと呼ばれ古いデザインという意味ではない。歴史的社会的に顕彰された審美的デザインを言う。流行を追ったり思いつきだけのデザインの多くは、長い年月の批判に耐えられずやがて陳腐化してしまう危険性が高い。そのため住宅の3要素であるデザイン、機能、性能のうち最も重要なのが人々に長く使われるためにデザインで審美性で評価される文化的不変要素となる。それに対して機能、性能は利便性、安全性という文化的要素で経済成長とともに発展する要因である。過去から現在まで長く使い続けられている住宅は間違いなく【優れたデザインの住宅】であり機能、性能で選ばれることはない。その時代に合わせたリモデリングで交換すればよいからである。住宅が【資産】として残る要因はいつまでも懐かしさを抱くことができるデザインの優秀性に尽きる理由である。資産価値を持ち続けるということは長く使える【機能、性能ではない】ことをマークスプリングスは教えてくれる。日本多くの住宅展示場やテレビコマーシャルカは未だにこの機能性、性能、利便性を強くPRするのが多いのにお気づきだろう。そして当社こそのデザインが最高です!とモデルハウスでは販売員としての専門教育を受けた優秀な営業マンがそう言いながらシステムキッチンやオール電化について語ることが多いことにもお気づきだろう。しかし、最高のデザインと言いながら5年後にはそのデザインの家はもう一軒も建てない。本当に優れたデザインならば5年で壊す必要はひとつもない筈である。 続きます・・・