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(仮)闇のちさめ

 ぜろ

(一発ネタ)魔女のちさめ(構想中)
2011/02/06
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カテゴリ:二次創作

※なお、再来週から10月上旬まで、土日祝祭日の大半を、資格受験学校に費やします。

 息抜きの一発ネタも、書きたいなぁ・・・。(;´・`)

 

 

 

 24

 

 「ガッ・・・グウッ・・・」

 

 片腕を庇いつつ、広い肩幅の背広姿が、地に横たわる。

 

 直角を超え、折れ曲がっている、右前腕部。

 筋肉を突き破り、夜風に曝される、二対四本の骨。

 有り得ぬ方向に、腕を極め、再生を阻む、手首と肘の腱。

 

 意識も保ち難い激痛なのだろう・・・息も絶え絶えに時々、わずかな苦悶だけが響いている・・・。

 

 ”な・・・にがっ・・・?”

 

 さしもの矜持溢れる、戦姫でさえ、我を疑い、背後を振り向く。

 

 視界に広がる、正義の安堵と、悪の挫折を、土壇場で差し戻す不可解。

 全身全霊を賭け、必殺の一撃を見舞う最中、素人のように操気を誤って自身を砕き、崩れ落ちる、最強の実働戦力。

 

 ”どういうことだ・・・これは・・・?”

 

 故事に曰く、弘法も筆の誤りとあるが、偶然とは考え難い。

 

 ”まぁ、考えている暇などないか・・・”

 

 突然、直上に膨らむ、転移魔法特有の力場と発光。

 良く知る、茶飲み相手の強大な気配に、荒ぶる魂が、歓喜に沸き立つ。

 

 ”ハッ!直接、殺り合うのは、初めてだなぁ、ジジィ!!”

 

 生半可な武器や術では届かぬ高さを、油断なく押さえ、大きな威圧感を帯びる、老人が、天空に立つ。

 

 魔法使いと言うよりも、仙人そのものの風体。

 老いてなお、麻帆良最強の一角を占める、学園の最高責任者、近衛近右衛門。

 

 節くれだつ手が、古木の杖を、振りかざす。

 朗々と唱える、呪文に集う、風や燐光。

 

 ”フンッ、高範囲の麻痺、拘束魔法で、一気にケリをつけるつもりか!”

 

 避けられぬなら、防ぎ、耐えるのみ。

 我に、迎撃の用意あり!

 

 爛々と輝く、蒼玉の瞳。

 猛々しく釣り上がる、秀麗な瞼。

 細く白い両手に広げる、ありったけの魔術触媒。

 電気仕掛けの檻に削られている、幻想の源から絞り出す、なけなしの魔力。

 

 初手を堪え、発動直後の僅かな隙に、後の先を獲るべく、不老不死の大魔女は、すべての感覚を研ぎ澄ます。

 

 頂点へと差し掛かる、一触即発の緊迫感。

 幼くも妖しい美貌を彩る、壊れかけの微笑。

 

 だが、あくなき闘いに、まばゆい煌めきを求める、狂姫の期待は、またも裏切られる。

 

 苦しげに歪む、長く白い眉毛。

 咳込むたびに、口元から広がる鮮血。

 左胸付近を掻きむしる、骨張り皺が目立つ両手。

 

 ほんのわずか数秒で、がらりと様相を変え・・・禿頭の老人が地に堕ち、弱々しくうずくまる・・・。

 

 ”馬鹿な・・・心臓発作だと・・・?”

 

 五分の賭けで、二度良い目が続く程度ならば、運気の多寡とも考えられる。

 しかし九分近く負けを見込む戦で、敵手の自滅ばかり続くなど、不自然極まりない。

 

 ”これでは、まるで「加護」・・・だが、そんなモノは・・・”

 

 神々の奇蹟が、まだ人心に深く根強く時代。

 基督の教義上、異端と断じられ、艱難辛苦を知り尽くしてなお、生き抜く魔女ゆえの既視感。

 かつて、聖人の遺骸を包み、「護」の概念を宿す布の理不尽に、幾度、苦杯を煽っていることか。

 

 現実を凌駕し、物体に昇華する、幻想の象徴。

 古代の神器や遺物などが、引き起こす理の超越・・・「加護」ないし「祝福」・・・。

 

 発動条件が厳しく、かつ制御し難いものの、導く因果は、魔や法の術など寄せ付けない・・・が、神仏に無縁どころか、相反する身では、むしろ罰(ばち)こそ下るはず・・・。

 

 ”いや待て・・・”

 

 たかだか聖職者の死体袋ごときが、強力な守りになる。

 では、神魔の原典に近い存在が縫い上げ、特定の対象に捧げている、類い稀な衣装ならば・・・。

 

 汗や垢の汚れ一つない、純白の袖口。

 火の粉と煙が舞うなか、焦げ臭ささえつかず、輝く生地。

 戦場のただなかではありえない、清浄さを保つ装束。

 

 ”あああぁ・・・あの非常識娘かっ!”

 

 多分に誤解を含む推察ながら、数百年の知識と経験が、苦い過去の精算を、色々とだいなしにしている、根源を掴む。

 

 いずれ、違法教師絡みの無茶苦茶な騒乱に、関わるであろう恩人達。

 幸多かれと祈りながら、機(はた)を織る、臆病な鶴。

 真摯な願いが、衣(きぬ)に宿り、図らずも傾ける、運勢の天秤。

 

 邪神(Outer Gods)に拮抗し、旧神(Elder Gods)に届く、大魔導師の近似存在を、宿すがゆえの異常。

 自己認識を欠く、非凡な少女の誠心は、「悪」の敗北を定める世界線を断ち切り、ここに未知への門(stains gate)を開く。

 

 怒りと呆れが膨れ上がり、一気に吹き飛ぶ、呪縛の鎖!!

 

 ”ハッ、ハァッ・・・ふうぅぅぅっ!クッ!”

 

 荒ぶる呼気を鎮め、餌としては用済みの子供を、打ち捨てる。

 

 安楽に心身を腐らせながら、幾度も夢見た悲願の成就。

 だが、やり場のない感情の坩堝が、歓喜に浸ることを赦さない。

 

 心地好い檻の破壊と、不屈の抵抗。

 たやすくない、起点と過程があればこそ、結末は訪れる。

 悪意なき助勢は、副次要素に過ぎないと、聡明な永遠の魔法少女が、淡々と諭す。

 

 決死の覚悟と、誇高き最後へと、落ちる影。

 主従共に砲火に身を曝す、命懸けの闘争が、八百長芝居と明かされて、誰が平静でいられようか。

 惜別の想いも相俟って、八つ当たりと自覚しつつ、情厚い不滅の獅子が、怒りに震える。

 

 ”召喚(こい)!”

 

 盟約の絆と、残余の魔力に乗り、瞬時に集う、命長らえている忠臣達。

 皆少なからず傷を負い、末娘に至っては、満身創痍のうえ、手足が全て砕け、横たわるのみ。

 

 指導者と切り札が、不可解な自滅を喫し、正義の走狗共は、もはや烏合の衆。

 ましてや、出目が読める博打などに、価値はない。

 さらには、容易に消えぬ煩悶まで抱え、不愉快さも増すばかり。

 

 家臣を案じ、居城への帰還に、夜魔の王は舵を切る。

 

 「だが、まぁ・・・」

 

 従者達の傷が、癒える間も無く、無粋な客を迎えたくもない。

 

 かねてより、辞去の際にと考慮している、ささやかな置き土産。

 新たに手にする、優秀な魔力貯蔵庫と発動体。

 無闇矢鱈と手札をさらす、愚を犯せないが、牽制と足止めには良いだろう。

 

 幽鬼のように立ち上がる、小さな人影。

 

 深い傷を押して、意地を示す、黒彪と白鷺、二人の敵手が、続く有象無象共々、凍りつく。

 

 意識を喪失し、濁るつぶらな瞳。

 冷たい血潮を誇示する、蒼白の肌。

 飢える獣のように牙を剥き、荒い息継ぎを繰り返す口元。

 

 吸血鬼の下僕に墮ち、膨大な魔力を滾らせる、邪悪な生人形。

 変わり果て、「善」に立ち塞がる、希望の象徴にして、英雄の後継者、ネギ・スプリングフィールド。

 

 「ラ・ズテル・・・雷の矢・・・」

 

 不気味に響く、掠れ声。

 膨大な魔力、妖魔特有の月齢効果、主の緻密な制御などが相乗し、数百の光弾で、夜空を埋め尽くす。

 

 「受け取れ」

 

 高く透き通る、酷薄な呟き。

 一斉に虚空を駆ける、無数の閃光。

 懸命に図る防御を、嘲笑うかのように、都市全体の送電施設に降り注ぐ、雷の豪雨。

 

 避雷針では逃せない、魔の高圧電流が、重要な機材を奔り、焼き付かせてゆく。

 灯(ともしび)と一緒に、不可視の護りを失う、巨大な学園都市。

 

 「フハハハハハハ・・・せいぜい足掻け、正しき者達!!」

 

 哄笑を手向け、影の転移門を潜る、闇の王と眷属達。

 敗者を侵す、多大な屈辱と、一抹の安堵。

 

 だが、復仇を誓う暇(いとま)はおろか、わずかな休息さえ、現世の守護者には、齎(もたら)されない。

 

 携帯電話から念話まで、手段を問わず、次々と舞い込む救援の要請。

 異変を捉え、大挙して押し寄せる、妖怪変化や敵対組織の浸透。

 悲鳴をあげる、学徒主軸の防衛部隊。

 

 学園長をはじめ、傷病者の救護にも人員を割き、心身の疲労に苛まれつつ、四方八方に散ってゆく、魔法使いの群れ。

 

 西の山肌へと近付く、春爛漫の朧月。

 瀬戸際の攻防を重ねつつ、悪夢の一夜が、ゆっくりと幕を下ろす。

 

 

 24

 清々しい朝を騒がす、広報車両の拡声器。

 繰り返し流れされる、都市全域の送電障害と、復旧の見通し。

 

 麻帆良学園大学の工学部に数多い、研究室の一角。

 仮眠用の寝台から、もぞもぞと人影が這い出す。

 

 夜着の乱れを整え、黒髪の少女が、眠気を振り払う。

 非常用電源と保護機能を信頼しながらも、状況を確認すべく、手近な端末を探し・・・不意に固まる・・・。

 

 ”な、なにアルか、コレは・・・”

 

 怒涛の如く流れ込み、重なり合う、異なる「人生」。

 出生不明の孤児として、上海魔法結社の児童養護施設で育ち、科学と魔法、両面に示す、非凡な才ゆえに、英雄の従者候補と見做される少女、超鈴音。

 本来、存在しない子供を、「世界」に嵌め込む、強引な捏造。

 

 ”いっ、嫌っ・・・”

 

 人格の蹂躙に怯え、崩れ落ちる、若々しい肢体。

 悪寒に震える、細い背中。

 必死に堪えても、漏れる嗚咽。

 

 だが、可憐な少女の抵抗も虚しく、膨大な「力」は、矛盾を矯正してゆく。

 最後の希望、時間遡航を可能とする、未来知識の結晶さえ沈黙し・・・見知らぬ両親の手掛かりと、信じ始めてしまう・・・。

 

 歴史の改変を目論む天才少女は、絶望の余り意識を手放す。

 目覚めを迎える「誰か」に、わずかでも「自分」が遺ってほしいと祈りながら・・・。

 

 桜が散り、季節の彩りは、新緑へと移ろう。

 知る者無き、今日(みらい)が、始まる・・・。

 

 

 

 つづく(?)







Last updated  2011/02/10 10:37:04 PM
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