株式会社販売開発研究所

2015/11/19(木)13:48

モウさんの社長指南「一日一笑」実行力不足病の処方箋(144)

朝夕はひんやり日中は汗ばむ季節、会社は年末商戦の前哨戦入り。1年前半年前に打った手が見え始める。現在の業績は過去の打った手であり、日々の努力が継続の源。良い業績が続くと、人は努力を怠りがち。人間の弱い一面だ。社長も業績が良い時は笑顔を見せるが、悪くなるとどこへやら。口を「への字」に眉間にしわを寄せ、怖い顔となる。先行きが不透明なら尚更のこと。これが普通の人間の姿。 2008年のリーマンショック後はデフレ経済が続き、単価下げ圧力が強く、案件は少なく、従って競争は益々激化し赤字が続く。昇給見送りしかり。賞与とてもち代程度で、ローンの支払いに事欠くありさま。歓楽街もタクシー運転手曰く、「年々日に日にお客さんが少なくなっております」と先行き不安を語っていた。社員の過剰感も月々に募り、人材の棚卸も本格化し、パートやアルバイトから整理が始まった。社会不安そのもの。笑顔も消えテレビ番組も「○千円でひと月暮らす」「無人島暮らし」的なものが視聴率を上げた。そこに東日本大震災が勃発。物流が寸断され、食料品店はじめガソリンスタンドに長蛇の列。心・物・労働のボランティア活動で「絆」がキーワードとなる。これまでの需給バランスが一瞬に崩壊し、供給過剰だったデフレ経済終焉の潮目を見た。供給不安が報道されるやモノの上げ圧力となり、原材料高騰を背景に、大手から値上げを打ち出し、中小の値上げも需要側として受け入れざるを得なくなった。値引き販売が正価販売にあっと言う間に変わった。売上と粗利益率の改善で笑顔も戻ってきた。これまでの人手過剰から、復興に携わる職人の東北移動が始まり不足してきた。それまで建設業では需要の激減に呼応するかのように、協力業者の職人が高齢化し、先行きの見通し難から後継者難を招き、廃業が常態化していた。ところが職人の工賃単価も八千円から倍増し、3倍以上でも職人が集まらない。福岡の空調設備業者も、社長と従業員が東北に出稼ぎに行った。全国で建物の耐震構造問題が浮上し、公共事業の必要性に反対の声すら聞こえなくなった。学校から耐震・太陽光設備工事が始まった。都市高速道路の橋げたがはたまたひと回り大きくなる。建築物も30年もすると劣化が目につくようになり、消費税上げ前の駆け込みでメンテナンス需要も発生。不運な出来事がデフレを脱却した。 2013年に東京オリンピックパラリンピック開催が決まると、一気に景気に弾みがつき、関東へのヒト・モノ・カネの集中が始まり、地方でも少しずつ元気を取り戻してきた。笑顔も戻ってきた。社長は業績の低迷が続くと、なかなか人とも会う気になれない。リーマンショック時のように打つ手無き「無策」が何より不安だ。しかし、手さえ打っておれば心配に及ばず。笑顔も出てくる。社長の不安は社員の不安。社長の笑顔は社員の士気を発揚する。それだけに業績の良し悪しを超えた「一日一笑」を社員に見せる義務がありはしないか。

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