株式会社販売開発研究所

2020/04/18(土)12:50

モウさんの社長指南(196) 人間の幸せとは「至福の時間を持てること」⑽

人生は時間の総和だが、病気では長生きしても幸せとは言えない。ある方は「そんなに長生きしたくない」といい、またある方は「出来るだけ長生きしたい」という。これだけは人生の価値観そのものだ。筆者が懇意にして頂いている高齢の社長や会長、若手の社長約20人のお顔を想うと納得する。電気工事業U社のN会長は、趣味の三味線に高じつつ、熊本県天声会(喉摘障がい者)会長のほか、日喉連九州ブロック長兼全国副会長を務め、九州はもとより、各地を東奔西走しておられる。一度は「死を覚悟」された方で、生きているこの時間を、誰よりも大事に自分のため同僚のために使っておられる。30歳台のバリバリの時代から、大手術後の極度の焼ける痛み、その後まさかの大学病院内でB型肝炎感染に遭遇した。これらを乗り越え、リハビリ後に退院してから、愛犬の散歩を兼ねた毎日の発声訓練。相手とのやり取りは手持ちの白板に書いて、コミュニケーションした。経営方針作成時しかり。長い発声訓練が功を奏し、私でも聞き取れるようになった。経営会議もこなし、今では三代目の社長に長男を据え、会長職をキチンと全うされている。業績も安定し、毎期高配当を維持している。喜寿を過ぎたが、術後者支援活動の話しになると目の輝きが違う。役立つ喜びに至福を見いだし、一瞬一瞬が「時は命なり」なのだ。流通業D社のY社長は、別荘で好きな音楽を聴きながら、静かに「晴耕雨読」している。誰にも邪魔されない、自分だけの至福のひと時から、新たな発想が浮かぶという。建設資材製造業B社のM社長は、仕事柄海外出張が多く、美味い店をよくご存知だ。これまで数えきれないほど食事をご一緒させていただいた。自ずと話題も広がり、経営の神髄も語り合った。軽度の脳梗塞障害の父である創業社長との交代はいばらの道で、数年の葛藤の中、どうスムーズにソフトランディングさせるかが課題だった。40歳前半の専務時代には「社長が亡くなるまで交代は無理だ」との認識だった。今となっては長いようで短い時間だったようだ。ともあれ、どの店もこだわりがあり個性もあって美味しかった。なぜ美味しいのか辿っていくと、全く経営と同じだとわかった。先ずどんな店にしたいのかの理念が第一。季節の食材や出汁にこだわれば、料理にコクや香り、深みも生まれてくる。盛り付けや彩り、器や内外装への心配りも欠かせない。スタッフの接客教育にも万全を期す。これまでを振り返ってみると、美味しい料理に心身ともにリフレッシュされたことが少なくなかった。食事の時間は、厳しい企業間競争に晒されている経営者にとって明日へのバイタリティにつながる貴重なひとときといえるだろう。

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