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昨日のお話の続きです。
若い男性が右の肩と、左の足首に生首が噛みついている姿で相談に来られた。 与乃登は驚いたが、早速、祓いをかけて取り除いた。 デートで遊び気分で心霊スポットを訪れていた男性にもう行かぬように諭して帰したが、与乃登はまた行くだろうなと思っていた。 そして、しばらくして、この男性が尋ねてきたのです。 与乃登はまたも大きく驚いたのです。 今度は体に六つも生首が噛みついていたのです。 与乃登「また、心霊スポットに行かれたのですね?」 男性 「分かりますか?どうも体中が痛くて。医者に行っても痛みが取れないので来ました。」 バカか?こいつは。あれほど行くなと行ったのに。しかし、どんな所なんだろうね、そこは。生首が大量発生でもしてるのか?今度は六つだよ。痛くないのか?あ、痛いって 言っていたな、そりゃそうだろう。痛くなかったら本当のバカだ。 与乃登は一生懸命噛みついている生首をしげしげと見ながら、これを付けて歩いてきたのか、と関係ないことを考えていた。 男性 「先生、何とかしてくださいよ。」 与乃登「どうしたもんかねぇ、これを取ったら、また行くだろう?」 男性 「そんなこと言ってないで、取ってくださいよぉ、痛いんです。」 与乃登「いい薬じゃないか。それ以上、痛くはならんよ。運は悪くなるかもしれないが、ま、女にもてなくなったら、心霊スポットにデートに行かなくて済むじゃないか。」 男性 「もう、今はそれどころじゃないですって、取ってくださいよ。お願いします。」 与乃登「しょうがないな、いくつ取る?」 男性 「え?いくつ付いているんですか?生首ですよね?」 与乃登「そうだな。えらい怖い顔してるぞ、どいつもこいつも。全部で六つだ。」 男性 「ひえー、全部取ってくださいよ。」 与乃登「いいか、この前二つ、今日六つだ。しかし、こいつらの供養をするというのなら取ってやらんこともない。」 男性 「供養ですか?それって金かかるんですか?」 与乃登「金か?かけてもいい。かけんでもいい。とにかくやり方は教える。するか?」 男性 「金かからないならします。とにかく取ってくださいよ。」 与乃登「よし、するな?なら、こいつらに約束するな?いいか違えたらこいつらもっと祟るぞ。」 与乃登は男性に説教ついでに供養の約束を取り付けた。 生首達は話のやり取りを聞いて、男性の体から離れていた。 やがて生首の中で一番年かさの男性が話しかけてきた。 生首 「我はいくさに負けた側の大将だ。いい話を聞かせてもらった。我らの無様な姿を探しに来る若者には我慢がならなんだ。だから噛みついた。こいつには供養の力はない。そなたの供養を受けよう。」 与乃登「これはこれは。しかし、失礼をしたのはこの男。けじめは付けさせましょう。ろうそくの一つ、線香の一つも手向けさせましょう。もちろんこれからあなた方の気の済むまで供養をしましょう。」 生首 「では、仲間の分までよしなに。」 与乃登はいくさで負けてさらされた生首達の供養に入った。 供養のための経典が読まれた。 やがて、生首達の朽ち果てた険しい表情が和らぎ、生前の精悍な武士の顔に戻っていった。 そして、一つ、また一つと生首は消えていった。 最後に話しかけてきた大将の生首が和やかな顔で消えていった。 与乃登「よし、これでいいだろう。」 男性 「はい、楽になりました。あのう、供養って。」 与乃登「もう、済んだよ。しかしな、苦しむ人の姿をのぞきに行ったのだから、現場近くの寺にろうそくと線香を上げておいで。」 男性 「それでいいんですか?」 与乃登「足りないと思うのなら、般若心経でもあげてくるか?」 男性 「いや、いいです。ろうそくと線香にします。」 与乃登「必ず、行っておいでよ。行かないとまた、噛まれるよ。」 男性 「もう、いいです。行きます。」 与乃登は帰って行く男性を見て、心霊スポットには行かないで欲しいとつくづく思った。 与乃登(よのと)の神霊心療室 http://yonoto.com/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年11月20日 00時12分25秒
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