2017/01/15 ニューイヤーコンサート@川内萩ホール
移転先のサービス終了にともない、ここ2年くらいの記録を手動移行中。2017/01/15 18:16 カルチャー , 暮らし , 趣味・日記 ニューイヤーコンサート@川内萩ホール鳴瀬川を渡る車窓、うっすらと雪を戴いた山並みと西風に流れる雲たちが、かつて暮した信州の乾いた冬晴れを思わせる。ラジオから流れる全日本学生音楽コンクールの演奏を聴きつつストーブに薪を灯し、気仙沼発・アンカーコーヒーの豆を挽く。 大崎平野の田んぼに面した古民家のような隠れ家と県都を往復する暮しを1か月と少し。石巻線の始発列車の足音に目覚め、いつか牡鹿半島の高台から拝んだ朝日を思い起こしつつ、東の地平線から昇る太陽を撮影……したいのだが、こちらも一日が始まるので、霧のなかに白い息を弾ませながら、あるいは雪の上の新聞配達の轍と早起きの犬の肉球を追いかけつつ、駅への道を急ぐ。出先で夜を明かし、北極星を探しながら一方で足もとの凍結を気にかけつつ帰途に着くのは一日二日おきが常の此の頃……お日さまとともに日がな過ごし、西向きの窓に宵の明星を見つけ、渡り鳥たちとともにねぐらにつくような一日が、いまのところの夢なのだが、はたして春までに実現するかどうか。 そんな週遅れの休日、支度をととのえて出かける先は、青葉山・川内萩ホールのウィーン交響楽団・ヨハン・シュトラウス・アンサンブルのニューイヤーコンサート(1月7日)。地下鉄東西線の国際センター駅を降り、扇坂なる階段を登る。冬木立の木漏れ日が照らす、演奏会の開演前特有の人だかりが、軽井沢・大賀ホールのメサイアコンサートを思い起こさせる。主席バイオリニスト兼指揮者が日本語の挨拶も交えてみずから司会を務める十数人のアンサンブル、真っ赤なドレスの歌姫がシャンパングラス片手に登場する演出も。後半は誰もが馴染みの、花のワルツや美しく青きドナウにつづき、アンコールラストのラデッキーマーチでは手拍子で観客と一体になり、We wish you a……アケマシテオメデトウゴザイマス、と締めくくる。年末から続いていた慌ただしさから束の間解放され、ようやく新年をことほぐことのできた瞬間だった。 情報の洪水のようなリーフレットたちには、3月4日の仙台フィル、3.11祈りのコンサート、宮城県美術館のルノワール展、東北歴史博物館のラスコー展……ともするとあっという間に過ぎ去ってしまいそうだけれど、さてどれだけ訪ねられるだろうか……ともかく、季節に追い立てられることなく、でも季節の営みを感じながら、ことしもまた一歩一歩。