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7日、食料品を仕入れて帰宅。
夕食を作るまで時間があったので、録っておいた映画「最高の人生の見つけ方」を見たんだけれど、評が良かった割には感動が薄かった。 いかにもアメリカ的な、安易な作り方だと思いましたよ。 食後早く寝てしまったせいか、午前3時に目が覚めました。 どうせテレビは通販番組しかやっていないので、また録画しておいたものを観ることにしました。 池上彰さん解説の「サウンド・オブ・ミュージック」。 映画館でも観たし、テレビでの放送でも観た記憶があるのに、何故だか録画してしまいました。 たぶん、「池上彰さんが解説」というところに興味が引かれたのだと思います。 池上彰さんは、サウンド・オブ・ミュージックの主人公達「トラップ一家」の生活していたオーストリアの置かれていた困難な立場を、わかりやすく解説してくださいました。 当時、1930年代のオーストリアは、周囲をドイツ・イタリア・スイスに囲まれた、北海道ほどの面積しかない小国でした。 周りに海のない大陸の中の国家なのですが、トラップ一家の主、トラップ大佐は元海軍将校。 池上彰さんは地図を用いて、海のない国の海軍について解説されました。 その20年ほど前、第一次世界大戦以前のオーストリアは、「オーストリア=ハンガリー帝国」として、現在のクロアチア・スロベキアを領土としていた広大な国家で、海にも面していたので海軍が存在していたそうです。 ところが第一次世界大戦で敗北して、領土が狭められ海に面しているところがなくなり、海軍もなくなってしまったのです。 退役軍人として職を無くしたトラップ大佐は、妻も失い、失意のどん底だったのです。 そこにマリアが、修道院から家庭教師として派遣され、7人の子供たちに信仰と愛と歌によって接していきます。 ナチスドイツの侵攻。 1938年3月、オーストリアはドイツ帝国に併合されます。 当時オーストリアには、ドイツ人が多く住んでいましたので、併合は歓呼の声に迎えられた部分もありました。 その当時のニュース映像を映しながら、行進するナチの軍隊と歓呼して迎えるオーストリア国民の姿を、池上彰さんは解説していました。 もちろん、オーストリア人は、併合を歓迎する人ばかりではありません。 トラップ大佐は、ナチスのドイツ帝国の支配には、賛同していませんでした。 それなのに、優秀な海軍将校であったトラップ大佐に、第三帝国海軍から出頭命令が下るのです。 家族は亡命を企てます。 ザルツブルク音楽祭に出演したトラップ一家は、協力者の力を得てマリアの修道院に逃げ込み、山越えをして亡命します。 と、ここで池上彰さんの解説が入りました。 山越えをすると、ドイツ帝国の領土なので、現実は山越えではなく船での逃亡とのことでした。 「サウンド・オブ・ミュージック」は、実在のトラップ一家をモデルにはしていますが、やはりそこは映画。 いろんな脚色があるようです。 アメリカ式のハッピーな光景もいろいろね。 でもそれらを考えても尚、この映画は魅力的です。 マリアを演じた「ジュリー・アンドリュース」さんの歌声、7人の子供達の愛らしさ、そして 「ドレミの歌」を始めとする覚えやすい楽曲の数々。 特に「エーデルワイス」はザルツブルク音楽祭で歌われますが、ナチス兵が取り囲む中、オーストリアへの愛国の歌として印象的に使われます。 トラップ一家の合唱に続き、歌いだすオーストリアの観客達。 歌声は一つになり、会場を包み、割れんばかりの拍手が鳴り止みません。 形の上では併合ですか、ドイツ帝国に組伏せられたオーストリアの人々の、抵抗の歌声となったのです。 第二次世界大戦前夜を舞台にした映画だということが、池上彰さんの解説でよく理解できました。 何度も観ていたのに、単なるミュージカル映画としか思っていませんでした。 もちろん、単なるミュージカル映画なのでしょうが、そのストーリーに大きく影を落とす時代背景がわかれば、一つ一つの映像が納得できます。 大佐がナチスの旗を破るシーン、郵便配達がナチスに入党して心からそれを誇りに思っている様子、邸宅でのパーティーにも影を落とすナチス、忍び寄る第三帝国の足音。 映画では、そういうことが描かれていたのに、見過ごしていたというか、流して観ていたというか、ストーリー展開の部分としか感じていませんでした。 今も世界のあちこちで、このような「帝国の足音」におびえている人々がいるかもしれないと思うと、堪らない気持ちになった映画でした。 1965年公開の、映画産業が生き生きしていた良き時代の、アメリカ映画です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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