体の中で時間がどんどん進行
赤ちゃんの心臓は、とても早く打っています。
1拍の「ドックン」にかかる時間は0.4秒。
大人はほぼ1秒ですから、半分以下の短時間で打っています。
そしてハツカネズミの心臓の「ドックン」は0.1秒。
ゾウは3秒。
体の小さいものほど心臓の鼓動の時間が短いということは前回触れました。
さまざまな体の大きさの哺乳類で比べてみると、小さなものほど何をするにも時間が短くて済む。
つまり時間が早いということが分かっています。
心臓も肺も早く動きます。
筋肉が1回「ピクン」と縮む時間も短いし、寒いときに体がガタガタ震える。
その1回の「ガタ」の時間も短いし、腸も早く動いて食べた物を送るため、口から入った物がすぐに排泄されて出てきます。
飲んだ物が出てくるまでの時間も短いのです。
これらの時間の長さは、みな体重の4分の1乗にほぼ比例しています。
これはちょっと面倒くさい関係ですが、体重が10倍になると時間がほぼ倍余計にかかり、体重がさらに10倍になると時間もさらに倍かかるという関係です。
赤ちゃんがおなかの中にいる時間は十月十日(とつきとおか)でした。
ハツカネズミは20日(これが名前の由来です)、ゾウでは600日で、これも4分の1乗の関係になります。
大人になるまでの時間もそう。
そして寿命という時間もやはりそうなのです。
大きいものは何でも時間がかかる、つまり時間はゆったりと進み、小さいものの時間は早く進むといえるでしょう。
だからゾウの時間とネズミの時間は異なり、そして「赤ちゃんの時間」と「おかあさんの時間」も違うのだろうと私は思います。
赤ちゃんはただ寝っころがっているだけに見えますが、体の中では時間がどんどん進んでおり、だからこそ生後半年で体重が倍になるほど、すくすくと速やかに育っていくのでしょうね。