＊人はかわれるかもしれない＊

　　自分というものを、掘り下げて考える時、どうしても通らなければならないのは、自分の

　　成育歴です。どいうふうに育ってきたか、また育てられてきたかは、自分と言う人間を

　　知る上で、避けて通れないことであるから・・・でも、今までそこを通ることが、何か

　　恐くて、ずっと避けてきました。

　　分かっているようで、分かっていない自分。自分を客観的に見ることが、どういう結末

　　になるかということが、分からなかったからだと思います。


　　私は両親と姉との四人家族の次女として生まれました。

　　母は専業主婦で、父は高校教員でした。姉は私より２歳年上。本当に平凡で、どこにでも

　　あるような、普通の家族であったと思います。

　　母が言うには、小さい頃の私は、引っ込み思案で、初めての人に会うと、親の後ろに隠れ

　　てしまうような、子供だったそうです。（娘の小さい頃にそっくり）

　　そうかと思うと、母の手を振りほどいて、道路を横断し、車にはねられそうになったこと

　　（車が急停車したらしく、うっすらと覚えています）もあったとか。結構ひやひやする

　　子供であったみたいです。

　　幼稚園は嫌いでした。最初の頃は、「行きたくない」と毎日泣いていました。

　　家で一人遊びをするのが好きだったみたいです。

　　母は、「劇団にでも入れて、人見知りを治した方がいいかしら」とその頃真剣に思ってい

　　たと後で聞きました。その頃、そんなものがあったかどうかは、分からないですけど・・
　
　　当時は、アパートで住んでいたので、朝に昼に、近所の子供と、段々遊ぶようになり、

　　少しずつ人見知りもなくなり、活発になっていったようです。本当に暗くなるまで、毎日

　　外で、遊んでいました。


　　小学校の低学年は、緊張しやすい性格（これは今でもあります）はありましたが、普通に

　　学校に通っていました。

　　 小学校は家から徒歩数分の所にあったので、忘れものをしても、休み時間に家にとり

　　に帰れるぐらいでした。その頃はそんなことも、おおらかだったように思います。

　　姉は２歳上で、同じ学校に通っていたのですが、一緒に登校した記憶があまりないのです

　　時間が合わなかったのか、その頃、よく喧嘩していたので、姉とあまり仲良くなかったの

　　かもしれません。今は結構仲良しです。

　　いつも、ギリギリまで寝ていて、ダッシュで学校に行っていたように思います。


　　家は３Ｋの狭いアパートにもかかわらず、なにかしら、いろいろな生き物を飼っていまし

　　た。その頃は犬や、小鳥や、金魚。一回学校のそばに売りにきた、ひよこを飼ってそれが

　　雄鶏になって、あんまり朝早くから鳴くので、どっかの農家の方に貰ってもらったことも

　　あります。

　　近所（同じアパート）の付き合いは、わりと濃厚で、土曜日の昼に家に帰ると、いつも

　　近所の、おばちゃんが誰かご飯を食べに来ていました。近所の人の出入りはよくあった

　　と思います。

　　私も近所のお家の方に、一緒に海水浴や、ミカン狩りに連れていってもらったりしました

　　車に定員以上乗っていたので、警察の前を通る時は、背を低くして隠れたり、トランクの

　　中に寝て乗ったりしていました。すごくワクワクして楽しかったのを覚えています。


　　洋服はよく母に手作りしてもらって、姉とおそろいで着ていました。その頃は今と違って

　　子供服は高かったみたい。

　　母は、おこると恐いけど、あまり根に持つ性格ではなかったように思います。あまり、

　　しつこく言われた記憶は私にはありません。

　　ただ、家の手伝いはよくさせられました。洗い物したり、洗濯を干したり、買い物に行っ

　　たり。「助かった」って言われるのがうれしくて、おだてにのってしていたように覚えて

　　います。あれは、母の作戦であったなと、今は思います。　　　　　　　　（続く）