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海上自衛隊イージス艦「あたご」が,漁船「清徳丸」を確認したのは衝突2分前ではなく,「12分前」であったとの情報を隠していた。
「未確認情報であっても明らかにしていく」という石破茂防衛相の言明は,一体何だったのか。 「捜査中,何も分からないということがあってはならない。未確認であっても,今,こういう情報が入っていると,捜査に支障がない範囲で明らかにする必要がある。隠さない,事故を正当化しない」。 2月22日の衆議院安保委員会での石破氏の答弁です。 この答弁通りにあらかじめ行動していたなら,2月19日の時点でも,「未確認」の注釈をつけて,「12分前」の情報を,同日中に公表できたはずです。 しかし,この間の経過はどうだったか。別表をみて下さい。「12分前」の情報が入ってきたのは事故当日2月19日の午後4時すぎ。午後8時半には石破氏に伝わっていました。 ところが石破氏は公表せず,翌2月20日午前8時30分には,事実関係の確認が終わっていました。少なくともこの時点で,公表は国民に対する義務でした。 石破氏が訂正発表したのは2月20日午後5時。前日「12分前」の情報が入ってからまる1日経っていたのです。石破氏は「海上保安庁との調整に時間がかかった」と弁明しています。 「隠さない」という国会での答弁は単なる言い逃れだったのか。 石破氏の答弁を見ると,2月25日の衆議院予算委員会から,「捜査に支障が生じるので,海上保安庁から公表を差し控えるよう要請されている」との答弁が目立っています。 2月26日の衆議院安保委員会で,野党議員は,「海上自衛隊が立ち上げた事故調査委員会のメンバーを明らかにせよ」と質問しました。石破氏は「捜査に支障が出るので,乗組員との接触を禁じられている」と繰り返し,答えようとしませんでした。 これでは,「捜査中,何も分からないということがあってはならない」という2月22日の答弁に反しています。 防衛省・自衛隊は「捜査に支障が出る」ことを口実にして,捜査とは無関係の内容についての説明責任すら放棄することになります。 海上自衛隊の情報隠ぺい体質も重大です。海上幕僚監部は2月19日午後4時すぎに,「12分前」情報を得ていながら,河野克俊防衛部長は,同日午後11時,記者会見では「2分前」だと説明しています。この時点でも誤りの可能性が高いと分かっていた情報を国民に押し付けていたのです。 防衛省・自衛隊は国民を守る組織ではなく,みずからを守ることを第一に置いている。こう思われても仕方ありません。 防衛省・海上自衛隊の情報隠蔽体質は今に始まったことではありません。 昨年秋には,海上自衛官が独断で,インド洋で給油活動を行っていた艦船の航泊日誌を破棄していたことが明らかになり,臨時国会で大問題になったばかりです。 1988年,潜水艦「なだしお」が遊漁船「第一富士丸」と衝突した事故でも,衝突時の航海日誌を改ざんしていたことが明らかになり,当時の瓦力防衛庁長官の辞任につながりました。 石破氏は,「(海自には)大臣に情報を上げるのをためらう傾向がある」と述べ,「防衛省改革」の必要性を主張します。しかし,自身も20時間以上,情報を隠していた石破氏に,本当に「改革」を口にする資格があるのでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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