カテゴリ:モスクワの暮らし
図書館の帰りに、トレチャコフ美術館に行きました。
(エルミタージュやロシア美術館をはじめ ペテルブルクの美術館は 5時に閉まってしまいますが、 モスクワの美術館は 7時とか7時半まで開いているのがいいですね。) 19世紀末のモスクワの資本家トレチャコフ一族による ロシア絵画のコレクションに端を発した美術館です。 展示ホールに足を踏み入れると、 まずは肖像画のコーナー。 あぁ、なんだかペテルブルクで見たような絵が たくさん並んでいます。 皇族の肖像画って数多く複製されたとは聞くけれども、 ペテルブルクとモスクワで全く同じものが こんなに何種類もあるとは。 たとえばロシア美術館がまだ宮殿だった時代の 女主人エレーナ・パーヴロヴナ大公女の肖像が、 トレチャコフにもあるなんてちょっと意外… さらに足を進めると、 壁一面に広がる大きな大きな絵が。 イエス・キリストが遠くから歩いてくるのを 民衆が期待あるいは嘲笑の目で眺めている光景です… ちょっと待て!これ絶対ロシア美術館で見た!! イヴァーノフの『人々の前に現れたキリスト』じゃないですか! この絵の話はロシア語の授業でも出てきたたから覚えています。 いくらなんでもこんな巨大な宗教画、複製せんでしょう!? ふと下を見ると、小さなプレートが。 曰く、 「この作品は、トレチャコフ美術館150周年を祝って ロシア美術館によって貸し出されたもの」 よく見れば展示室のあちこちにそんな札が置いてあります。 道理で… つまり私は、期せずしてロシア美術館で見た絵画たちに 再会したというわけでした。 実は帰りにわざわざトレチャコフに寄ったのは、 ミュージアムの梯子をしていたペテルブルク生活が 懐かしくてだったので、ちょっと嬉しかったような。 しかしもちろん、トレチャコフ美術館自体も、 数々の素晴らしい作品を収蔵しています。 私がいちばん好きなのはヴェレシャーギン。 1842年生まれの彼は、 当時ロシア帝国に併合されつつあった中央アジアから、 インド、中国、日本まで訪れて 東洋世界の服地の文様を、これでもか、というくらい 丹念に美しく描いています。 あとは抜けるような空の青が印象的。 彼のライフワークにはもう一つ、戦地を描くことがあって そのために同行した日露戦争の海戦で落命しています。 ヴェレシャーギン『ティムールの扉』 ブリュロフ、ゲー、レーピンなど、 19世紀から20世紀初頭にかけてのロシア絵画は 見どころたくさんです。 西欧名画が収蔵されているエルミタージュもいいですが、 近代ロシア絵画専門のロシア美術館も訪れることを ぜひお勧めします。 あれ、ペテルブルクの宣伝になってるぞ。 トレチャコフ美術館のHPはこちら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/06/11 05:33:04 AM
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