カテゴリ:ロシア語
うちの大家さんと話していると、
よく「シカールヌィ」という単語が出てきます。 曰く、 「彼はそのときおみやげを持ってきてくれたんだけど、 それはシカールヌィな箱に入っていた」 「彼女がカフェを借りて開いた誕生パーティーは とてもシカールヌィだった」 「マリインスキー劇場に バランシンの『ジュエルス』を観に行ったら、 衣裳や舞台の飾りつけが それはそれはシカールヌィだった」(注*) といった具合。 研究文献ではまずお目にかからない単語なので おそらく口語的用法なのでありましょう。 我々の言葉でそのココロを置き換えるならば、 「リッチ」といったあたりが ぴんと来るのではあるまいか。 ところが後になって辞書を引いてみると 「シカールヌィ=シックな、粋な」 という意味だというのです。 なるほどたしかに、本来はそういう語義なのでしょう。 しかし、上の大家さん発言での口語的用法では、 明らかにもっと意味が広がって、 すごくよかったものを誉める言葉になっていると思います。 おもしろいなと感じたのは、 そういう誉め言葉が、 「シック」という単語から発生していること。 我々にとって、「シック」ってそんなに 誉め言葉の横綱になるような形容詞じゃないのに、 ロシア人からするとその語感が 美的な価値基準の根っこと響きあうのでしょうか。 ロシア人はオトナの落ち着いた美しさを尊ぶ、 コンサバティヴな人種なのかもしれません。 (注*)バランシンの『ジュエルス』は 「エメラルド」「ルビー」「ダイヤモンド」の3幕からなる 20世紀、ミッドセンチュリーのアメリカのバレエ作品。 各幕がそれぞれの宝石を思わせる、 華やかな衣裳と舞台装置に彩られる。 最近、パリ・オペラ座のDVD(海賊版)がモスクワ上陸。 留学終了間際に滑り込みで入手できたので嬉しいワタクシ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/09/17 09:56:13 PM
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