作家の部屋 「ダルタニウスの苦悩」

2006/05/18(木)15:17

日本語の源流

思想(31)

日本語の源流  当初、文法構造がウラル・アルタイ語系に類似していたので、源流はそこにあるのではないかと言われていたが、音韻の規則的対応である「音韻対応」がほとんど見られない点で親縁関係が見られないことから、この説は崩れ、一方で開音節構造を中心とするマライ・ポリネシア系の南方語説が現れた。ただ、日本語との文法的な相違が著しく直接の関係がないことが分かった。 そこで現れたのが日本語が混合により成立したという泉井氏の説で、マライ・ポリネシア語が基層となり、南島系言語にフィンウゴル系の言語を持つ民族が侵入し、言語を置き換え、そこに南島系の言語が一部取り込まれたという説である。  また、インドで話されているドラビダ語との共通点を発展させ、大野氏の次の説が注目を集めている。第一次はヤマイモ栽培期といい、簡単な子音組織の、母音終わりの簡単な言語、第二次は雑穀、タロイモ栽培期で、原タミール語が流入、こんにちの日本語の基礎的な多くの単語や文法組織が持ち込まれ、第三次は弥生時代、母音調和期で本格的に稲作が入り国家体制もできあがり、朝鮮経由のアルタイ語族がこれらをもたらしているという説を唱えている。現在の日本語の起源としては主流をなす言語論だ。   また、図のようにアイヌ語と朝鮮語の共通の言語で、アルタイ語的な特長のある「古極東アジア語」を話す民族にインドネシア語系とカンボジア語系の民族が日本にやってきて、やがてビルマ語系の民族が稲作と共に到来したというものだ。ここで、日本語の基本ができあがった。その後、朝鮮語や中国の漢字が到来したが、日本語の根本を変えることはなかったという説である。 現在も諸説が検討されており、アルタイ語や南方語との比較、マライ・ポリネシア語や南アジア語系さらにはシナ・チベット語系、パプア語系などの比較研究が行われている。   いずれにしろ、様々な言語系の移住とともに日本語の源流が形成されているために これが日本語の原点だという流れは未だ確定するまでには至っていない。

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