作家の部屋 「ダルタニウスの苦悩」

2006/11/08(水)23:20

「教育は強制」こそが 根本思想か?

 「エコール」という映画の女性監督ルシール・アザリロビック氏が次のように語っている。  教師は「服従こそ幸福への道」と諭す。聞きようによっては抑圧的な考えではあるが、それこそが教育の根源ではないでしょうか。学校で、少女たちは服従を強いられてはいても、枠内では幸せに暮らしています。子供の教育で一番最初に教えることは、親の言うことをきちんと聞くということ。無理矢理に型にはめてしまおうという考えは不安感を覚えますが、すべからく教育の最も基本となる部分には、そうした概念があると思います。  教育の原点は第一に社会のルールを学ばせる。それは家庭で母親が教えるのと同質という意味で。つまり、過剰な強制や過剰な体罰での躾の教授という意味ではない。第二は、知識を伝達する。人類が獲得し、想像してきた知識を学習し、現代の課題や難題を乗り切って新しい創造をしていくためにであって、過剰な競争のための受験知識の詰め込みや、虐めを隠蔽し虚偽や暴力を振り回して子供達に伝達するというものではない。  それは、考え、創造し、現代のアポリアを乗り切るためであり、また人類が創造してきた文化を享受するためであり、 自由に発想で生きる力を自発的、自主的に持ちうるような創造力を解放するためである。  だから、私たちは教育で服従や忍耐を強いることこそが、教育の根元だ等とは決して言わないのである。

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