2007/06/18(月)13:00
オトコの子を育てているとアタマが痛くなる。2
私としては子供のことは子供でやって欲しい。おもちゃの貸し借りも子供が自分でやって欲しい。それでけんかになって泣きが入るのもいいと思う。こういうことは大いにやって欲しいと思う。子供が泣いて自分の要望を大人を通して実現させようなんて、私の辞書にはない。 と自分の子供にはやってきたんだけど、このリー君、ケー君を見ていて、家との育てられ方の違いを大きく感じた。家の壱男を入れて3人で遊ぶ場合、リー君とケー君の母がそれぞれ降りてこない場合、私はこの二人の子供に家のやり方を通していいものか、私は大いに悩んでいる。 また家の壱男は体力あるし、カラダもよく動くし、気も強い、壱男が気前よくしていないと、気の弱い、カラダの小さいケー君は中庭で遊べなくなってしまう。これもまた社宅の中のお付き合い上困ったことになる。 そして泣いて自分の要望を大人に叶えさせようと言うリー君。私に言わせると持っての外なんだけど、リー君にはこれはわかりようがない。と言うのはリー君の母との会話から分かった。 リー君は就園前はほとんど中庭で遊んでいなかった。というのも大きい子に中庭でいじめられて、それ以来中庭で遊ぶのが嫌いになったからだと言う。壱男も今年になって奨学生のオトコの子達と一緒に遊ぼうとして、「あっち行け。」と邪魔にされたことがあった。壱男は全然気にしていなかったけど、私はこのとき気分が悪かったのを記憶している。それでリー君が中庭で嫌な思いをしたと言う話を母から聞いたとき、共感した。 母の話は続きがあった。リー君は隣の家のオトコの子兄弟から、「○○」と呼ばれたと言う。ある日共用廊下で隣の兄弟とリー君が遊んでいたら、リー君の泣く声がする。それで母が行ってみると兄弟がリー君を「○○」と呼んでいた。「そんな汚い言葉止めて。」と母が言っても子供達は暫く止めなかったと言う。 「○○だなんて人権に関わることなんです。だから兄弟の母に抗議に行きました。そうしたら「子供達は言っていない」と言っています。と言われて謝ってもらえなかったんです。」と母。もうここまで話を聞いて私は返す言葉がなくなった。さっきの共感も飛んでいった。 リー君はもともと泣きが激しい子供だったのかもしれない。それに加えて母が随分と転ばぬ先の杖よろしく、かばって来た様な様子が見て取れる。まぁ、そう言ってもうちの壱男同様発展途上なのだから、これからに期待しよう。 こんなことを日曜日に友人でシングルファーザーのフィレちゃんに話した。そしたらこんなことを言った。「先週チャカ(フィレちゃんの小学生の息子)の学校公開に行ったんだよ。それでこりゃあ、ダメだわって思った。どうも学校側は全員に平等であろうとものすごく気を遣っていて、父兄から贔屓って突っ込まれないように神経使っているとしか思えないんだよ。それでその平等をやるために肝心の授業が削られているんだよ。PTAもおかしいんだよ。みんなに等しく優しくって感じなんだよ。ものすごく女性的、でもなんか変。」。 ここで私はリー君の母にした話をフィレちゃんにぶつけてみた。 私はリー君が各所でいじめられて泣いてきた母の話を聞いて、こんなことを思い出していた。かつて細木和子がテレビで「オンナにオトコの子は育てられません。」、と言っていた。オトコの子の母の私としては理由が知りたかったけど、テレビでは細木和子は語らなかった。程なくして、その理由を私はチャカを通して知った。 去年、一昨年だったか、チャカが学童保育でいじめられているようだとフィレちゃんが言うので、ある日壱男を連れてチャカの学童保育を見学に行った。その時壱男の相手をしながらチャカの様子を観察した。私が見受けたところではいじめと言う感じはしなかったけど、久しぶりにオトコの子の世界に触れた気がした。 子供は残酷なんていうけど、オトコの子世界は厳しい。序列がしっかりある。遊びがうまかったりすると上にいける。お勉強とは違うアタマの良さがあると上にいける。カラダが大きくて力が強いと上にいける。当然気が強いことも大事。オトコの子達はこういうところでみな自分の場所を確立していく。これはオンナにはわからない。 学童保育の校長先生と話してみた。「チャカ君は一人っ子で、兄弟のいる子に比べて不利だけど、オトコの子の世界でなんとか頑張っています。」と言う。この頑張るってあたりがオトコの子の世界を知らないオンナからすると、いじめに見えるのかもしれない。このオトコの子の微妙な力関係、オトコの子の世界、これをオンナは知らない。 この知らないオンナにオトコの子は育てられない、というのが細木和子の主張なんだろうと思う。オトコの子の世界に旅立ってしまった自分の子供を、オンナの考えで、乱暴はいけない、カラダの大きさで差別があってはいけない、力の差で差別があってはいけない、とやってはいけないのかもしれない。 遠い将来オトコの子はオトコの子の世界から、オトコの世界に旅立つ。こっちの世界は本当に厳しい。死すらある。早い者勝ちだし、強い物勝ちだし、結果が出せるかどうかが大事だし。オトコに生まれたらオトコの世界で自分の居場所を確立する。そうしないと誰しも生きてはいけないお約束がある。 こんな話をリー君の母に私はした。しかしリー君の母には届かなかった。ということを今度はフィレちゃんに伝えた。「オトコには突き放せるっていう強さがあるんじゃないかな。それがオトコの子には大事なんじゃないかな。」。 「PTAとか全員オンナっていうのがまずおかしいんだよ。学校の集まりもオンナしか来ないし。」とフィレちゃんは続ける。フィレちゃんの話を聞きながら、今はオトコが弱いんだなぁ、っていう感じがしてきた。学校、子育ての現場でオトコの視線、ちょっと危なかったり、ちょっと下品だったり、ちょっと汚かったり、そういうものはオンナの視線で見て排除されて、安全で、キレイで、みんなやさしくて、みんな等しく平等って方向にいっているのかなって。それが果たしてオトコの子にとっていいのか悪いのか、まぁ、私にはわからない。 今日もきっと夕方中庭でいつもの3人がいつもの展開を見せることだろう。そして二人の母はこれに立ち会わない気だろう。気が重いけど私が付き合うしかないのだろう。でもこれもリー君とケー君にとっては運の尽きってことだろう。君たちの母と私は断然違う。私はオトコの子を育てているって自覚して育てている。だから君達も覚悟しなくてはいけない。などと言いつつも、社宅での大人同士の付き合いも並行してうまくやらなくてはいけないから、アタマが痛い。