里山暮らし、ときどきヨーロッパ・ロングステイ

2010/07/13(火)22:36

古井戸の底

イタリア・ウンブリア田舎暮らし(39)

皆様、お元気ですか? ご無沙汰しています。 「グラムシ没後70周年記念シンポジウム」に出席するため、 ウチの彼のお供で、東京に四日間ほど滞在していました。 本日、里山の我が家に戻り、ホッと一息ついたところです。 東京は、冷たい風が吹き、落ち葉が歩道をクルクル舞って‥ 街はクリスマス・モード、師走の時間に変わりつつありました。 今日は、先日お伝えした「トイレの恐怖」に引き続き、 「古井戸の恐怖」と、恐怖シリーズ?でお届けいたします。 ところは、アメリアのアパートからバスに乗ること一時間。 ワイン街道の一つであるオルヴィエートの町にある 「サン・パトリツィオの井戸」でございます。 直径13メートル、深さ62メートルの井戸の底、 はるか下のほうに水面が見えるでしょう? 1527年、ローマ略奪を逃れてきた法王クレメンスの命令により 井戸工事が始められたそうです。 井戸の周囲のらせん階段で底まで降りられるのですが、 降りたら、また登ってこなくちゃいけないし‥ と、上方から撮影だけしてきたというわけです。 オルヴィエートの丘の上、城壁の中の旧市街、 その町外れにある井戸ですが、下の鉄道駅から城壁まで 今ではケーブル・カーで登ることが出来ます。 旧市街の人達が城壁の外に出ないで暮らしていくために、 丘の下まで62メートル堀り進まなくてはいけなかったのでしょうね。 自分の靴音が、石の階段にコダマして‥ 大昔、ここで井戸を掘った人たちの声が 聞こえてくるような錯覚に陥ります。 このらせん階段、登りと下りは別々になっているの。 人と人が、すれ違わない設計になっているのは、 狭い階段でぶつかったりしては貴重な水をこぼしてしまうから。 階段の途中の窓から、ウチの彼に手を振ってもらいます。 で、リミンは『暗くて顔が影になるわ~もっと前に出て~』 と叫んでいたのですが、 あとから写真を見たら窓の手すりが無かった! 『あら、手すりがあるのは、私のいるココだけだったの?』 『そうだよ~  前に出るとそのまま底に吸い込まれていきそうだった‥』 『ふふふ、そういえば片手はしっかりつかまっているわね~』 『オイオイ、笑い事じゃないよ~! 怖かったよ~!』 命がけ?で撮影に協力してくれた 彼の恐怖に引きつった笑顔をご覧くださいませ。 ※今日のトップ写真は、オルヴィエートのドゥオーモ☆ 息をのむほど美しいと言われる「黄金のファサード」です。 イタリアにおけるゴシック建築の中で、 最も重要な建築の一つといわれています。 白ワインで有名なオルヴィエート、この街にある 地下都市も見たかったのですが、予約時間が合わず、 それは次回の楽しみにとっておくことにして、 水音と木の葉の落ちる音を聞いていた、 木漏れ日光る、晩秋の一日でした‥

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