二人の自分
人生でこんなに長く落ち込んでいたのは久しぶりだ。高校時代以来かもしれない。 「つらい、しんどいよ」と心の中でつぶやくと、「いやいや、発熱したり ぶっ倒れたりした訳でもないから」ともう一人の自分がたしなめる。雇い止めにあったときでさえ「どうして私だけ首なの?」と悶々としているのに「失業保険も多分もらえるし、住むとこ とりあえずは心配ないだけ派遣切りにあった人たちよりマシだよ」と冷静に理攻めされた。結局は、実際の自分は感情を吐き出せなくなって、感性が停止してしまった。 人生でこんなに感動がなくなるのは、多分初めてだった。マイナスのことがあっても「ネタにして何かに書いてやろう」くらいに絶対思う人だったのに。エッセーすら書けなくなって、自分自身がつらかった。 でも、ここに書けたということは、一歩は前に進んだのだろう。